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うちの子は大丈夫?スマホ依存のリスクが高い子どものタイプと予防方法について精神科医飯島先生にお伺いしました。

  • 2024.11.25


スマホの過剰な使用は子どもの脳の発達に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に成長期の子どもたちの場合、その影響は大人より大きくなることが懸念されています。
では、どんなお子さんが特にスマホ依存のリスクが高いのでしょうか?その点について、次でお話ししていきましょう。

どんな子どもがリスクが高いの?~要注意な4つのサイン~

ママ広場


外来で診察をしていると、スマホ依存に悩むお子さんたちには、いくつかの共通点が見られることが多いです。研究でも、特定の傾向を持つ子どもさんのリスクが高いことがわかってきています。
特に以下の4つの面から見ていくと、お子さんの状況がより分かりやすいかもしれません。
(A)心の状態から見えるリスク
「うちの子、すぐイライラするんです・・・」
こんな声をよく聞きます。実は、強いストレスを抱えているお子さん、不安が強いお子さん、落ち込みやすいお子さんは要注意です[10][11][12]。なぜでしょうか?
それは、スマホが「気持ちを紛らわせる道具」になってしまうからなんです。ストレスや不安を感じたとき、スマホに逃げ込むクセがつきやすい傾向があります。
(B)友だち関係から見えるリスク
「学校での友だち付き合いが苦手で・・・」
このようなお子さんも要注意です[10]。現実の友だち関係に困難を感じる子どもさんは、SNSの中に居場所を求めがちです。「いいね」をもらうことで承認欲求を満たそうとする傾向も見られます[14]。
(C)生活習慣から見えるリスク
「先生、1日どのくらいの使用時間なら大丈夫でしょうか?」
よく受ける質問です。気になる研究結果があります。なんと、1日2時間のスマホ使用でも依存のリスクが示されており、4時間を超えると依存だけでなく、「精神症状」の出現と関連してくるという研究もあります[13]。
また、生活状況全般との関係も深いです[12][15][16]。
例えば:
〇お子さんの睡眠の質
〇学業に関するストレス
〇子育ての方針
これらも、お子さんのスマホ使用パターンに大きく影響します。
逆に、学業への意欲が高く、学校での成功体験を重ねているお子さんは、スマホ依存のリスクが低くなる傾向があることもわかってきています。
(D)意外な性別による違い
実は、複数の研究で女の子の方が男の子よりもスマホ依存になりやすいことが報告されています[17]。特にSNSの使用時間が長くなる傾向があるようです。
ここで特に気をつけていただきたいのは、これらの要因が重なると、リスクがさらに高まってしまうということです。例えば、ストレスを抱えていて、友だち関係にも悩んでいるお子さんは、より注意が必要です。
診察室で出会うお子さんたちを見ていると、最初は「ちょっとした困りごと」から始まって、だんだんスマホに依存していく・・・というパターンが多いように感じます。
具体的にはどうやって予防し、対策していけばいいのでしょうか?次は、実践的な対策方法についてお話ししていきましょう。

予防と対策~明日からできる7つのポイント~

先日、小学6年生の男の子のお母さんが、こんな言葉を残して帰られました。
「先生、諦めかけていたんです。でも、小さな目標から始めてみたら、少しずつ変わってきました」
確かに、一気に解決することは難しいかもしれません。でも、コツコツと積み重ねていける工夫がたくさんあるんです。実際の成功例から、特に効果的だった対策をご紹介します。
Ⅰ)時間管理の工夫
「うちは最初、2時間以内という目標を立てたんですが、難しくて・・・」
という声をよく聞きます。そんなときは、まず食事の時間だけスマホを使わない、など、小さな目標から始めてみましょう。就寝1時間前からは使用を控える-これは特に大切なルールです。夜更かしの防止になりますし、睡眠の質も改善されます。
Ⅱ)家族で決めるルールづくり
「子どもに一方的に言っても・・・」
そうなんです。だから、お子さんと一緒にルールを考えることが大切です。
例えば、
〇リビングではスマホを使わない時間帯を決める
〇充電は家族が集まるリビングですることにする
〇親も同じルールを守る(これが意外と効果的!)
Ⅲ)代わりの楽しみを見つける
ある中学生の女の子は、週末の午後だけ「写真部」の活動に参加し始めました。すると、徐々にスマホの使用時間が減っていったのです。大切なのは、スマホ以外の「楽しい!」を見つけること。例えば:
〇家族で料理をつくる時間を設ける
〇近所の公園でバスケットボール
〇図書館で好きな本を探す
Ⅳ)睡眠を大切に
これは本当に重要です。寝室にスマホを持ち込まない、という単純なルールが、大きな効果を生むことがあります。
〇スマホは別室で充電
〇毎朝カーテンを開けて日光を浴びる
〇休日も平日と同じ時間に起きる
Ⅴ)会話を増やす
「最近、娘と話すと、よく『うざい』って言われちゃって・・・」
こんな相談もよく受けます。でも、諦めないでください。
例えば:
〇一緒に買い物に行く時間を作る
〇夕飯の準備を手伝ってもらう
〇週末は家族でドライブ
何気ない会話の機会を増やすことが、実は大きな効果につながります。
Ⅵ)勉強時間の工夫
ある高校生は、スマホを別室に置いて30分だけ勉強する、というところから始めました。
〇勉強時間は必ずスマホを別室に
〇タイマーを使って集中時間を決める
〇課題が終わったら好きなことをする時間をつくる
Ⅶ)子どもの頑張りを認める
小さな変化でも、たくさん褒めてあげてください。
「30分、スマホなしで頑張れたね!」
「宿題、集中して終わらせたね」
こんな声かけが、子どもの自信につながっていきます。
とはいえ、これらの対策をすべて一度に始める必要はありません。できることから、少しずつ・・・。その積み重ねが、変化を生み出します。

具体的な声かけの方法について、もう少し詳しく見ていきましょう。

[執筆者]

ママ広場


飯島慶郎先生
不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック 院長
精神科医・総合診療医・漢方医・臨床心理士。

島根医科大学医学部医学科卒業後、同大学医学部附属病院第三内科、三重大学医学部付属病院総合診療科などを経て、2018年、不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニックを開院。
多くの不登校児童生徒を医療の面から支えている。島根大学医学部精神科教室にも所属

不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック
https://sites.google.com/view/izumo-iijima-clinic

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