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相田翔子さん(54)耳鳴りも含めて自分。病と付き合いながら日々を楽しみたい

  • 2024.11.28

医学の進歩によって多くの病に治療法がある現代。しかし、どんな治療法を用いても恐怖や不安を消すことはできません。そうした不安と向き合いながらも、自分らしい生き方を探し続け、前を向いて歩み続ける女性たちがいます。今回は、歌手・俳優として活躍する相田翔子さんのSTORYをご紹介します。

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歌手・俳優 相田翔子さん54歳・東京都在住

耳鳴りも含めて自分。快適に過ごすための工夫をしながら日々を楽しみたい

小さい頃から風邪をひかないほど健康で、人気アイドルデュオ「Wink」として多忙な日々を送りながらも、体調不良で仕事を休むことはほとんどなかったという相田翔子さん。最初に異変が起きたのは25歳のとき、歌番組のリハーサル中のことでした。右耳の中で船の汽笛のような「ボー」という音が鳴り響き、目をつぶるとぐるぐると黒い渦。病院に行くと「突発性難聴」と告げられました。

突発性難聴は、突然耳の聞こえが悪くなり、耳鳴りやめまいを伴う原因不明の疾患。早期治療が大切ですが、すでに少し時間が経っていた相田さんは、聴力の回復は難しいかもしれないと言われ、歌手生命の危機に立たされます。Winkの活動や自分自身の今後について悩んでいた時期で、心身ともに辛い状態。しかし、入院中にスタッフと話す中で未来への道筋が見えると奇跡的に聴力も回復し、その後はソロとして作詞作曲にも力を入れながら活動をスタートしました。

それからしばらく時間が経ち、38歳のとき再び異変が起こります。結婚式を終え、親族だけの食事会中に急にあぶら汗が吹き出し、息ができなくなり、耳も聞こえなくなりました。診断は「メニエール病」。内耳にあるリンパ液が過剰にたまることで体の平衡感覚が乱れる病気で、主な症状としては、めまい、耳鳴り、一時的な聴力低下が挙げられます。発症の原因は明確にはわかっていませんが、疲労やストレスが引き金となることが多いとされています。

「母がすでに他界していたため、慣れない結婚準備や新生活への不安もひとりで抱え、気付かぬうちにストレスが溜まってしまったのかもしれません。医師からは、時間がかかるが、気長に治していこうと言われました」。

このときは2カ月程度で状態が改善したものの、娘さんが幼稚園へ入園したときや、大事なライブの前など、新しい環境や緊張する場面では、今でも度々発症します。それ以外のときでも、病気で右耳の聴力が落ちたことによる両耳の聴力差によって、常に耳鳴りはあり、体調によって感じる大きさが変わるといいます。

「洗い物をするときの食器が触れ合う音などが耳の中で反響するので、家事をするときには耳栓やヘッドホンは必需品。カラフルな耳栓は気分が上がります(笑)」。

症状を和らげるように工夫しながら、病気に良いとされる生活習慣を積極的に取り入れ、再発予防に努める日々。「最初の異変から30年くらい経つと、耳鳴りも自分の一部。音の大きさが体調のバロメーターになっています。起こってしまったことをくよくよしても仕方がない。メニエール病だからと諦めるのではなく、一生付き合いながら、楽しい瞬間を積み重ねていきたいと思います」。

<編集後記>元気そうでも違う一面がある先入観を超えて知る大切さ

歌も踊りも大好きで憧れていた相田翔子さん。当時と変わらない優しい笑みの裏に、病気と共に歩む日々があるとは想像もしませんでした。これまで病気についてあまり語ることはなかったそうですが、自分の経験が誰かの役に立つかもしれないと話すようになったとのこと。見た目で判断せず、知って理解することの大切さを改めて感じました。(ライター篠原亜由美)

撮影/BOCO 取材/篠原亜由美 スタイリスト/金子美恵子 ※情報は2024年11月号掲載時のものです。

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