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はじめて「単一光子」が見えた!光の粒の姿を捉えることに成功!

  • 2024.11.27

私たちが普段目にしている「光」は、実は無数の小さな粒の集まりでできています。

その粒は「光子」と呼ばれ、物理学では長い間その存在が知られていました。

しかし、光子はあまりにも小さく、これまで直接その姿を観察することはできませんでした。

英国のバーミンガム大学(UoB)で行われた研究では科学者たちが新しい手法を使い、光子の姿を捉えることに成功しました。

研究者たちも「私たちの考案した方法により、これまで見られなかった光子の画像を作成することができた」と述べています。

一粒の砂が空中に投げ出された瞬間を映像に収めたかのようなこの映像は、物理学の歴史に残るものとなるでしょう。

研究内容の詳細は2024年11月14日に『Physical Review Letters』にて公開されています。

目次

  • 光子が「見える」とはどういうことか?
  • この発見で何が変わるのか?

光子が「見える」とはどういうことか?

光が見えると言われるときにも実際には物体を介した相互作用が背景に存在しています
光が見えると言われるときにも実際には物体を介した相互作用が背景に存在しています / Credit:Canva

光子は、光の「粒」としての性質を持つ一番小さな単位です。

普段私たちが見る光は、たくさんの光子が集まって流れる「川」のようなものですが、その一つ一つの粒が光子です。

この光子は、エネルギーを運ぶ粒子としても知られ、太陽光が私たちを暖めたり、スマートフォンの画面を明るくする力の正体でもあります。

ただ「光子が見える」とは、光子そのものを顕微鏡で覗き込むようなものではありません。

実際には、光子が物質と接触したり、特定の環境でどのように動くのかを捉えるということです。

生物学的には眼の網膜に光子が命中することを「見える」と言いますが、それも光子が網膜にある細胞に接触した結果を脳が検知しているのです。

野球ボールを見る場合も野球ボール(物質)に当たったって反射した光を目(物質)で感じ取るという間接的なプロセスによるものです。

そこで今回の研究では、「光子が物質と相互作用する際の動き」を捉えるため新しいアプローチが用いられました。

光子を「小さなダンサー」だとすると、このダンサーは、実験のために用意された特別なステージ(ナノスケールの光学装置)で踊り、その動きがステージに微細な影響を与えます。

研究者たちは、直接ダンサーを見ることはできなくても、ステージに残された足跡や振動を使って、ダンサーがどのように踊っていたのかを再現することに成功したのです。

今回の研究では、この「振る舞いの足跡」を科学的に解釈し、映像のように再現する技術が用いられました。

研究者の1人であるユエン博士は「私たちの考案した方法により、これまで見られなかった光子の画像を作成することができた」と述べています。

この発見で何が変わるのか?

単一光子が見えるようになると、人類科学が大きく前進すると期待されています
単一光子が見えるようになると、人類科学が大きく前進すると期待されています / Credit:Canva

この発見は、量子力学やナノテクノロジーの未来を大きく変える可能性を秘めています。例えば、量子コンピューターの開発に役立ちます。

量子コンピューターでは、光子の動きや相互作用を正確にコントロールする必要がありますが、単一光子を可視化する技術があれば、より正確なコントロールを実現できるでしょう。

また、太陽光発電や次世代エネルギー技術の効率化にもつながる可能性があります。

光子がどのようにエネルギーを運ぶのかを理解すれば、それを効率的に利用する新しい技術が生まれと期待されるからです。

さらに、生物学や医療にも応用が期待されています。

光子の形状や動きが明らかになれば、植物の光合成の仕組みや、生体内でのエネルギー伝達プロセスをより深く理解する手助けになるかもしれません。

今回の研究は、光という身近な存在を量子レベルで捉えるための新たな扉を開きました。

「光子を見る」という発想は、科学の世界でも挑戦的なテーマでしたが、それを可能にした今回の成果は、未来の量子科学やエネルギー技術、さらには私たちの日常生活を豊かにする新しい発見へとつながるでしょう。

参考文献

New theory reveals the shape of a single photon
https://www.eurekalert.org/news-releases/1065280

元論文

Exact Quantum Electrodynamics of Radiative Photonic Environments
https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.133.203604?_gl=1*f9nnwa*_gcl_au*MTQ1MjgyNDczMS4xNzMyNjY0MTEx*_ga*NDc0MDg5NTkwLjE3MjAzOTI3NTM.*_ga_ZS5V2B2DR1*MTczMjY4MzU2OC4yMS4xLjE3MzI2ODQ2ODUuNjAuMC4xNDc2NDM1OTk1

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

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