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防災標識の意味と見方|住んでいる地域の災害について知ろう

  • 2024.12.5

「防災標識」を知っていますか?名前は知らなくても、見たことがある人も多いかもしれません。
防災標識は、災害の危険があるエリアを人々に知らせ、避難所への移動を誘導する役割を持っています。

防災標識を知ることで、地域の災害リスクを理解し、避難経路や避難所を確認することができます。また、どんな災害のときにどの避難所へ行けばよいかがわかります。

この記事では、防災標識の見方と、災害種類別の避難のポイントを紹介していきます。

防災標識を活用するメリット

防災標識は、災害の危険がある場所に表示されていたり、避難所や屋外の避難場所を示したりするために表示されるものです。2016年に全国統一の標識の表示ルール(JIS Z 9098 「災害種別避難誘導標識システム」)が定められました。まだすべての場所で整備されているわけではありませんが、避難場所などの表示を新設または更新するときには、表示ルールを参考に設置するよう、国が普及を推進しています。

たとえば、土砂災害の危険性が高い地点では、危険性を知らせるために防災標識が掲げられ、その場所から避難所・避難場所まで、人々を誘導するための防災標識が点々と設置されています。

街を歩いていると以下のような標識を見つけることができます。

標識の詳しい見方は後述しますが、こちらの標識では「土石流の際の避難場所は330m先にある地域センターである」ということを表しています。必要な情報が一目で伝わってきますね。
このような表示が避難場所までいくつも設置されているので、土地勘のない場所であってもスムーズに避難できそうです。

このように防災標識を知ることで、その地域で起きやすい災害がわかり、災害と災害時の避難に備えることができます。

防災標識の見方

ここからは防災標識の見方を紹介します。防災標識は、5つの災害の種類を表すピクトグラム(災害種別一般図記号)、特に災害の起きる危険性が高いスポットを表すピクトグラム(注意図記号)、避難場所・避難所を表すピクトグラム(避難場所/避難所図記号)を使って表現されます。

災害種別一般図記号

避難所・避難場所は災害の種類別に設定されます。たとえば、津波や高潮なら高台に避難場所が設置されますし、洪水なら川沿いにある避難所は避ける必要がありますね。どんな災害でも最寄りの避難所に行けばよいというわけではありません。

そこで、避難所・避難場所には、どんな災害のときに使うのが適しているかという防災標識が表示されています。

注意図記号

災害種別一般図記号を基本に、四角形の記号が三角形になり、さらに黄色で塗られたものが注意図記号です。
下の画像の左から、「高潮/津波」「崖崩れ・地滑り」「土石流」の3種類で注意図記号が設定されています。

注意図記号は災害の発生の危険がある地点に設置されます。下は注意図記号の使用例です。このような標識が、海沿いの、津波に特に注意すべき地点に設置されます。

避難場所図記号

防災標識は、人々を適切な避難所・避難場所まで誘導することを目的としています。
「避難場所」と「避難所」は、どちらも災害時に逃げ込む場所ですが、それぞれ意味が異なります。

避難場所は、災害時に逃げ込む場所の中でも、災害備蓄がないところです。一時的に避難する場所で、長期滞在は想定していません。公園や河川敷などが指定されています。

避難場所を表す防災標識は災害の種類によって分けられています。以下の画像は「高潮/津波」の場合の避難場所を表しており、上のピクトグラムが高台の避難場所、下は津波避難ビルです。

「高潮/津波」以外の災害の避難場所は以下のピクトグラムで表されます。

避難所図記号

避難場所と違って、「避難所」は災害備蓄のある、避難後に生活する場所です。学校や公民館などがこれに当たります。屋根がついた建物が描かれているので見分けがつきやすいですね。災害の種類を問わず、避難所はすべて以下の標識で表します。

防災標識で表される各災害の特徴と避難の注意点

続いて、防災標識の災害種別一般図記号で表される各災害の特徴と避難の注意点について解説します。

高潮/津波

まずは以下の記号で表される高潮と津波についてです。

津波は地震によって海底に地殻変動が生じ、海水が押し上げられることで発生します。高潮は台風や発達した低気圧が海岸部を通過する際に海面が異常に上昇する現象です。どちらも海から水が陸地に押し寄せてくるものです。

高潮と津波の際の避難場所は以下のピクトグラムで表されます。水から逃れるように高い場所に逃げることが原則です。上のピクトグラムでは高台や丘の避難場所、下のものはビルの高い場所に逃げ込める津波避難ビルを意味しています。

洪水/内水氾濫

洪水と内水氾濫は以下のピクトグラムで表されます。

洪水とは、大雨や融雪によって河川の水の量が異常に増加し、堤防が決壊したり水が堤防を越えたりすることで起きる氾濫を指します。
また、内水氾濫とは、下水などの排水設備の処理能力を超えた雨が降った際などに雨水が排水できなくなって浸水する現象です。下水や水路から雨水があふれ出して家屋などに被害が発生します。

洪水・内水氾濫の際には、河川の近くや低地など場所によっては避難に適さない避難所もあります。防災標識を使った表示があると、どの災害の際に適した避難所であるかわかりやすいですね。

適した避難所に行くのが間に合わない場合、戸建て住宅の2階や3階、集合住宅のより高い階に垂直避難することが推奨されます。

土石流

以下のピクトグラムは土石流を表しています。

土石流とは、山腹や川底にある石・土砂が長雨や集中豪雨などによって一気に下流へと押し流される現象です。その流れは時速20~40㎞にもなり、家屋や畑などが一気に流されてしまうこともあります。
土石流は前兆現象を伴うことがあります。山鳴りがする、川が濁る、川に流木が流れている、腐った土のにおいがするといったことを確認したら、すぐに河川や谷から離れて、高い場所などに避難します。
実際に土石流を目の当たりにしたら、土石流が流れる方向と垂直方向に逃げましょう。

崖崩れ・地滑り

以下は崖崩れ・地滑りのピクトグラムです。

崖崩れとは、地中に染み込んだ水分が土の抵抗力を弱め、地震や大雨などの影響で斜面が突然崩れ落ちる現象です。崖崩れは突然起こるため、逃げ遅れる人が多い災害です。

崖崩れにも前兆現象があり、崖に割れ目が見えたり、水が湧き出たり、小石がパラパラと落ちてくることがあります。前兆現象を確認した場合、すぐに崖や山から離れましょう。

地滑りは緩やかな斜面で発生します。地下水の影響などによって、地中の滑りやすい面がゆっくりと動き出す現象です。
地滑りの前兆現象は、地面にひび割れができたり、斜面から水が吹き出たり、家や擁壁にひびが入る・傾くといったものです。

大規模な火災

大規模な火災は、大きな地震の際にも起こることがあります。東京都が発表した都心南部直下地震(23区南部を震源とする地震)が冬の夕方に発生した場合の被害想定では、東京都だけでも11万棟以上が焼失し、2482人が火災で死亡するとされています。

地震の後は家屋が倒壊して道が通れなくなってしまうことがあるので、できるだけ早めの避難が求められます。
大規模火災の際にはできる限り広い空間のある場所に逃げ込むことが重要です。大きな公園や広い河川敷などが適しています。

大規模火災の際に適しているのは、屋根があって被災後の生活を想定した避難所より、大きな公園や広場など屋外の広い空間である「避難場所」です。以下のピクトグラムの避難場所を目指しましょう。

まとめ

避難所・避難場所は災害によって異なります。自宅の最寄りの避難所を知るだけではなく、洪水の際の避難所はここ、崖崩れの際はここ、と災害の種類ごとに避難所・避難場所を把握しておくことが大切です。それを知るために役立つのが防災標識です。街の中で防災標識を見つけてみてください。

<執筆者プロフィル>
シマサキアヤ
フリーランスライター

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