1. トップ
  2. おでかけ
  3. 突き出た雑誌を目印に、多様なジャンルの棚を探索する。棚のいい本屋、両国〈YATO〉

突き出た雑誌を目印に、多様なジャンルの棚を探索する。棚のいい本屋、両国〈YATO〉

  • 2024.12.10
東京〈YATO〉店主・佐々木友紀

突き出た雑誌を目印に、多様なジャンルの棚を探索する

奥に細長い、うなぎの寝床のような造りの店内。入口から建築、本屋の本とジャンルで固めてあることはわかるが、奥へ奥へと進むにつれて本の海に呑まれそうになる。最奥で巡り合ったのが「東京本」のコーナーだ。よく見ると『東京人』はもちろん『散歩の達人』や『RiCE』など、雑誌の“東京”特集がずらり。

東京〈YATO〉店内
「東京本」の棚。壁には川上未映子さんの著作の装画も手がける石田加奈子さんの絵が。

「棚に雑誌がささっていて面白い、と言ってくれる人もいますね」とは、店主の佐々木友紀さん。そう聞いて入口に戻れば、住宅にまつわる本の棚にささる『別冊太陽』の家特集が、本屋の本の棚の『建築知識』の美しい本屋特集が、浮き立って見えてくる。雑誌というと雑誌コーナーにあるイメージだが、こちらでは各ジャンルの目印になっているのだ。

東京〈YATO〉店内
入ってすぐの棚には家、建築の本が並ぶ。目を引くのは背の高い『別冊太陽』だ。ここの背表紙を見れば、周囲にどんな本が並ぶか検討がつく。もの作りからセルフリノベーション、小屋とDIY精神が息づくのは、自身の家もセルフリノベしているという佐々木さんらしさ。ほかにも料理にまつわる本が充実している。
東京〈YATO〉店内
地元の本をまとめた棚はよく見るが、「東京」で括った棚は珍しい。「一度は両国本をまとめてみようと思ったんです。とはいえ、休館中ですが近所の〈江戸東京博物館〉でも買えるので」。銀座のなかでも『夜の銀座史』、東京駅の本を1冊、果ては電線の本も並んでいる。東京にまつわる本の世界はなかなかディープだ。
東京〈YATO〉店内
背の高い『よくわかる中国思想』を軸に、中華料理にまつわる本が並ぶ。その左方には本国で禁書になっている著作も多い中国の作家・閻連科の小説、右方には中国でも大人気のSF『三体』シリーズで知られる劉慈欣(りゅうじきん)の著作に『S-Fマガジン』も。ちょうど中国の言論状況を二分するようなソリッドな並びに。

「雑誌は最新号が出たら前の号は返品するんです。新しい情報が詰まっている分、古くなりやすいですから。でもいい本を長く売りたいし、その“本”のなかに雑誌も含まれている。だから面白いものは気合で買い取って残すようにしています。漫然と置いて棚が凸凹にならないよう、綺麗な山脈を作るよう心がけていますね」

東京〈YATO〉店主・佐々木友紀
店主の佐々木さん。工務店の〈ゆくい堂〉が運営する上野の書店〈ルートブックス〉を経て、〈YATO〉をオープン。〈ゆくい堂〉つながりの設計士と内装を手がけた。
東京〈YATO〉外観
入口もDIY。

Information

YATO

やと
住所:東京都墨田区石原1-25-3
TEL:なし
営:14時〜21時(日13時〜)
休:水曜・木曜
HP:https://yatobooks.com/
X:@yatobooks

元記事で読む
の記事をもっとみる