1. トップ
  2. レシピ
  3. 朝起きるのがつらいのは当たり前? スッキリ起きられる方法を睡眠改善インストラクターが指南

朝起きるのがつらいのは当たり前? スッキリ起きられる方法を睡眠改善インストラクターが指南

  • 2024.11.25

朝、目覚まし時計を何度もスヌーズしてしまう…そんな経験はある? 忙しい毎日、朝スッキリ起きられないのはもはや当たり前かもしれない。でも、実は改善できる! 睡眠改善インストラクター&上級睡眠健康指導士である管理栄養士の篠原絵里佳さんがおすすめする、自分に合った“できそうなこと”を見つけて実践してみて。朝起きるのが快適になるはず。

[table-of-contents title=''][/table-of-contents]

1. 朝起きるのがつらい理由は単純明快!?

睡眠に悩みを抱える数々の方にアドバイスをしている篠原さんによると「朝スッキリ起きることは、健康であれば普通のこと」。朝、起きるのがつらいのは、①睡眠の質が悪い ②睡眠時間が慢性的に不足している(睡眠負債を抱えている)③リズム(睡眠リズム、生体リズム)の乱れ、の3つの理由が考えられといいます。時間や質を良くすることで、リズムにも良い影響が出てくるので、ここでは、時間と質について解説します。

2. 睡眠の質をチェック!

✔朝、目覚めたときにスッキリ起きたという自覚があるか

✔朝食をおいしく食べているか

✔日中、強い眠気が起きず、順調に仕事が進んでいるか

✔休日も平日とほぼ同じ時刻に起きているか(寝坊しても2時間以内)

3. 睡眠の質と朝スッキリの関係

「一晩中、目覚めずに眠っている=深い眠りに就いていて、質が良い眠りができている」と思われている方が多いのですが、目覚めずに眠っていても、浅い眠りがずっと続いているケースもあります。

眠りには、ノンレム睡眠(1~4段階)とレム睡眠があり、深い眠りはノンレム睡眠の3・4段階で、眠りの前半にこの深い眠りが訪れます。この深い眠りが訪れたタイミングで成長ホルモンが分泌されるのですが、この成長ホルモンの分泌が質の良い眠りと関わっています。深い眠りが訪れず、ずっとノンレム睡眠1・2段階やレム睡眠がずっと続いているケースでは、朝起きたときから疲れを感じたり、スッキリ目覚められない……という現象が起こるのです。

ELLEgirl

また、女性は男性に比べて睡眠の質が悪化しやすい傾向にあります。

体温のリズムは睡眠の質と密接にかかわっています(ここでいう体温は体内の深部体温のこと)。入眠前から体温は徐々に低下し、起床前に上昇。この体温の調整がスムーズに行われることで、質の良い睡眠に就きやすくなるのですが、月経開始3~10日前の黄体期は体温が高く、夜間睡眠中も深部体温が十分に下がらないため、寝つきが悪くなったり、眠りも浅くなったりします。また、黄体中期は、睡眠中の心拍数が高く、交感神経が優位になるため、睡眠の質が悪化しやすいのです。

更年期は、ホットフラッシュや関節の痛みなど、更年期症状の影響により、中途覚醒が増えやすくなり、睡眠の質が悪化します。

4.睡眠の「時間」と「質」、どちらが大事?

「睡眠時間が短くても、質が良ければOKですか」というような質問を受けることがよくあるのですが、睡眠時間が不足しているのに質を追求しても意味がありません。また、睡眠時間が短ければ、質の良い睡眠もできません。睡眠時間を確保してはじめて、質の良い睡眠に就けるのです。

かといって、睡眠時間が十分とれていても、質が悪ければよい眠りとはいえないので、睡眠時間と睡眠の質は、どちらも同じくらい大切です。

ELLEgirl

5.必要な睡眠時間は?

「少しくらいの睡眠不足なら大丈夫」と思っていませんか? 実は1時間の不足でも、長期間積み重ねると徹夜と同じくらいパフォーマンスに影響がでます。意外と自覚しにくい眠気や疲れが、あなたのパフォーマンスを低下させているかもしれません。

6時間睡眠が10日続けば、眠気の自覚症状はないももの、徹夜をしたときと同じくらいパフォーマンスが低下する、との報告(Van Dongen HP, et al. Sleep 2003;2:117-126 )があります。

一般的に必要といわれている睡眠時間※は、成人(18~64歳)は7~9時間が推奨されています。適切な睡眠時間は個人差もあるため、短くても6時間、長くても10時間が許容範囲といわれています。

※睡眠分野における国際的に権威あるアメリカ国立睡眠財団(National Sleep Foundation)による。健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)も、同じ時間を推奨している。

6.自分に適切な睡眠時間を知る方法

7~9時間が推奨といわれても、自分に合った睡眠時間がどれくらいなのか。それを見極める方法は2つあります。ぜひ一度試してみてください。

●就寝時刻を30分早める方法

いつもより寝る時間を30分早めてみましょう。2~3日試して体の調子が良ければ、寝る時間をさらに15分早めて。朝スッキリ起き、日中も快適に過ごせる、日中や夕方、夕食後にも極度な眠気が起きない、と感じたら、それが自分に必要な睡眠時間。ただし休日に寝だめをしないことが前提です。

●4日間つづけて目覚まし時計をかけずに寝る方法

目覚まし時計に頼らずに起きてみましょう。日々の睡眠負債を返済するため、1日目はいつもより長く眠ってしまうことになりますが、次第に短くなり、4日目くらいに負債が解消され、自分にとって適切な睡眠時間がわかります。

ELLEgirl

7.「朝型」「夜型」?自分のタイプを知って睡眠の質を改善

朝型、夜型は、生まれつきの体質として決まっています。ではどんなに努力しても、夜更かし体質から朝型人間になるのは不可能なのか、というと……。

あなたは「朝型」?「夜型」? こちらの質問に答えてタイプを診断! 国立精神・神経医療研究センター公表「朝型夜型質問紙(MEQ)」

朝型、夜型を決定づけるのは、体内時計をつかさどる遺伝子によるものです。なので体質を変えることは残念ながらできません。ですが、夜型タイプの人は、夜起きていることが苦痛ではない自分の体質を知ることで、趣味やスマホタイムを早めに切り上げるなどの、朝スッキリ起きるためのセーブができます。また、若いころは多くの人が夜型で、夜更かしを好む傾向にありますが、40代以降は自然に朝早く目覚める朝型にシフトするのが一般的なことからもわかるように、年齢によっても変化します。

自然な変化を待たずに変えたい!という人に試していただきたいのは、このあとお話しする「睡眠の質を高める1日の過ごし方」です。体内時計は、目に入る光や食生活等の生活習慣で、進んだり遅れたりします。環境や生活習慣の見直しで改善できるといわれているので取り入れてみてください。

8.朝スッキリ起きられるようになるには?

睡眠の質をあげる重要な要素がリズム。リズムには「睡眠リズム」と「生体リズム」があり、睡眠リズムは、上記で説明したノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返されるリズムと、就寝と起床時刻のリズムをいいます。睡眠リズムを整えるためには、適切な睡眠時間を確保すること、いつも同じ時刻に就寝、起床することが大切。一方、生体リズムは、朝起きてから夜眠るまでの過ごし方が大切です。

ELLEgirl

朝の過ごし方、日中の過ごし方、夜の過ごし方、が睡眠の質と関わってきます。

それをすべて実践する、というよりは、できそうなことを2~3つ見つけて、実践することで質の良い眠りにつなげましょう。

朝の過ごし方・朝、起きたらカーテンを開けて太陽光(曇りや雨でもOK)を浴びる・朝食を食べる・リズム運動をする(朝食をよく噛んで食べる、ガムをかむ、朝の通勤で早歩きをする、階段を使うなど)

日中の過ごし方・できるだけ光(太陽光)を浴びる・昼食をできるだけ同じ時刻に食べる・日中から夕方に体を動かす(ウォーキングなどの軽い運動や活動量を増やす)・15時までに、15~20分程度の仮眠をとる・15時以降はうたた寝をしない(帰りの通勤電車や夕食後など)

夜の過ごし方~就寝3時間前まで・夕食を済ませる・カフェインの入った飲食物の摂取を控える(できれば夕方から控える)・アルコールは晩酌程度で切り上げる

就寝1時間~30分前まで・1時間前までに、お風呂に入る(湯舟に浸かる)・スマホ、タブレット、PCは見ないようにする。※見るときは、画面をナイトモードにし、TikTokやYouTube、XなどSNSは避ける。・コップ1杯の水を飲む・できるだけリラックスして過ごす

ELLEgirl

9.睡眠の質と関わる栄養素

よい目覚めのためには食事も大切。でも食事は薬ではないため、即効性を期待することはできませんが、質の良い眠りに関わっています。

食習慣で心掛けたいこと・朝食を食べる(24時間よりも少し長めの体内時計を24時間にリセットしたり、体温があがる)・できるだけ同じ時間に食べる。特に、朝食と夕食が大切。・就寝3時間前までに終わらせる

質の良い眠りに関りのある栄養素

●トリプトファン(アミノ酸)朝食にとることが大事なポイント。夜になって分泌される“睡眠ホルモン”とも呼ばれるメラトニンの材料になる。肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品や、大豆・大豆製品に豊富に含まれる。

●鉄、ビタミンB6、葉酸、ナイアシン、マグネシウムトリプトファンからメラトニンを作るときに必要な栄養素。特に、鉄、ビタミンB6、葉酸は不足しやすい栄養素のため、心がけてとり入れる。

…レバー、赤身肉(牛ヒレ肉、豚ヒレ肉など)、赤身魚(カツオ、マグロ、サバ・アジ・イワシなどの青魚)、貝類(あさり、しじみなど)、卵、大豆・大豆製品、青菜(ほうれん草、小松菜など)

ビタミンB6…魚(サケ、カツオ、マグロ、イワシ、サバなど)、鶏肉、緑黄色野菜(ブロッコリー、ほうれん草など)

葉酸…緑色野菜(ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、水菜、枝豆など)、納豆、焼きのり、イチゴ、キウイフルーツ、マンゴー、アボカドなど

※補足「睡眠サポートドリンクについて」睡眠の質を高めると謳っているドリンク類は、睡眠薬ではないので、飲んだからといってすぐに効果が出るものではありません。また、1日の過ごし方に問題があれば、飲み物の効果は得られません。良い眠りに就けるような習慣を少しずつ増やしていきつつ、補助的に利用するのも良いかもしれません。

今日から取り入れられる簡単なコツを実践してみましょう! スッキリ起きられる日が続くはずです。

お話を聞いたのは 篠原絵里佳さん

ELLEgirl

睡眠改善インストラクター、上級睡眠健康指導士、日本睡眠学会正会員、管理栄養士

臨床で患者さんへの栄養カウンセリングをするなかで、睡眠の重要性に気づき、睡眠改善インストラクターを取得。よい眠りのための睡眠衛生を広めるために、2011年より睡眠の仕事を本格稼働。全国での講演会、セミナー講師、コラムの執筆、テレビや雑誌などのメディア出演など、精力的に幅広く活動。フィーカレディースクリニックでは、睡眠相談を担当し、女性の睡眠サポートに注力している。

元記事で読む
の記事をもっとみる