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ガンバ大阪MF倉田秋が明かした勝負の明暗…FW宇佐美貴史不在のチームが天皇杯決勝で出せなかったもの

  • 2024.11.25
ガンバ大阪MF倉田秋が明かした勝負の明暗…FW宇佐美貴史不在のチームが天皇杯決勝で出せなかったもの
ガンバ大阪MF倉田秋が明かした勝負の明暗…FW宇佐美貴史不在のチームが天皇杯決勝で出せなかったもの

Text by ライター

[天皇杯決勝ガンバ大阪0-1ヴィッセル神戸、23日、東京・国立競技場]

関西対決となった決勝は両者拮抗した展開となったが、後半19分に神戸FW宮代大聖の先制点を許し、G大阪は2015年度の第95回大会以来となる9大会ぶり6度目の優勝を逃した。

FW宇佐美貴史欠場の中で団結した戦士たち

G大阪MF倉田秋は4-2-3-1の左サイドハーフとして先発出場して攻守に奮闘。キックオフ2時間前に負傷離脱(右ハムストリング肉離れ)が発表された主将FW宇佐美貴史の分まで攻撃をけん引したかった。

クラブの象徴であり攻撃の要だった青黒の背番号7を欠いて、試合は神戸有利に進むかと思われたが、大坂の名門がスタートダッシュに成功した。

ガンバ大阪MF倉田秋が明かした勝負の明暗…FW宇佐美貴史不在のチームが天皇杯決勝で出せなかったもの
ガンバ大阪MF倉田秋が明かした勝負の明暗…FW宇佐美貴史不在のチームが天皇杯決勝で出せなかったもの

G大阪の左サイドでボールがテンポ良く回り始めると、前半10分に同サイドのペナルティーエリア前にいたMF山田康太が前線へクロスを供給。すると3列目から飛び出したMFダワンが頭で合わせた。相手GKに阻まれたシュートはそのまま右にこぼれると、MF山下諒也がふわりと折り返し、再びダワンがヘディングシュートを放つも、この試合最初の決定機はゴール左側へ外れた。

神戸FW武藤嘉紀(よしのり)は「全員が闘う集団だった」と相手を評し、やりにくさがあったと明かした。試合序盤のチャンスによって勢いづいた青黒の戦士たちは、宇佐美の気持ちを背負い、一心同体となって決勝に挑んだ。

G大阪アカデミー出身の倉田は、チームに9大会ぶり6度目の優勝をもたらそうと攻守に絡んで存在感を見せた。マッチアップした神戸DF酒井高徳(ごうとく)が高い位置を取れば守備に戻り、カウンターのチャンスになればいち早く前線へ駆け上がった。

ガンバ大阪MF倉田秋が明かした勝負の明暗…FW宇佐美貴史不在のチームが天皇杯決勝で出せなかったもの
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G大阪のダニエル・ポヤトス監督は「倉田を(サイドから)中に絞らせて、酒井選手をブロックした。サイドで2対1を作って、相手のサイドバック対策をできたことで、いい前半になった」と背番号10の貢献を明かした。

決して悪い流れではなかった。それでも倉田は「いい時間帯に1発で仕留めておかないと、相手が後半に(相手が)吹き返してくると分かっていたんで…」と宇佐美を欠いたチームの決定力不足を悔やんだ。今月26日で36歳となるベテランの言葉は徐々に現実になった。

「五分と五分だった。でも…」

G大阪は前半の勢いをそのままに、昨季のJ1王者を自分たちの流れに飲み込みたかったが、決定機を逃して主導権を相手に奪われた。倉田はドリブル突破からチャンスを生み出そうとするが、なかなかシュートチャンスにつながらなかった。

「攻撃的スタイルがガンバなので、そこはもっと出したかった。去年から積み上げてきたものを出すだけだったけど、回数が少なかった」

神戸は前線にいち早くボールを供給し、相手の最終ライン付近で好機を伺った。高い集中力で守り続ける青黒のイレブンは、神戸の酒井が前線に上がった際に空く左サイドのスペースを利用したかった。指揮官はその狙いをチームに共有していたが、「ブロックを崩せなかった」と肩を落とした。

倉田は「経験があるので、試合をつくることを課せられていた」と与えられていた役割を明かしたが、守備にも汗を流したベテランは徐々に失速して後半10分に交代した。

するとゲームは後半19分に動いた。G大阪は相手GKからのロングボールをFW大迫勇也に拾われると、左サイドでパスを受けた武藤にボックス内へ侵入された。

陣形が乱れたG大阪は中の枚数こそ足りていたが、戻りながらの守備は武藤が中に出したパスへの対応を難しくした。弾いたクリアボールは小さくなり、こぼれ球を宮代に押し込まれ、先制点を奪われた。

ガンバ大阪MF倉田秋が明かした勝負の明暗…FW宇佐美貴史不在のチームが天皇杯決勝で出せなかったもの
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倉田が危惧していた展開だった。

「前半は流れ的に悪くなかったので、仕留めるところを仕留めて、相手陣地でプレーしたかった。ただファイナルは形とか、戦術よりもそれ以上のものが大きい。最後は向こう(神戸)が気持ちでねじ込み、俺らはそれを止められなかったし、ねじ込めなかっただけです」

失点後、何度かチャンスに恵まれたが、どれもゴールにねじ込めなかった。試合はそのまま宮代の得点が決勝点となり0-1で終了。ガンバは天皇杯準優勝となり、9シーズン連続の無冠が確定した。

優勝した神戸の選手たちは口をそろえて『いい内容ではなかった』と試合を振り返ったが、ここ数年で培われた勝者のメンタリティが、試合の明暗を分けた。

ガンバ大阪MF倉田秋が明かした勝負の明暗…FW宇佐美貴史不在のチームが天皇杯決勝で出せなかったもの
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倉田は「(内容は)五分と五分だったと思います。でも神戸の方が勝負強かったと思うし、相手も前半からそこまでチャンスがない中で、1発で決めてきた。その差はある」と、「勝負強さ」を試合のポイントとして挙げた。

試合終了後、ピッチには涙を流す宇佐美の姿があった。エースとともに長年に渡ってG大阪を支え続けた倉田は「みんなで勝ちたい気持ちを出したと思うし、それでも相手が上回っただけです」と、この試合に懸ける想いは特別だった。

それでも『宇佐美不在』を嘆くことはなかった。聖地国立で力強く闘った戦士たちは、J1残り2試合で有終の美を飾り、来季へつなげたい。

「今年積み上げてきた支配するサッカーを、決勝の舞台で出せなかった。まだまだチームとして未完。完成されていない」と背番号10。名門復活を目指し、この敗戦を未来の勝利につなげる。

(取材・文 浅野凜太郎、写真 Ryo)

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