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【インタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ

  • 2024.11.24
【インタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ
【インタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ

Text by 奥崎覚(編集部)

11月30日(土)、今シーズンのホーム最終戦で川崎フロンターレ戦を味の素スタジアムへ迎える東京ヴェルディ。

チームは今季、16年ぶりに帰ってきた明治安田J1リーグにおいて、36節終了時点で堂々の6位。就任3シーズン目の城福浩監督のもと、胸を揺さぶる熱いサッカーで勝点を積み重ねてきた。

劇的な試合展開も多かったなかで、貴重なゴールを決めてきた一人が京都サンガF.C.から期限付き移籍で加入している山田楓喜。

U-23日本代表として今夏のパリ五輪にも参加した23歳のレフティは、現在のJリーグを代表するフリーキッカーでもある。

【インタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ
【インタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ

そこでQolyは、日本のパリ五輪出場の立役者でもある山田に単独インタビューを実施。

後編では、独特とも言えるフリーキックや、バックアップメンバーとして掴んだパリ五輪出場、さらにはプレーの根幹にある「魅せる」部分と自身のサッカー人生に影響を与えたというスウェーデン代表MFクルゼフスキなどについても聞いた。

(取材日:2024年9月10日)

フリーキックの秘訣は「シュート練習」

――京都サンガF.C.からの期限付き移籍で東京ヴェルディへ加入した山田選手は、開幕戦からスタメンで出場。横浜F・マリノスを相手に鮮烈なフリーキック弾を決めました。結構近くて難しい位置かなとも思ったんですが、壁3枚の左2人の頭の間を速いボールで抜きました。あれはイメージ通りでした?

そうです。壁を見た瞬間に「何か避けそうだな」と感じて、壁の頭の辺りに速いボールを蹴ったら入るなと、立った瞬間に分かりました。そのときの感覚で入ったゴールでしたね。

――プレーをいろいろ拝見していて、山田選手のキックはモーションよりも速いボールが行く印象を受けました。アルビレックス新潟戦のフリーキックなんかもまさにそういうふうに感じたんですが、何かコツというか意識していることはありますか?

これ、よく聞かれるんですけど、無いんですよね。いままでフリーキックの練習も特にあまりしたことがなくて。

ただ、シュートの練習はもちろん凄い数をずっとやってきて、その感覚に近いです。いままでシュート練習をやっていろいろな感覚を掴んできたものが、止まったボールでできているというか。止まったボールはもう誰にも邪魔されないので、そこで発揮できているんだなというのはあります。

いままでシュート練習などで積み上げてきたものが形になり、あのように結果にできました。染みついたものというか、感覚として自分の体に落とし込めていたので、それがそのまま出たという感じですね。

――また、京都時代よりも「周りにプレーをさせるプレー」が増えているように個人的に感じます。ヴェルディでプレーするうえで意識していることなどはあります?

自分は1人で何かできるタイプではありません。山見(大登)選手みたいなドリブル突破ができるわけではないですし、足が特別速いわけでもないです。

周りを使いながら、かつ周りに使われながら、ボールを出しても止まらないとかそういった連動性が一番自分の武器だと思っています。そういうところはこのチームに来て、より発揮されるようになってきました。

――今季ここまでフル出場が1試合もありません。フルで出たいという気持ちもあると思うのですが、その中での自身の役割についてはどのように捉えています?

いや、今年はもう、特に前の選手は前半で全部を出し切るくらいで、次の選手にバトンを渡していけと言われているので。その役割はきちんと果たせているかなと思います。

後半が始まって少し時間が経ったらもう筋肉がピクピクしだしています。いまのヴェルディのスタイルを貫くには、逆にフル出場をしてはいけないなというくらいなのでそこは体現できているかなと思います。

「引き寄せる力は、自分もあると思います」

――話が代表に戻りますが、4月のU23アジアカップ。パリ五輪出場をかけたあの大会は本当に難しい大会だったと思います。初戦の中国戦、松木玖生選手へのアシストでチームとしてはもちろん、山田選手としても乗れた部分はありました?

はい。あのアシストから、難しい試合になりましたけど(※前半17分に西尾隆矢が一発退場して10人に)、最初に点を取れたことで難しい展開になっても試合をものにすることができて、そこから勢いがつきました。

――その後も、五輪出場がかかった準々決勝カタール戦での先制弾や、決勝のウズベキスタンでの決勝弾。決めたゴールはいずれもニアへのシュートでしたけど、あれはもう自分の形ですか?

そうです。ずっと練習してきましたし、そういう大舞台で決めちゃうのが、自分なので。

ああいうところで決めちゃう…何て言うんだろう。“持っている”じゃないですけど、引き寄せる力というのは、自分もあると思います。

――パリ五輪では最初、バックアップメンバーとして発表されました。発表自体はどういったシチュエーションで聞かれたんです?

ちょうど練習から帰っている途中で、家へ帰ったら奥さんに「バックアップメンバーみたい」と言われて知りました。

正直なところ、バックアップメンバーにも入れるとは思っていませんでした。直前に少し休んでしまい、復帰してまもない時期だったので、オリンピックというのは自分の中で一回消していたんです。

逆に入るとは思っていなかったからこそ、「使いたいと思われる選手になっているんだな」という実感もありました。

バックアップメンバーとして選ばれたときは最初帯同しないとなっていたんですけど、絶対に帯同することになるだろうなと思って。名前を呼ばれた時点でもうオリンピックには行く気でいました。

――チームに合流した後のTeam Camで「日本には自分が必要」と仰っていたことは印象に残っています。実際に2試合目のマリ戦で先発。ピッチに立ったときの気持ちはいかがでした?

一度諦めた舞台に立っているんだなという、感慨深いものがありましたけど、なによりその舞台を「楽しめた」というのが一番良かったかなと思います。

【インタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ
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――そこからイスラエル戦、そして準々決勝のスペイン戦も先発しました。先ほどスペイン戦のことを仰っていましたが、スペインと対戦した中で感じた自身の課題みたいなところは?

セカンドボールやルーズボールのとき、スペインの選手は球際が「強い」というよりは「うまい」と感じました。

予測とか、ボールがこぼれる場所が分かっているんじゃないかというくらい早くて、パッと拾われちゃうんです。そこは一番差があるというか、自分の一番の課題だと思いました。

――大岩剛監督のもとでは2022年のU-21日本代表からプレーされてきました。五輪代表での活動は「選手・山田楓喜」にどのような影響を与えました?

所属チームとはまったく別物として考えていたので、チームでやっていると見えない、自分の強さや弱さが分かる活動でした。そこが一番良かったかなと思います。

山田楓喜が「魅せる」意味

――山田選手は「魅せる」という言葉をさまざまなところで使っている印象があります。山田選手にとってサッカーはどんな存在ですか?

小さい頃から遊びでやってきたので、その延長線上でもあります。やっぱり見ている人にどれだけ楽しんでもらえるか、喜んでもらえるかというのが一番大事だと思っています。

そこは、常に意識しながらプレーしていますし、それ以上に自分が楽しむ場だと思うので、そこは忘れずというか、そういった気持ちを持ちながらずっとサッカーをしている感じです。

――そんな山田選手のゴールパフォーマンスに「楓喜マスク」というのがありますけど、あのポーズを思いついたきっかけは?

奥さんが写真を撮るとき、あれと似たようなポーズをしていたんです。それで「点を取ったらこれやるわ」みたいに約束をして、いきなり開幕戦で取っちゃってそれからですね。

【インタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ
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ゴールを決めた後は一番ファン・サポーターの人たちが自分のことを見るじゃないですか。自分が小さい頃にサッカーを見たとき、そういうのにも憧れて「かっこいいな」と思いながら見ていて、いまは自分がそれを見せる側になれている。

そう思うとすごくうれしいですし、実際に真似してくれる小さい子がいっぱいいるのでそれは素直にうれしいなと思います。

――クラブの公式Webサイトにあるプロフィールで「自分のサッカー人生に影響与えた選手」として、玉田圭司さん、そしてトッテナムのスウェーデン代表MFデヤン・クルゼフスキの2人を挙げています。それぞれの理由を伺ってもいいですか?

玉田さんは、自分の親が名古屋グランパスが好きで、グランパスの試合を小さい頃からずっと見に行っていました。ゴール裏で跳んでいたんですけど、同じ左利きでなんかすごい選手がいるなと思って、そこからずっと好きで応援して見ていた選手でした。

クルゼフスキは、去年か一昨年くらいに見つけて。なんか自分と似ているなと。

クルゼフスキも特に自分で何かドリブルをしたり1人で突破したりという選手ではなく、左利きで、周りを使い・使われながら自分の特徴を出している。試合を見ている中で気になった選手がクルゼフスキでした。

自分は自分なのでお手本にはしないんですけど、そのときの自分の“究極系”はクルゼフスキだなという感じで見ていました。

【インタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ
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※クルゼフスキはこの週末、トッテナムが王者マンチェスター・シティを4-0と粉砕した試合でも先発フル出場。右サイドを起点にプレーの質と豊富な運動量で周りとつながりアウェイでの快勝に貢献した。

――ありがとうございます。では最後に、ファン・サポーターへのメッセージをお願いします!

今年、自分たちがいろいろ積み上げてきたことで、ヴェルディに魅力を感じてくれる人がすごく増えて、毎試合1万人以上が入るようになりました。

自分たちに魅力を感じて来てくれるというのはすごくうれしいですし、いろいろな方にもっと広めてもらいたいというのもあります。

自分たちはいままで通り…それ以上のものを見せていきたいと思います。それを応援してほしいですし、さらに広めて、ヴェルディを知らない人を連れてきてほしいなと思います。

残りの試合も自分たちを“魅せたい”と思うので、これからも応援よろしくお願いします。

【インタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ
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山田楓喜

2001年7月10日生まれ(23歳)
東京ヴェルディ所属(※京都サンガF.C.から期限付き移籍)

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