「プロ野球の話はするな」という定説、今も必要?
大谷翔平選手を擁するドジャースとシカゴ・カブスのMLB公式戦が日本で開催されることもあり、野球業界が盛り上がりを見せています。
また、ビッグゲームの他にも、日本野球機構(NPB)が今季から試合のプレー動画や写真のSNS投稿を制限するルールを導入することも話題になりました。
こうした動きのなか、昔から言われている「プロ野球の話はするな」という一種のタブーが、改めて議論されています。
SNSが普及し、スポーツの情報がリアルタイムで共有される令和の時代において、このタブーは今も必要なのでしょうか?今回は、「プロ野球の話はするな」という考え方について、賛成派・反対派の意見を整理しながら見ていきます。
そもそもなぜタブーなのか?
「政治・宗教・野球」は、昔から公の場で避けるべき話題とされてきました。
その理由のひとつは、野球には熱狂的なファンが多く、応援する球団が異なるだけで対立を生みやすいからです。特に、日本のプロ野球は地域や企業の影響が強く、家族ぐるみで応援する文化も根付いているため、価値観の違いが人間関係に影響を与えることもあります。
また、ビジネスの場では、特定の球団を支持する発言が取引先との関係に影響を及ぼす可能性があるため、慎重になるべきと考えられてきました。例えば、支援している球団がライバル関係にある企業と取引していた場合、何気ない会話が微妙な空気を生むこともあるのです。
さらに、同じ球団を応援していても、推している選手が違うことで対立することもあります。「なぜあの選手をスタメンにしないのか」「この選手は過大評価だ」「もっと評価されるべき」など、意見の食い違いが熱くなりすぎて、思わぬ言い争いに発展することも少なくありません。
特にお酒の席では、議論が白熱しすぎて対立が過剰になりやすく、思わぬトラブルにつながることもあるため、御法度とされてきました。熱が入りすぎて言い合いになったり、相手を不快にさせたりするリスクがあることから、無難に避けるべき話題として扱われてきたのです。
こうした背景から、「プロ野球の話はするな」という定説が生まれ、長年にわたり"暗黙のルール"や"処世術"として受け継がれてきました。
プロ野球の話題は避けるべき? プチアンケート
SNSでの調査ほか、インターネットサービスでのアンケートを行いました。回答の多くは、「いいえ」が占める結果となり、多くの方は「プロ野球の話はするな」と言う定説を最近感じることはないようです。
調査方法:インターネットサービスによる回答
調査実施:2025年3月
調査対象:全国の10代~60代
有効回答数:185名
嫌な空気を呼ぶ?定説を感じる派の声
「プロ野球の話はするな」という定説を感じることがあると回答した方の意見を見ていきましょう。
阪神ファンの上司が試合が負けた次の日は機嫌が悪いので、そういう意味では野球の話はしない方がいいと感じることはあった
(40代 男性)
年配の人が出席するイベントや集会などは、まだ古い考えのままの人が多くて対立する場面があったのでタブーは続いてると感じました。
(30代 男性)
居酒屋でのこと。斜め後ろは6人の男性客で仕事仲間のよう。途中からプロ野球の話でやや喧嘩腰な雰囲気。野球論の対立のようだったがそれではすまず普段の仕事振りの批判がはじまった。やはり定説は当たっているなと思った。
(50代 女性)
ここ数年は本当に大谷さんの活躍が目覚ましいので、社長がお得様相手に、営業トークで大谷さんの話を持ち出したら、お得様は国内専門だったらしく、「また大谷さんの話か」ってちょっと変な空気になってました。
(30代 女性)
「プロ野球の話はするな」という風潮を感じた人の意見では、職場や飲み会で野球の話が原因で空気が悪くなるケースが挙げられています。
例えば、負けた翌日の上司の機嫌を気遣って話題を避ける、年配者の多い場で意見の違いが生まれやすいといった声がありました。また、居酒屋での野球談義がきっかけで意見のぶつかり合いにつながったという例もあり、野球の話が思わぬ火種になることがあるようです。
話題に出す場合には十分な配慮が必要かもしれませんね。
むしろ話題にすべき? 定説を感じない派の声
一方で、「プロ野球の話をしても問題ない」「むしろ盛り上がる」という意見も見られます。
そんな定説があることを初めて知りましたし、ここ最近は大谷翔平選手の活躍で野球の話題がたくさん出ていたので全く感じたことはありません。
(30代 女性)
寧ろ野球の話は周囲で話しています。
野球の話をしてはいけないのは配信者等のインフルエンサーっていう印象があります。
(30代 男性)
昔はその事でトラブルに発展する事が多かっただろうが、今ではその様な事は全くなくオープンに話しているから。
(40代 男性)
相互理解が大切です。
相手がいないと成り立たない競技です。
熱烈なファンとそれ以外を否定することは別物です。
(50代 男性)
「プロ野球の話はするな」という定説を感じなかった人の意見を見ると、大きく「そもそも定説の存在を知らなかった」「話題に上がることが自然」の2つに分けられます。
まず、「定説の存在を知らなかった」という意見。「初めて聞いた」「そんな話は聞いたことがない」という声も目立ちました。特に、野球ファンの間では話題に上るのが当たり前であり、むしろ「話をしないほうが不自然」という意見もありました。
次に、「話題に上がることが自然」と言う意見。地域や環境によってはプロ野球の話が日常的なものになっているという声がありました。例えば、北海道では日本ハムの話が挨拶代わりになるという意見や、職場で普通に野球の話をするという声も多く見られました。
特に近年は大谷翔平選手の活躍によって野球の話題がより一般的になったと感じる人も多く、定説の存在を疑問視する声もありました。
「無難」とされる話題は?
野球がタブー視される一方で、比較的無難とされる話題に関するコメントも見られました。
例えば、「天気」「旅行」「ラーメン」「ペット」など。
もちろん無難とされていますが、相手大事にしているものを傷つけないように、また過剰な思考の押し付けには配慮を忘れてはいけません。
「プロ野球の話はするな」 変わりゆく定説と変わらぬ配慮
アンケートやSNSのポスト調査をしてみると、「プロ野球の話はするな」と言う定説は薄れていっているように感じられました。
ただ、プロ野球の話が歓迎される場もあれば、避けるべき場もあります。一概に「話してはいけない」と決めるよりは、場の雰囲気を読み、異なる意見や応援スタイルを尊重する配慮が大切です。
SNSなどを通じて野球ファンのコミュニケーションも多様化している今の時代だからこそ、適切な話題選びと聞き方を意識することが、より円滑なコミュニケーションにつながるのではないでしょうか。
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