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「1話から見返したらリナの手に血のようなものが…」最終回へ高まる期待と止まない考察『海に眠るダイヤモンド』

  • 2024.12.21

1950年代の端島と現代を行き来しながら、壮大なスケールで物語られてきた『海に眠るダイヤモンド』も最終回直前。56分拡大で放送される本作、8話では、このまま衰退してしまうかに思えた端島の炭鉱がついに着炭した。喜びに包まれる端島を背景に、なんと鉄平(神木隆之介)がリナ(池田エライザ)と駆け落ちし、そのまま消息を絶ったことが知れる。SNS上では「最終回が待ち遠しい」「あの夜に一体何があったの?」「1話から見返したらリナの手に血のようなものが…」と期待や考察の声が止まない。

リナと消息を絶った鉄平

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日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』第8話より (C)TBS

鉄平と朝子(杉咲花)は、お互いの気持ちを確かめ合い、すぐに結婚とはいかずとも似た仲になるであろうことが、自他ともに公認されたような関係だった。しかし、事故をきっかけに衰えていく炭鉱、失われた命、そして待ちに待った着炭にわく島民の喜びを背景に、鉄平は不可解な動きを見せる。

子の誠とともに残されたリナと、たびたび長崎へ渡っている鉄平。それは誠の通院のためであり、島民たちが噂をするような仲ではない、と鉄平自身も賢将(清水尋也)に弁明している。しかし鉄平は、話がある、と朝子を呼び出したにもかかわらず、約束の場所に現れずに姿を消してしまうのだ。

鉄平とリナは、どんな理由があって二人で姿を消したのか。70年前の謎は、そのまま現代パートへと引き継がれていく。鉄平が書いた日記の内容を紐解きながら、まるで冷凍保存されたように残されたままの謎に、少しずつ迫っていくいづみ(宮本信子)と玲央。二人で長崎にわたることで、どんな過去が目の前に現出するのか。

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日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』第8話より (C)TBS

思い返せば、リナはもともと隠しごとの多い女性だった。百合子(土屋太鳳)を介して鉄平や進平(斎藤工)らと交流するようになったが、当初はなぜ端島にやってきたのかも語りたがらず、ひたすら自身のことを開示するのを拒んだ。自分の、そして、関わった人の命を守るように。

そんな彼女は、まだ何か秘密を抱えていたのか。なぜリナと鉄平は、二人で消えてしまったのか。兄である進平のために、周りに請われたために、鉄平は“責任を果たす”つもりでリナと誠とともにいることを選んだのだろうか。

最終回SPの鍵を握るのは?

現代パートから、過去の端島の謎を詳らかにする鍵として、鉄平の残した日記が効果的に作用している。彼が書いた日記には、破り取られたページや、黒く塗りつぶされた箇所があった。本人がそうしたのか、第三者の手が介在しているのかは不明だが、70年前の彼らに思いを馳せるトリガーはここにしかない。

行き来する70年前の端島と現代。放送当初は、石炭事業で隆盛を極める端島の顛末や、島を包む空気感、スイッチングする現代とのギャップに「どう見たらいいのか掴めない」という声も、少なからずあった『海に眠るダイヤモンド』。

最初のドライブ感に乗れずにいると、なかなか味わいきれない物語ではある。しかし、現代のいづみが、過去の端島に生きていた朝子と同一人物であると明かされてからは、ついて行きそびれた視聴者も丸ごと連れていく奔流が生まれた。あとは、この波に乗って最終回まで行き着くのみとなる。

鉄平が残した日記、二人で消息を絶った鉄平とリナの真相と、それらに百合子や賢将はどう関わってくるのか。愛と友情の物語を結末まで見届け、彼らが出した選択と、それぞれの答えに心を寄せたい。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_