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開業5周年を記念した【アマン京都】のスペシャル企画「鷹峯茶会」で非日常の世界へトリップ

  • 2024.11.26
秋の盛りを迎えた京都で。

澄み渡る空に、鮮やかな色づく木々。京都がいっそうその魅力を増す季節に、洛北にひっそりと佇むアマン京都にて、スペシャルな企画が催されました。それは11月1日に開業5周年を迎えたことを記念する特別企画「鷹峯茶会」。アマン京都らしさが溢れる独自のホスピタリティによって、非日常の世界へと誘われた至福のひと時をレポートします。


5周年を記念する“アマン京都らしさ”を追求した茶会

日本料理「鷹庵」のカウンター席。

2019年11月1日に開業した「アマン京都」は、広大な敷地に広がる原生林や苔むした巨石の石畳、小川のせせらぎなどが織りなす静謐な森の庭が魅力の宿。その密やかな森の庭に抱かれるように、ダイニングやスパ、宿泊棟が点在しています。

この日の会場は日本料理「鷹庵」。約10メートルもの一枚板のカウンターが圧巻の席に着くと、まず、柴田厚志総支配人から「歴史や自然、芸術、美食などすべてが揃うこの地で、“アマン京都らしい”サービスについてこの5年間ずっと考えてきました。本日の茶会も通常の茶会とは違うアマン京都らしい内容になっておりますので、どうぞお楽しみください」というご挨拶。

総料理長の髙木慎一朗氏。金沢の料亭「銭屋」2代目。2020年4月よりアマン京都の日本料理「鷹庵」の総料理長に就任。

秋のご馳走をしみじみと堪能

そして、いよいよ日本料理「鷹庵」を率いる総料理長 高木慎一朗氏による秋の懐石料理の始まりです。「いちばんのコンセプトは何を食べているかわかること。京都にいながら京料理じゃないものを提供していきたいと思っています」と語る高木総料理長。

「先付 菊菜 大黒しめじ 精進麩 菊花 加減酢」。

先付は大黒しめじと菊菜や菊花を加減酢で和えたもの。ひと皿目から、大黒しめじの香りと食感、加減酢の塩梅に感動です。ここ鷹峯は琳派発祥の地とあって、琳派風の器使いも素敵。

「椀盛 海老芋 紅白結び 溶き辛子 白味噌」。

次は「時期的には少し早いですが、肌寒くなってきたので、ほっこり温まってもらえるよう用意しました」という海老芋の椀盛。鰹出汁と白味噌、海老芋のなめらかなねっとり感が相まって、思わずため息が出るようなおいしさでした。お祝いの席に合わせた紅白結びのあしらいにも日本料理の繊細さが感じられます。

「造里 鯛 梅貝 烏賊 甘海老」。

お造りの盛り合わせは、一品一品、日本各地から最高級の素材を仕入れ、丁寧に調理されたことが伝わる旨みと食感。醤油をつけるのももったいないくらいの繊細かつ濃厚な味わいでした。

「箸休 鯖寿司 焼き海苔 ロックフォール」。

箸休に出された鯖寿司にはなんとブルーチーズのロックフォールが。「すし飯や発酵を考えた時にチーズもありかなと思って。いろいろなチーズを試した結果、ロックフォールにしました。日本料理にキャビアやフォアグラが使われ始めたのは70年代。新しい足跡を残してもいいタイミングかなと思っています」と高木総料理長。カウンター越しに食材の説明や料理に込めた思いを聞きながら一品一品を堪能できるのも、実に贅沢です。

緩急あるコースの締めは魅惑のデザート

「強肴 胡麻豆腐揚げ出し 雲丹 銀杏」。
「焼物 のど黒幽庵杉板焼き 酢橘」。

強肴は胡麻豆腐の揚げ出し、焼物はのど黒幽暗杉板焼きと続きます。ふっくらと焼き上げられたのど黒には醤油と杉の香りがふわりと広がります。「初めて日本に来られた方にもおいしいと思ってもらえるよう作っています」と高木総料理長。

「焼物 平井牛つけ焼 山葵 クレソン」。

もうひとつの焼物、丹波平井牛のつけ焼は、とろけるような食感と脂の甘み、絶妙な火入れにうなる一皿。

趣深い茶会のフィナーレを飾るのは?

「焚合 蓮蒸 薄葛 生姜」。

そして、焚合の蓮蒸。ほっこりした蓮根の甘みと出汁の味わいに癒される、あ、カニも……と食べ進んでいたら、ピータンという意外な食材に驚きます。王道がしっかりベースにあるからこそ、こうした革新的な試みでコースに変化をつけ、ゲストを惹きつけるのが高木総料理長の手腕なのでしょう。

「御飯 はらす御飯」。

締めははらすご飯。出汁で艶やかに炊き上げたご飯と脂ののったはらすの相性のよいこと。仕上げに添えられた山わさびもいいアクセントに。料理に合わせて供されたアルコールのペアリングは、シャンパン、白ワイン、日本酒、赤ワイン。いずれも料理の味を引き立て、響き合い、より深みへと誘ってくれるもので、口福度を引き上げてくれました。

エグゼクティブペストリーシェフの松尾浩幸氏。40年近くのキャリアに培われた技術と感性で、独創的なスイーツを開発。
懐石料理の最後に供された美しい小菓子。

懐石料理のラストには、エグゼクティブペストリーシェフ 松尾浩幸氏による甘味が登場。お重の中にはなんとも美しい秋の景色。丹波栗の甘みと宇治ほうじ茶の香りがマッチしたきんつば、柿ムースを白餡の練り切りで包んだ和洋融合の一品、カウンターで表面をキャラメリゼして仕上げたスイートポテト、アマン京都の山椒と北山杉の新芽を忍ばせたガナッシュチョコレート。それぞれ見惚れるほど愛らしいだけでなく、素材の持ち味を活かした風味にもうっとりです。

茶を香るという新エクスペリエンス

Ochillの茶香師、磯川さんがお手本を披露。

懐石料理と甘味を堪能した後は、竹や麻、藁など自然素材で囲われたカウンター後ろの畳敷へ移動。ここでは新たなエクスペリエンス「茶香」体験が待っていました。ゲストの中央に置かれたのは、水たばこの原理を応用し、茶葉を吸うために特別にあつらえたオリジナルのお道具「煙小卓」。まず、炭をおこして茶葉を熱します。そして、竹製のパイプを深く吸い込むと、気化され、和らいだ茶の香りを鼻腔で感じ、茶味を身体全身で深く味わうというもの。初めての体験にドキドキしながら、パイプを深く吸い込み、煙を吐き出してみると、少し香ばしいような芳しいお茶の香りが鼻腔から抜けていくのを感じます。飲むのとはまた違ったお茶の味わいと、深い呼吸で、気持ちが落ち着いていくような瞑想にも似た感覚を味わえました。まさに新感覚の体験です。

このエクスペリエンスは京都を拠点とするアートコレクティブ Ochill(オチル)によるもの。宿泊ゲスト限定の体験で、本来は、西陣にある陰翳礼讃の世界を思わせる京町家の瞑想室「落散 京都」での体験となるそうです。

ダイニングが入るリビング棟。モダンな建築と紅葉のコントラストが美しい。

色とりどりに染まり始める森の庭で、極上の秋に浸り、新しい体験に刺激を受けた1日となりました。さらに、来年の秋には、敷地内でもっとも静かなエリアに新しく茶室が誕生するというアマン京都。伝統文化や日本の精神性に触れるエクスペリエンスがさらに拡がりそうで、楽しみです。

アマン京都

所在地 京都市北区大北山鷲峯町1番
電話番号 075-496-1333
https://www.aman.com/ja-jp/resorts/aman-kyoto

文=小長谷奈都子

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