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薬の苦さに悩むすべての人を救いたい!「不苦の良薬」を作るべく奔走する、庶民出身の宮女が歩むシンデレラストーリー

  • 2024.11.26

誰もが一度は聞いたことがある、「良薬は口に苦し」という言葉。しかしその良薬も、当然ながら苦くなければなお嬉しいものだ。

そんな理想の薬を現実とするべく、後宮で薬の研究に勤しんだ賢女・薬妃のシンデレラストーリーを描いた中華ファンタジー。それが『旺華国後宮の薬師』(初依実和:漫画、甲斐田紫乃:原作、友風子:キャラクター原案/KADOKAWA)である。

のちに薬妃と謳われた本作の主人公・英鈴は、元は薬屋の両親を持つ庶民の生まれ。

そんな彼女が宮仕えを始め、調合した薬をいかに「飲みやすくするか」に力を注ぐ中で、豊かな発想力が運よく新しいもの好きの若き皇帝の目に留まり、なんと一足飛びに一宮女から妃の位へ。

薬を煎じてお茶にしたり、甘味を活用して飴玉や水菓子にしたり。

驚きのシンデレラストーリーを叶えた後も後宮の様々な思惑に巻き込まれながら、それでも大勢の人々のため、「飲みやすい薬」の普及に奔走! 本作では、そんな彼女の奮闘記が描かれている。

煌びやかな中華ファンタジーも魅力的な一方で、控えめな才女である彼女が確かな仲間と味方を得つつ、宮中を駆け上がっていく様が痛快である。

穏やかな女性でありながらも自分の心情を曲げることを許さない芯の強さや、時折顔を出す肝の据わった一面とのギャップも大きな見どころだ。英鈴のまっすぐな姿勢に、最初は彼女を妬んだり見下していたりした人々も、徐々にその態度を改めていく。

一方で、後宮では位の高い女性たちによる権謀術数が日々繰り広げられている。様々な思惑が交差し、人を貶めるための噂や悪意が飛び交う中、英鈴が彼女らとどのように対峙していくかも注目のポイントだろう。

少しずつ味方を増やしていきながらも、庶民出身なぽっと出の妃である彼女には、数多の嫉妬や悪意が付きまとう。

加えて、薬を扱う女性にもまだまだ信頼のないこの時代。

そんな中で英鈴は掲げる理想のため、どのような形で活躍していくのか。物語を追う多くの読者が、そんな彼女の努力を思わず応援したくなること間違いなし!

文=ネゴト / 曽我美なつめ

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