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横浜流星&吉岡里帆、意外な“正体”を告白「実は料理が苦手」「こう見えてタフ!」

  • 2024.11.23
(左から)横浜流星、吉岡里帆 クランクイン! 写真:高野広美 width=
(左から)横浜流星、吉岡里帆 クランクイン! 写真:高野広美

『余命10年』や『青春18×2 君へと続く道』など話題作を次々と手がけている藤井道人監督の最新作『正体』で、共演を果たした横浜流星と吉岡里帆。殺人事件の容疑者として死刑判決を受けたが、その後脱走し逃亡を続ける男と、彼を信じようとした女性のまぶしくも切ない関係を鮮やかに体現している。藤井監督とタッグを重ねている横浜は、「同志」と監督について表現。藤井組初参戦となった吉岡は、そんな二人の強固な絆に「すごく羨ましい。当てられちゃった」と笑顔をこぼす。共演の感想をはじめ、お互いの意外な一面などたっぷりと語り合ってもらった。

【写真】この並び美しすぎる! 横浜流星&吉岡里帆、撮り下ろしショット

◆初共演の感想は? 「吉岡さんに何度も救われた」

染井為人による同名小説を映画化した本作。日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)そして彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。間一髪の逃走を繰り返す343日間。彼の正体とは?そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える、感動のサスペンスだ。

――殺人事件の容疑者として死刑判決を受けた鏑木と、そうとは知らずに出会い、彼を信じようとする女性・沙耶香。サスペンスフルな世界で希望の光となるような関係性を演じました。お互いの印象について教えてください。

横浜:鏑木にとって沙耶香は、救いとなるようなとても大きな存在です。彼が逃亡していることには目的があるんですが、沙耶香と出会ったことによって「沙耶香のために」という思いがどんどん大きくなってくる。吉岡さんは温かく包み込んでくれる方で、現場では常に沙耶香として存在してくれました。吉岡さんはいつも、人の目を見てお話をしてくれるんです。それって当たり前のようで、なかなかできないこと。そういった吉岡さんの真っ直ぐな姿勢や、醸し出す空気感には沙耶香と通じるものがあって、僕自身、撮影中に何度も救われました。

吉岡:鏑木という役柄は演じ分けが必要となるキャラクターですが、横浜さんが演じる鏑木からは「この人を守らなければいけない」と感じさせるようなピュアな誠実さと、痛みを背負っている影を感じて、「自分が強くならなければ」と自然と思うことができました。本作は夏編と冬編に分けて撮影をしましたが、時間を経て冬編で再会した鏑木は、毒が抜け切ったような表情をしていて。流星くんの体現した真っ直ぐな目を見ながら、私は「この人に幸せであってほしい」と思いながら撮影をしていました。

◆横浜流星と藤井監督は「夫婦のよう」!? 揺るぎない信頼関係に驚き


――劇中では5つの顔を持つ指名手配犯として、横浜さんがあらゆる表情を見せています。吉岡さんからご覧になって、難役を演じた横浜さんのすごみを実感した瞬間があれば教えてください。

吉岡:山ほどありますよ! これを語ると1時間くらいかかってしまいます。

横浜:(笑)。

吉岡:鏑木というのは5パターンの演じ分けが必要な役柄であり、なおかつ、いろいろな葛藤を抱えながらも人への優しさを忘れないという役柄です。私は台本を読んだ時に「この役は、演じられる方自身が人として成熟していないと説得力が生まれにくい役なのではないか」と思ったんです。特に沙耶香は鏑木を家に住まわせたりするので、彼を演じるのが人として信じられる魅力のある方でなければ、成立しない展開だと感じました。横浜さんは演じ分けをできるだけではなく、そういった人としての魅力も持ち合わせていらっしゃいました。もちろんすでにたくさんの人から注目されていらっしゃいますが、共演者としてもどれだけすごいかを「もっと知ってほしい!」と思わせるような方なんです。驚くほどの努力をしながらそれを見せないので、その裏側がもっと届いてほしいなと思います。

横浜:ありがとうございます。すごくうれしいです。

――大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)〜』も撮影中で、ますます俳優業に邁進されています。横浜さんにとって、努力を惜しまずこのお仕事に打ち込む原動力となるのはどのようなものでしょうか。

横浜:いいチームでいい作品をつくれるということが、なによりうれしいです。そして一人でも多くの方に作品を届けて、それが誰かの人生を変えることもできると思うとやっぱりすごい仕事だなと感じます。バースデーイベントをやって応援してくださる方々に会えると、「この作品で人生が変わった」と声をかけていただけたりすることもあって。そういう時は、本当に報われたなと思います。誰かの心になにかを与えられた時に、大きな喜びを感じます。また僕にとってそう思えた原点は、戦隊モノです。右も左も分からないままお芝居というものを教えてもらって、作品と向き合って。作品づくりの楽しさを教えてもらったことで、今の自分がいるなと感じています。

――横浜さんと藤井監督にとって、長編劇場映画では『青の帰り道』『ヴィレッジ』に続き3回目のタッグが叶いました。撮影現場で藤井監督は、「僕と流星が脂の乗っている時期に、極上のエンタメを作りたいと思って取り組んでいる作品」だとおっしゃっていました。

横浜:お互いの脂の乗った時期…。自分で言うのは恥ずかしいですが、そういった部分はあるのかなと思います(照笑)。鏑木というのは間違いなく、俳優としてもいろいろな経験をしてきた今だからこそ演じられる役です。僕は乗り越える壁が高ければ高いほど燃えるタイプなので、今回のように難しい役を藤井監督から与えられた時はうれしかったです。撮影には、藤井イズムのようなものを残しながら「極上のエンタメを作っていこう」という共通認識を持って臨んでいました。お互いに今まで積み上げてきたものを、集大成として本作に注ぎ込めたのかなと感じています。

――横浜さんにとって、藤井監督とタッグを組むことの特別さとはどのようなものでしょうか。

横浜:お互いに何者でもない時期から、一緒に歩いてきました。同志みたいな感じです。藤井監督の現場に来るとホームのように帰ってきた時の安心感もあるし、その絆は決して揺るがない。「藤井、横浜のタッグはもう何度も観たよ」と言われたとしても、これからも一緒に作品をつくっていきたいです。

――吉岡さんは藤井組に初参戦となりました。藤井監督の現場の印象を教えてください。

吉岡:俯瞰の目線を持ちながら、とても細やかな演出をしてくださって。一対一で向き合ってくださる監督で、作品全体がどうすればよくなるか、常に頭をフル回転させて考えている方なので、ものすごく信頼できます。完成した映画を観た時には、ト書きやセリフでは書かれていない部分からも本作に込めた大事なテーマが伝わってきました。最悪の状況で逃亡し生き続ける青年を通して「人生、捨てたもんじゃない」という生きている幸せ、実感というところまで導いてくれて、とても感動しました。

――現場では、横浜さんと藤井監督の信頼関係を実感することはありましたか。

吉岡:すごいですよ。傍目にも仲の良さが伝わってきます。見せつけられちゃったなと思って(笑)。

横浜:(笑)。

吉岡:そう感じるくらい、お二人のタッグは夫婦みたいだなと思いました。お互いの弱さも魅力も一番知っているから、相手が苦しんでいる時も分かる。流星くんが悩んでいると、藤井監督は「大丈夫、大丈夫」と優しい顔をしています。藤井監督はトライすることを諦めない方で、流星くんの高みを知っているからなのか、常に「今のもよかったけれど、うちの流星はもっと行きます」と思っているような感じがありました。お二人の関係性を見ていると、なんだか羨ましかったです。「すでにそういう監督と出会っているんだな」「すばらしいな」と思いましたし、ちょっと当てられちゃったなという気がしています。

◆意外な正体を告白「実は料理が苦手」「こう見えてタフ!」


――ある一面だけで人を判断してしまったり、物事の本質を見失ってしまったりすることの恐ろしさも浮き彫りとなります。お二人にとって、ご自身の中に世間のイメージとはこういったギャップがあるかもしれないと思うことはありますか。

吉岡:私は、皆さんが思っているよりタフかもしれません。「大変なお仕事でしょう」と声をかけていただくこともありますが、結構強いタイプの人間で(笑)。自分で言うのもなんですが、この世界でいろいろなことを乗り越えてきたら、いつの間にか筋力がついてタフになっていました。20代は弱音を吐きたいと思ったこともありましたが、気づいたらそんな30代を迎えていましたね。お仕事などで会う方には、「もっと繊細なのかと思った…」と少しがっかりさせてしまったかなと思う時もあります(笑)。

横浜:僕はどのように見られているかが、自分ではよく分からなくて。どう見られているんだろう…? ただ人それぞれ感じ方は違うものなので、「自分はこうなんだ」と提示するのも違うような気がしていて。どのように見ていただいてもいいかなと感じています。

吉岡:私がギャップを感じたのは、餃子を作るのがあまり上手ではなかったことかも(笑)。でもあれは、“鏑木くんが餃子を初めて作った”というお芝居だったのかもしれません。

横浜:そうです、芝居です!(笑)

――たしかに横浜さんには“完璧”というイメージもあるかもしれません。

吉岡:私としても完璧なイメージがあって、万能だし、強いし、やさしいし、真面目だし…と思っていたところ、意外な一面を見つけられてなんだかうれしかったんです。一人で喜んでいました。

横浜:完璧主義ではあると思います。でも料理は…(苦笑)。一度作品で料理人の役をやったことがあって、その時はひたすら練習をしました。その役が終わってからはあまり料理をやっていなくて。苦手です!(笑)

(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

映画『正体』は、11月29日より全国公開。

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