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【お悩み】人前に出ると赤面してしまう…他人の視線にさらされるのが辛い。どうすればいい?#73

  • 2024.11.23

はーいみなさん、ごきげんよう!満島てる子です。
季節の変わり目、みなさんいかがお過ごし?

あたくし先日、ちょっとした節目を感じるイベントが。
実はわたくし、現在女装仕事をはじめて10年に差し掛かっているところなのですが、11月3日(日)、デビュー(ほぼ)同期のアンジー、キモ実ナナのふたりと一緒に狸小路のライブハウスを貸し切り、3人で10周年の感謝を伝えるイベントを開催させてもらったんです。

ショータイムあり、DJタイムあり。乾杯に次ぐ乾杯の大どんちゃん騒ぎ(「#記憶」って感じ……笑)。
昔馴染みの方から、ここしばらくで出会えた方まで、たくさんの人がフロアに集まってくれました。
嬉しすぎて涙ちょちょぎれちゃったわよ。

Sitakke
ライター・満島てる子

そんなイベントの余韻にひたりつつ過ごす、ここしばらくなのですが。
思い返せば、デビュー当初のあたしって極度のあがり症。
ステージに立ってショーするなんて度胸もなけりゃ、人と楽しくお話するなんてもってのほかだったのよね。

今回は、そんなかつての自分を彷彿とさせるようなお手紙が。ご紹介させてください。

読者のお悩み:「人前に出ると赤面してしまう……他人の視線にさらされるのが辛い。一体どうしたらいいのっ!涙」

Sitakke
Sitakke
Sitakke

あらあらぁ。可愛らしいことに、悩みがそのままペンネームにまで反映されてるじゃないのよ。
とはいえきちんと真剣で、あまり重苦しい文調にはしたくないけれど、はっきり言ってしっかり深刻な内容よね。
まずは赤面ひつじさん、こちらのお悩みルーム、見つけてくれてどうもありがとうございます!

そうかぁ。あなた、人から見られることが苦痛なタイプなのね。
冒頭でも書いたけれど、あたしも実はもともとすごく緊張に弱くって、なんなら他人の前で上手に振る舞えないタイプ。今でもそれは変わらないの。メイクしていないときは特にそう。

"あたし"自身も…

メインパーソナリティーを勤めさせてもらっている「したっけラジオ」の第1回の中でも話したんだけどさ。
こないだなんて「仲良くなりたい」とかねてより思ってた人との、初のすっぴんでのふたりきりの食事。
当日を迎えるまで、とっても楽しみだったのですが。

じゃあいざ!となったらば、あまりに緊張しすぎて何話してよいかもわからず。なのにそのくせ、どう見られているのか気になりすぎてしまって。
冷や汗かきながらこちらはだんまり。どうしようもなくて、間をつなごうとひたすら飲酒。
向こうがビール1杯飲む間に、あたし7杯ぐらいおかわりしてたのよね。ジーザス。←

……いやね、今はこうやって冗談めかして書いてはいるけれど。結構あたしこれガチで困るときあるのよね。ほぼ対面恐怖症の域。
自分の場合は顔が赤くなるとは異なる出方ではあるんだけれど、だとしてもお手紙の内容にはやたら「わかる」がいっぱい。
特に赤面ひつじさんと共通しているのは、自分の中にひそむ「劣等感」だと思います。

他人の目線と「劣等感」

ゲイのあたしは、異性愛が軸となって回っているいわゆる「普段」の生活の中では、現時点ではいろんな話題から蚊帳の外です。
結婚や出産はもちろんのこと、付き合う付き合わないにしてもそう。どうしても部外者になりがちなことが多い。
そのせいで、なんとなく社会に適合できていないかのような違和感を抱え、そんな自分に「最近どうなの?」的な関心を向けられることを、どこかしんどく思ってしまう。

となるとです。じゃあゲイ業界に行けば救われるのかというと、そうもいかない。
男として男が好きなゲイが求めるのは、どうやらどうしても「男っぽい男」に偏るようで(漢!的な)。
素顔の時点で昔からフェミニンさがなぜか抜けないらしいあたしは、はっきり言ってモテない。
そのせいで、コミュニケーションの輪にすらそもそも加われなかったなんてざら。

だからそんな自分をどこかゲイとして、なんなら男性として恥ずかしく思っちゃうし、かといって「漢になるぞ!」なんて気合いもないので、同じセクシャリティの人たちと新しく出会うような機会を自分からは求めないというか、なんとなく避けて生きてきたような気がするんです。

そんな、そもそも複雑な「B級」の意識がこじれにこじれて。
赤面ひつじさんと同じように、誰であれ他人からの目線をそもそも忌避する癖へと、自分の中でよくない成長をどうやらかつて遂げてしまっていたような気がする。

このコラムを書きながら、そんなおのれの変遷を改めて発見している自分が、今タブレットの前にはいたりするのでした。

あしたしなりのAnswer

とまぁ突然、てる子の”心情大暴露大会!”みたいになってしまったけれど。笑
行動選択の傾向や、そのベースとなっている心理状況にしても、「僕」としては赤面ひつじさんに今回共感が止まりません。

だからこそここからは、少しでもこの相談の解決につながるような話を、文章できちんと残したいなと。
なので、物言いがいつものコラムと比べて、少しばかり強めなものになるかもしれないんだけれど、どうかご了承くださいね。

さて、赤面ひつじさん。
まずもってですが、あなたが今抱えているその赤面症。
もうご存知かもしれないけれど、ときに「社交不安障害」という疾患の、一種の症状として数えられることがあります。

だから、もーーし日常生活にとんでもない支障が生じていて、もう耐えられないという場合は、迷わず病院に相談するのがベスト。
認知行動療法をはじめとした適切な治療を、医師の指導のもと受けてください。
このお手紙を読んだとき、かつて心療内科のお世話になり助けられたことのある身としては、この選択肢を明示しておきたいなと最初に思いました。

こうあらかじめお伝えした上で、です。
あたしには赤面ひつじさんに、個人的にアドバイスとして贈りたいというか、言っておきたいことがあるの。それはね。
「他人はあなたが想像している以上に、あなたどころか誰も見てないし興味もないらしいから、どうか安心してね」という話なんです。

他人は意外と見ていないかもしれない

「何を荒唐無稽な」と思う人もいるかもしれません。もしかしたら「他者に対する信頼ゼロかよ」とお叱りの言葉までもらうかもしれない。
でもあたしは、この事実を知ってだいぶ楽に生きられるようになったの。
そしてそれを教えてくれたのは、ほかでもなくこの10年続けてきた、女装という自分のお仕事だったのよね。

ここで少しだけ「恥ずかしさ」というものについて考えてみましょう。これって実は、不思議な仕組みから成り立っている感情。
「見られたくない」という願いを伴う気持ちなわけですが、その願いはあくまで「見られている」前提があるからこそ発生します。
言ってしまえば「誰かは自分を見ているはずだ」という、そんな他者への期待が恥ずかしさの奥底にはあったりするわけです。

でも驚くほどに、人間は何も見ていない。

だってね、あたし本当にびっくりしたのよ。
新人時代、あがり症ながらに「やってやろうじゃねえか!」と開き直ってさ。
ど派手なメイクと衣装を身につけて、カウンターやステージで「さぁ見てくれ!」と言わんばかりのトークやパフォーマンス、自分なりに頑張って披露したところで。

よっぽど魂を震わせる何かでもなければ、あたしの言葉や挙動に目を向けてくれる人なんて、これっぽっちもいやしない。
むしろ、そんな人がいてくれたら奇跡だったの。それを身をもって知ったんです。

その瞬間から、あたしは他者の目線に基づく緊張というものから、距離を置けるようになっていきました。
残酷な話なんだけれど「誰かが見てくれている」という期待が、ステージという特殊な状況に限らず日常からしていかに甘いものかっていうのが身に沁みたというか。
なんならその期待って捨て去った方が楽なものなんだって、どんどん自覚させられていったんだよね。

大切な人の眼差しに感謝を込めて…

Sitakke

そして、ひるがえって。
心を寄せて、自分が何をしようとしているのか汲み取ってくれる人の存在が、どれほど貴重か。
それを思うと、そんな出会いや眼差しのひとつひとつをむしろしっかり受けとめたいって、そんな気持ちにさせられたんです。
不思議な話だけれどもね。

だからね、赤面ひつじさん。
もしよければ、あなたにもぜひ割り切って考えてみてほしいの。
「嗚呼、自分の想像と違って、誰も自分のこと見てないじゃん。別に興味ないわよね!」って。
きっとそれがあなたに、自分のことも他人のことも「ありのまま受け入れ」るための、貴重な足掛かりを作ってくれるはずだから。

社会に適合できないことを、恥にも罪にも思わなくていい。
むしろ思ったより社会は、あなたのそうした意識に関わりがない。関わってくれるものじゃない。
だからこそ、あえて自由に生きてみてほしい。

すぐには無理かもしれません。
でもそんな意識を持つだけで、少しは「穏やかに生きて」いくことに近づくんじゃないかしら。
赤面ひつじさん。あなたが、いつか白いモフ毛だけのシンプルなひつじさんになれるよう。
遠く北海道の地から同じく緊張しいのひとりとして、これからもその行く末を応援していますよ!

ま・と・め♡

というわけで今回は「他人からの目線」という話題について考えを巡らせながら、あたしが女装から学んだことなんて方向性で、話を展開させてもらいました。

いや本当にね、自分を見ようとしてくれる人って貴重だと思うんだ。
だからこそあたしは、こないだの10周年パーティーに足を運んでくれた人たちには、心底感謝したい。
ラジオのリスナーさんだったり、このコラムを読んでくださる方々にだってそう。文字通り「有難い」存在なんだよなって、何か機会があるたび思ったりするの。

これからも、みなさんの眼差しを励みにしながら、あたしなりに精一杯がんばって行こうと思います。
ではまた次回。Sitakkeね〜!

『ひとりの夜にあなたとあたしの したっけラジオ』

Sitakke

■番組名 「ひとりの夜にあなたとあたしのしたっけラジオ」
■放送日時 毎週日曜日 午後7時30分~8時00分 ※初回放送:2024年10月6日(日)
■出演 満島てる子、HBCアナウンサー・森結有花
■番組メールアドレス st@hbc.co.jp
■Podacast https://podcasters.spotify.com/pod/show/hbcsitakke

番組メールアドレス(st@hbc.co.jp)では、リスナーの皆様からのご意見や感想を募集します!
また、「Sitakkeの公式X」では、ハッシュタグ「#したっけラジオ」で、番組を盛り上げていきたいと思っていきたいと思っているので、こちらもぜひハッシュタグをつけてご感想をお寄せください!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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