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名字が三回変わっても私は私。名字に左右されない幸せを目指して

  • 2024.11.27

私は、50年生きてきて3回名字が変わった。
1回目は父と母の子として産まれた時の父の名字、2回目は父と母が離婚して母の名字、3回目は夫と結婚して夫の名字。

◎ ◎

1回目は生まれて2年という一番短い期間だった。
2歳では父の記憶はなく、現在まで一度も会ったことがない。
なので、その名字で名前を呼ばれた記憶がない。

幼いころから母は、父の話をするのをよく思っていないと感じ、どんな父だったか聞くことはできなかった。
父が私を抱いている写真(私は泣いてはいないが笑ってもいない)を見せてくれ、父の名前を教えてくれた。

父の名字は、日本ではありふれた名字だった。
同じ名字の人は、学生時代の同級生にもいたし、芸能界にもいた。

2回目の名字は、周りにはあまりない名字だった。
2歳から結婚するまで長い間、この名字で呼ばれていた。学生時代をこの名前で過ごし、答案用紙に記入したり、運転免許証、パスポートを取ったりと、色々なものの初めてをこの名字で過ごした。

3回目の名字は、日本の一番多い名字の10位以内のよくある名前だった。
夫のことがすごく好きだったし、名字が変わることに憧れていたので、とても嬉しかったことを覚えている。
はじめて名字が変わるってこんな感じなんだと実感でき、病院で「○○さん」と名前を呼ばれた時、「はい、もしもし○○です」と電話に出る時、くすぐったい気持ちだった。

◎ ◎

そんな気持ちを忘れかけた結婚から10年後、3回目の名字の夫と離婚することになり、また名字をどうするか考える時があった。
悩んだが、子供たちのために3回目の名字のまま過ごすことに決めた。私の人生で一番長く使われることになった名字だ。

数年後子どもの手が離れたくらいに、彼と出会った。
彼は父と同じ名字だった。

仕事先での出会いだったので、初めは彼のことを名字で○○さんと呼んでいた。
その時すでに好意があったのか、父と同じ名字だったからか今となっては思い出せないが、口に出すと、初めて使う言葉のようにふわふわした気分になった。
私が呼ばれたはずの名前で呼ばれていることを、ほんの少しだけうらやましいと思ったのは秘密だ。

数ヵ月後その彼と旅行に行くことになった。
コロナもあり旅館では、それぞれ本名と住所を書くことになったが、飲食店で「2人の名前を書いてください」と言われた時、彼が彼の名前の横に私の下の名前だけ書いたことがあった。

「夫婦みたいだね」と彼が恥ずかしそうに言って笑っていた。

私はその記帳をみて年甲斐もなくドキドキしてしまった(彼とは違う意味で)。

◎ ◎

大人になって初めて私の名前が1回目の名字と名前のセットになったのだ。

彼に父の名字も話したことがなかったので、彼は、何も考えずに何気なく(私が喜ぶだろうと)書いたと思う。
お互いに結婚するつもりはなく、同じ名字になることはないので余計に、ドキドキしたのだと思う。

こんな小さなサプライズで、喜ぶことができることを知り自分がかわいく思えた。
欲を言えば、その記帳用紙を写真でおさめたかったが、それは恥ずかしくて諦めた。
今でも思い出すとほっこり暖かくなる記憶として残っている。

父と同じ名字の彼とも数年してお別れしてしまった。

名字が3回変わってもいつもどんな時も私は私で、何も変わっていない。
名字や呼ばれ方は人生でそんなに大事ではないかもしれない。
ただ、呼ばれるたびに嬉しく思ったり、ほっこりしたり気分になれたことに、最近気付くことができた。

これから先、名字が変わることはないかもしれない。多分ない。
名字に左右されず、ありのままの私で過ごしていくことを目標に1人の人間として幸せになるためにこれからも元気に頑張ろう!

■えまのプロフィール
読むことが大好きです。かがみよかがみのエッセイも大好きです。少しずつ書くことにも挑戦したいです。神社とお花がある所に旅行に行くのが最近の楽しみです。

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