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ジュエリー界の新たなアイコン。世間を虜にするボッテガ・ヴェネタの「ドロップ」イヤリング

  • 2024.11.25
ボッテガ・ヴェネタ 2022-23年秋冬コレクションより。
ボッテガ・ヴェネタ 2022-23年秋冬コレクションより。

2024年を象徴するジュエリー。それはおそらく、ボッテガ・ヴェネタBOTTEGA VENETA)の「ドロップ」イヤリングだろう。曲線的なティアドロップ型と、ミニマルでありながら主張のあるデザインは今年ジュエリーシーンを風靡し、似たようなスタイルを打ち出すブランドが相次いで出現。それ自体が人気のバロメーターとなっている。

セレブ愛用者の1人、ベラ・ハディッド。
Celebrity Sightings In New York - September 08, 2022セレブ愛用者の1人、ベラ・ハディッド。

セレブやイットガールたちからの支持があってヒットしたのはもちろんあるが、アイテムそのものの創意工夫に富んだデザインがあってこその快進撃だ。「ドロップ」イヤリングが初めて発表されたのは2022-23年秋冬シーズン。マチュー・ブレイジーによるデビューコレクションで、レザー製のトロンプルイユデニムタンクトップなどと併せて披露された。クワイエット ラグジュアリーのムーブメントがまさに本格化の兆しを見せていた当時、約1,000ポンドの値札が付いたロゴなしの「ドロップ」は、ブレイジーが思う「わかる人にはわかるラグジュアリー」を体現していた。

これまでボッテガ・ヴェネタのターゲット層に該当しなった人たちも、「ドロップ」イヤリングを通じてメゾンの美学に魅せられることになった。無論、ボッテガ・ヴェネタが作るイヤリングだからこそ欲しいという人は多く、ソーシャルメディア上での拡散ぶりを見ればその人数の多さは一目瞭然だったが、ラグジュアリーメゾンによるロゴなしのイヤリングが、ジュエリーシーンにこうもインパクトを与えたのは興味深い。

オブジェとしてもジュエリーとしても個性を放つピース

ボッテガ・ヴェネタ 2023年春夏コレクションより。
Bottega Veneta - Runway - Spring/Summer 2023 Milan Fashion Weekボッテガ・ヴェネタ 2023年春夏コレクションより。

先月発表されたボッテガ・ヴェネタ初のファインジュエリー・コレクションについてのインタビューで、ブレイジーは彫刻家のコンスタンティン・ブランクーシを引き合いに出して、見かけ以上に軽い「ドロップ」のデザインについて語った。「単体のオブジェとしても、独特の個性があるところが気に入っています。もちろん、服と合わせても映えるところも好きです」と説明。「『見た目が大きいからと言って、重いとは限らない』というのがコンセプトでした。そしてまるで一滴の水のように、表面には世界のすべてが映し出されているのです」。取材を行ったリン・イェーガーの「厳かさと斬新さが共存しているあたりが、スタジオ54に通っていた頃のグレース・ジョーンズを少し彷彿とさせる」という意見にも、ブレイジーは笑顔で同意した。

ボッテガ・ヴェネタ 2022-23年秋冬コレクションより。
ボッテガ・ヴェネタ 2022-23年秋冬コレクションより。

誕生以来、「ドロップ」はありとあらゆる形や素材で再解釈されている。手作業でエナメル加工を施し、18Kゴールドで仕上げたスターリングシルバーのもの。軽量なレジンとガラス製のもの。電鋳技術を用い、手作業でエナメル加工を施し、さらにデグラデ効果をあしらったスターリングシルバーのもの。フロントのモチーフを反転させたキャッチの細長いシェイプのタイプもある。今やひと目でそれとわかるシルエットを落とし込んだハードウェアのディテールは、メゾンのレディ・トゥ・ウェアのラインにも取り入れられており、今月開催されたガバナーズ賞ジェニファー・ローレンスが纏ったドレスの肩にも、ドロップ型のメタルディテールが輝いていた。

これほどまでに登場回数が多いと、「ドロップ」は、ボッテガ・ヴェネタの一種のロゴではないのかと思えてならない。「ジーンズからイントレチャートのトートバッグ、ティアドロップ型のゴールドのイヤリングまで、すべてのピースに息づいているのは、マチューのデザインへの飽くなきこだわりだ。そこにはトップレベルだと100%納得できない限り、何物もボッテガの名を冠することは許されないという、確固たる信念がある」。そうイェーガーが指摘したように「ドロップ」もまた、ブレイジーのこの信念の強さの証しなのだ。

Text: Alice Cary Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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