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もう限界。誰にも相談せずに、わたしはその日、二重になった

  • 2024.11.24

わたしは生まれつき一重だ。きっと父親譲りだろう。小さい頃なんて、一重がいい!とか二重がいい!とかそんなことを言う子なんて周りにいなかったから、自分が一重であることなんて気にしたことがなかった。

でも、高校、大学くらいだろうか。二重の女の子がかわいい!とされていることをふと感じ始めたのは。鏡で自分の顔をみて、瞼をつねってみると重い瞼なことに気付く。その時の自分は彼氏なんてできたことなくて、その理由が一重なんじゃないか。そう思ったこともあった。

◎ ◎

自分に元々自信があるタイプではなかったけど、自分はかわいくないんじゃないか。って思った時、余計自信がなくなった。

そんなわたしにさらに悲劇が襲う。
大学生になったわたしは、新しくサークルに入った。スポーツ系のサークルだったからか女子の割合が少なかったので、女子が入るだけで重宝された。そんな中、たまたまサークルの集まりに参加した時、二重で目がぱっちりした女の先輩がいた。わたしもかわいい!と思ったけど、男性たちの方が態度に如実に現れていた。

女子はわたしもいるのに、かわいい女の先輩にはかわいいと言い、優しくするのに、わたしは雑に扱われた気がした。

態度の差にすごく傷付いた。
同じ人間なのに。女の子なのに。

別に、かわいいとか言われたいわけじゃない。でも、態度の差に傷付くのは仕方がなかったと思う。

◎ ◎

間接的に、「かわいくないよね」と言われたこともあった。
そんな言葉を聞くたびにどんどん心に穴が空いた気がした。

追い打ちをかけるかのようにマッチングアプリで事件が起きた。

マッチングアプリが学生の中で流行っていたとき、わたしも案の定インストールをした。ただ、顔面に自信があるわけじゃなかったから、もちろん顔写真は載せずに。

写真を載せていないと、余計気になるのが男性たち。写真見せてと言われ、送った写真をみるや否や顔面を否定された。会ったこともない知らない人に否定されることに酷く傷付いた。

なぜ人にそんなことが言えるのか。そんな人がいることにさえ傷付いた。

◎ ◎

そんなわたしも社会人になり、忙しい生活を送っていたが、悲劇は再び起こる。
渋谷駅構内を歩いているとき、はじめは美容師さんにカットモデルを頼まれた。

嬉しくて、心が温かい気持ちになった。
声をかけられてるいる姿を見て、美人だと思ったのか、後ろを歩いている男性グループが早歩きでわたしを抜かし、顔を見てきた。顔を見るや否や、「なんだ、ブスか」そう言ってグループみんなで笑いながら通り過ぎていった。

何も感じずただただ悲しかった。
その時の記憶はいまだに鮮明に残っている。

◎ ◎

もう限界。そう思ったわたしは休日に二重整形の美容外科に相談をしに行った。
その時の行動は誰よりも早かったと思う。
カウンセリングして、当日に二重埋没を決意したからだ。
誰にも相談せずに、わたしはその日、二重になった。

自分の顔に違和感を感じつつ、親に説明できない。と隠したい気持ちが出てきた。
ただ、二重になってからは、かわいいと言われ、確実に周りからモテるようになった。
そして、前よりも自分に自信を持ち、積極的に行動できるようになった。良かったことなんてたくさんあったと思う。

でも、親に説明だけはなかなかできなかった。

◎ ◎

そんなある日、実家に帰るタイミングがあり、親に打ち明けることになった。
なんて言われるか不安の気持ちいっぱいだったが、両親はわたしの顔を見て、良いねと言ってくれた。

ほっと安心した。
安心したのは束の間で、後日父親から連絡がきた。
「ショックでした」と。

わたしはこの連絡を見て、号泣した。
目が腫れるまで泣いた。

きっと、直接はショックすぎて言えなかったのだろう。父親からの精一杯のメッセージに本当に心に響き、悲しくなった覚えがある。

◎ ◎

二重という憧れの先にあったものは、本当に大事なものを気付かせてくれたという経験だった。
どれだけ他人に貶されて、傷付けられても、親からもらった大切な身体を自分自身が愛せていなかったことに気付いた。自分自身を認めてあげること。愛してあげること。
それが一番大事だったってことに。

自分を愛せていれば会ったこともないような他人からの言葉に傷付くことも、親を傷つけることもなかったのかもしれない。
でも、自分を愛そうと思えたこの経験はわたしにとっては大切な宝物だ。

■左利きちゃんのプロフィール
さつまいもと新しいことに触れるのが大好きです。
そのためか休日はだいた外に出ています。※実際に左利きです。
(note:https://note.com/ol_yamada/portal)

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