触れられるアイテムはもちろん、立地や運営方針まで。隅々にまでオーナーのこだわりが投影された注目ショップをピックアップ。いざ、美しきスタイルを探す買い物へ。
fernwehフェアンヴェー
名店カルマのディレクターによる、注目のニューショップ。
下北沢の人気店「カルマ」のクローズ後、溝口翼が新たに自身のショップをオープンしたのは2023年。「買い付けはほとんど海外で行っていたのですが、それすらままならないフラストレーションがすごく強かった」というコロナ禍を経て、ドイツ語でホームシックの反対語に当たる"fernweh"と名付けた。そんな思いを解放したかのように、同店のすべてにおいて彼の個性が色濃く反映されている。
「ノイズが少ない場所にしたかった」と語る立地には、近年賑わう下北沢や世田谷代田、経堂に囲まれながら入れ替わりが進んでいない梅ヶ丘を選んだ。そして、溝口がこよなく愛するル・コルビュジエやヘリット・リートフェルトらのモダニズムに影響を受けた鋭角の柱と什器に囲まれた凛とした空間に、国内でも取り扱いが少ないジュリー・ケーゲルやパウラ・カノヴァス・デル・ヴァスを筆頭とした気鋭のヨーロッパブランドと、自らがアメリカで買い付けてきた1890年以降の、時にはジャンクなヴィンテージウエアが並ぶ。バイイングの基準は「ここでしか買えないもの」といたってシンプル。
立地、セレクトともに万人の目には留まらないかもしれない。だからこそ、ひと癖もふた癖もある生粋の服好きたちを刺激して止まないのだ。
fernwehフェアンヴェー
東京都世田谷区梅ヶ丘1-33-9
#20103-6825-2445
営)13:00~18:00
休)水、木
*「フィガロジャポン」2024年12月号より抜粋