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運勢や歴史、自分自身を含む「名字」を、女性は捨て続けていくのか

  • 2024.11.23

「結婚したら女の人は名字が変わるんだよ」

小さい頃、母の旧姓の印鑑を見つけ、誰のものか尋ねたことがあった。
結婚したら、名字は変わるもの。

将来自分はどんな名字になるのか、密かに憧れてさえいた。
結婚して4年、25年使っていた名字を捨てて丸4年。
私は今ゆるく夫婦別姓を支持している。

◎ ◎

最初に感じたのは運の悪さだった。
物心ついてから結婚するまで、私は運が良いと感じて生きてきた。
ディズニーランドのショーの座席が当たるとか、私が休みの日に職場で大きなトラブルが起きるとか、良いことに当たるだけでなく悪いことを避ける方にも運があった。

それなのに結婚してからなぜかツイてない。
入籍後すぐにパンデミックが発生し憧れていた新婚旅行も行けず、結婚式も希望通りにはできなかった。夫が買ってきたユリの花束でアレルギーを発症し全身蕁麻疹だらけ、妊娠中のコロナ感染、毎年のように入院……。

結婚してから「ラッキー!」と思ったことが一度もない。
娘を妊娠中に姓名判断で調べたところ、私は新姓+下の名前よりも旧姓+下の名前の方がはるかに運勢が良かった。「たかが占い」と言われればそれまでだが、名字とともに私は両親が授けてくれた強運まで捨ててしまったようだ。

◎ ◎

私は旧姓が好きだった。
珍しくはないが歴史の教科書には必ず出てくるし、名字自体の歴史は平安時代末期までさかのぼれる。学生時代も会社でも名字で呼ばれ、一時は一人称が名字だった。

それが結婚後……。

「○○ちゃん」
「……あ、はい!」

夫の名字に「ちゃん」づけで呼ばれるのが、私のあだ名になった。でも私にとって「○○ちゃん」は「夫のあだ名」であって、「私」ではない。
名字で呼んでくれていた学生時代の友人も、入籍後は気を使ってか下の名前+ちゃん付けで呼ぶようになった。加えて夫の転勤に帯同し子供が生まれてからは「△△ちゃんママ」と娘の名前+ママが私の呼び名になった。
慣れはしたものの私のものではない夫の名字と、大好きだけど私のものではない娘の名前。
私の名前は今誰からも呼ばれない。

◎ ◎

東北大学の教授の発表によると2500年くらいにはすべての日本人が「佐藤」さんになるそうだ。
色んな反対意見があるようだが、夫婦同姓でなければ日本の伝統的な家族観が失われるなら、なぜこんなに離婚率が上がったのか。近年の同性婚や事実婚、核家族は同じ姓を名乗っていても伝統とは程遠い。
財産を相続する時に問題が起きる可能性があると考えるなら、遺産でもめる家族は0なのか。詳しくは言えないが諸事情により義父が家族でも何でもない人から財産の相続を受ける際、弁護士から重要視されたのは精神疾患や精神科への通所歴を含む健康診断結果、相続したのち税金が払えるかどうかで名字や血縁は関係なかった。

珍しい名字が途絶えれば、その一家族の歴史が失われてしまう。
男性は未婚でいたり、子供を作らなかったりある意味本人の自由で名字を絶やせるが、女性は結婚というライフイベントで実家の名字を絶やすことに加担していく。
女性は運や自分自身や歴史を含む「名字」を捨て続けるしかないのか。
日本は今、国連からも夫婦別姓を認めるよう通告を受けている。

■はるちゃんのプロフィール
穏やかでぽよぽよな夫と、12月出産予定の女の子の3人家族。 ほぼ日5年日記1年目がもうすぐ終わります。 書くことが好き。

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