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【ネタバレ】映画『六人の嘘つきな大学生』犯人は誰?事件解決の道筋を解説

  • 2024.11.24

2021年に刊行された同名小説が原作のミステリー映画『六人の嘘つきな大学生』。監督を『脳内ポインズンベリー』やNetflix映画『シティハンター』の佐藤祐市が務め、主人公・嶌衣織役を浜辺美波、嶌とともにある事件に巻き込まれる就活生には、赤楚衛二や佐野勇斗、山下美月、倉悠貴、西垣匠など若手注目キャストが名を連ねる。

ある企業の新卒採用最終面接で起きた事件。互いの知られざる本性を暴露する手紙に翻弄された学生たちは、事件の最後に何を見るのか。

『六人の嘘つきな大学生』(2024)あらすじ

舞台は、人気エンターテインメント企業・スピラリンクスの新卒採用試験会場。最終選考まで残った6人は、グループディスカッションを通して全員で内定を勝ち取るために事前の準備に入念に取り組み、仲を深めてきた。しかし、無情にも急な課題変更が言い渡される。それは、6人で話し合い、1人だけ内定者を決めるというもの。6人は自己PRを行い、15分に1回投票して総得票数で内定者を決めることに。1回目の投票後、部屋に怪しい封筒を発見する6人。中には、6人それぞれに向けて宛名が書かれた小さな封筒が。九賀蒼太(佐野勇斗)が自分宛の封筒を開けると、そこには袴田亮(西垣匠)が高校時代に野球部の部員をいじめて、自殺に追い込んだと記載されている。6人はそれぞれの知られざる姿を告発する手紙と内定者を決める投票に追い詰められ、嘘と秘密、エゴに翻弄されていく。

※以下は、ストーリーのネタバレを含みます。

密室で展開されるワンシチュエーションミステリー

この映画は、ワンシチュエーションの古典映画『十二人の怒れる男』のフォーマットに近く、ミステリー要素を加えたもの。人気企業の最終選考というそれぞれのエゴが表出するシチュエーションのなかで、相手や自分についての暴露が行われる、人間の感情を揺さぶるヒリヒリとしたミステリーになっている。

最初にいじめが暴露された袴田は、その後の内定者決定投票で票を得ることができず、自暴自棄になって次の手紙を開けて誰かの暴露を望む。暴露が続けば、その人物の票が下がり、自分に票が集まるのではないか。内定をとりたいという気持ちから人の過去を暴いてやろうという黒い感情が生まれていく。前半に、6人が仲を深めていく過程が丁寧に描かれていることで、人間の身勝手さがより際立つ構成になっているのだ。

暴露される者が増えるにつれ、6人の思考は徐々に暴露犯探しへと移行していく。封筒をおいたのは誰なのか、録画されていたビデオを確認してみると、そこには森久保(倉悠貴)の姿が。森久保は「自分は何もやっていない」と、強く否定するも聞き入れられず、内定者の投票は続いていく。すでに暴露され済みのメンバーは暴露を続けることを望むが、波多野(赤楚衛二)は頑なに迎合しない。波多野の大演説に心を動かされた5人は、手紙を開けるのをやめようと思い始める。

そんなとき、九賀が暴露写真の特徴に気が付く。九賀、矢代(山下美月)、森久保の写真には、すべてに同じ傷と模様があった。そしてその写真はすべて同じ日に撮られたものであることに気が付く。その日に唯一予定がなかったのは、波多野のみ。そして波多野の暴露は未成年飲酒と他のメンバーに比べて、ダメージが小さいものだった。

5人は波多野が暴露写真を撮影し、自分だけ暴露されてもダメージが小さいものにしたのではないかと考え、波多野を犯人と断定する。波多野は自分がやったとしぶしぶ白状し、最後の投票へ。唯一暴露されないままだった嶌が最も票を集める結果となり、嶌が内定者に決定する。

犯人は波多野祥吾ではない?

数年後、スピラリンクスの社員として働く嶌の元に、波多野の妹・芳恵(中田青渚)が訪ねてくる。芳恵は、嶌に波多野が病気で亡くなったことを伝え、遺品整理中に「犯人、嶌衣織へ」と書かれた手紙とUSBメモリーを届ける。そのUSBメモリーには、パスワードがかけられており、パスワードのヒントは”犯人が愛したもの”。嶌は自身が好む“jasmine tea”と打ち込むも、弾かれてしまう。それもそのはず。嶌は犯人ではないのだから。

嶌は再び、事件を調べ始める。暴露写真が撮られた時間と場所などを整理していくうちに、同日中に撮影するのは不可能な位置関係であること=波多野が写真を撮影したわけではないことに気が付く。また、最終選考中に録画されたビデオを確認すると、矢代と森久保が暴露写真が入っていた封筒から、何かを取り出しているのを発見。また、波多野が所属していたサークルのサイトから、波多野の暴露写真に使われたと思われる写真を見つけ、ある違和感に気が付く。

嶌は、数年ぶりにあのときの4人をグループディスカッションを行った部屋に呼び出し、経緯を説明する。矢代と森久保は、「暴露写真が同日に撮られたものである」と証言しろというメモが入っていたと白状する。嶌は、波多野のサークルのサイトに白いビンのお酒をのむ写真があったにも関わらず、暴露に使われたものはピンぼけしたビールを飲む写真だったことを見せつける。犯人は、白いビンを酒だと知らない人物=九賀蒼太だったのだ。

九賀は、自分の尊敬する先輩がスピラリンクスに落ちたことで企業の人事部に不満を抱いており、5人の本性を暴くことで人事部に人の見る目のなさを突きつけようとこの事件を企てたのだった。

九賀の暴露事件に関する告白を聞いた嶌は、USBのパスワードに九賀の口癖“fair”を入力。その中には、音声ファイルが保存されていた。波多野が犯人扱いされたことで絶望し、それぞれのメンバーの過去に関わる人物にインタビューをおこなっており、そこでそれぞれの秘密や罪には事情があったことを知ったという。善人の皮をかぶっているように見えたメンバーたちは真の悪人ではなく、それぞれの正義や道徳の元で生きていたのだ。事件は解決し、嶌は波多野の墓前に手を合わせる。ここからがスタートだと前を向くのだった。

最初から張り巡らされた伏線の鮮やかさ、限界の精神状態のまま繰り広げられる密室劇、事件が解決に導かれていくカタルシスを、一度に味わえる贅沢な映画となっている。

※2024年11月22日時点の情報です。

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