私の出産の所要時間は、なんと30時間! まさかそんなにかかるとは思っていませんでした。5分間隔の陣痛に耐えていたのは、そのうち28時間……。私はその間の記憶がほぼなく、繰り返す痛みと戦っていたのですが、立ち会っていた夫はというと……。
出産に立ち会うパパ。その振る舞いにイラっとする!?
30時間というと、1日と6時間。普通に過ごしていれば、たくさんのことができる時間です。
その間、私は陣痛に耐えることに必死でしたが、立ち会っていた夫にはもちろんなんの痛みもありません。そんなに長い時間、何をして過ごしていたのでしょう。
記憶を辿ると、夫は私を気にしつつもテレビやスマホを見ていたはずです。なんだかイラッとしたことを覚えています。
だからといって、夫が陣痛の痛みをどうにかできるわけではありません。冷静に考えたら、そんなに長い間ただただ付き合っていた夫も気の毒だと思います。
それでも、せめて一緒に頑張っているという雰囲気を出し、常に私の気持ちを考えて、フリでもいいので寄り添っている姿勢を見せてほしかったなと思います。
とはいえ、痛みに耐えている私と痛みのない夫という大前提を考えると、結局何をされてもイラッとしていたと思います。
※このお話は、ベビーカレンダー公式インフルエンサー「ベビカレメイト」のママと実施した座談会でお話しいただいた体験談です。
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ママたちの話を聞いていると、陣痛中にパーフェクトな立ち居振る舞いができるパパは少ないようです。それはきっとどう振る舞えば良いかわからないからでしょう。
では、陣痛に立ち会うパパはどんな行動をするのがベストなのでしょう。育児の専門家である大阪教育大学教育学部教授・小崎恭弘先生に意見をうかがいました。
「出産」は夫婦の永遠の課題
小崎先生「出産に立ち会うパパの立ち居振る舞いは永遠の課題です。なぜならパパは自分が産まないからか、どこか他人事になってしまいます。
だから『いざ出産』というときにパパをどうにかしようとするのでは、タイミング的に手遅れと言えるでしょう。出産前から、ママとパパになる準備を二人で一緒にしてほしいです。
妊娠、出産はどうしても、ママが優先にいろいろなことが決まり、また始まっていきます。そしてその勢いは、その後に続く『子育て』においても同様に、ママ優位、あるいはママだけのものになりがちです。
そうではなく、パパとママの2人で『妊娠・出産・子育て』に、関わってほしいと思っています。イメージは『2人で同時に親になる』という感覚です。
そのためにも妊娠期から、親になる気持ちや思いを一緒に高めていってください。それは喜びもそして大変な思いも、どちらも経験してほしいです。
つわりのしんどさはパパにはわからないけれど、つわりがしんどいというママの気持ちに寄り添うことや、また代わりに家事や料理をすることはできます。そのような経験を、大切にしてお互いの気持ちや思いを合わせていくプロセスが、妊娠期なのです」
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パパの育児参加が増えている昨今ですが、それは「子ども」という存在あってのもの。妊娠期も同じ感覚で歩めるパパは、まだあまり多くはないのかもしれませんね。
「妊娠も夫婦2人のものである」という認識は、今後さらに深めていく必要があるでしょう。妊娠期という過程も夫婦で共有してこそ、パパも出産に向き合えるのかもしれませんね。
監修者:保育士 大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学)教授、大阪教育大学附属天王寺小学校校長 小崎恭弘
兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年間勤務。3人の息子が生まれるたびに育児休暇を取得。市役所退職後、神戸常盤大学を経て現職。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。NPOファザーリングジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて積極的に発信をおこなう。
ベビーカレンダー編集部