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「右園死児」はなんと読む? この文字列を人や物に名付けると、不吉な現象が起こる/右園死児報告①

  • 2024.11.22

『右園死児報告』(真島文吉/KADOKAWA)第1回【全5回】『うぞのしにこ』と読む。この文字列を、人間、動物、無機物、現象などの名前に採用すると、壊滅的な被害が出る。「右園死児に至る集団報告」は明治二五年から続く政府、軍、捜査機関、探偵、一般人による非公式調査報告体系。右園死児という名の人物あるいは動物、無機物が、規格外の現象の発端となることから、その原理の解明と対策を目的に発足した。X(Twitter)発の人気ホラー小説『右園死児報告』をお楽しみください。

報告一号

報告案件 貯水池 報告者 佐竹正吉(さたけまさよし)(市役所職員)

市内貯水池の登録名称が正当な手続きを経ず右園死児(うぞのしにこ)に変更されていると市職員が通報。

迅速に改称されたが、事態発覚から対処までの数時間で五件の入水案件(じゅすいあんけん)があった。その後の調査で名称改竄(めいしょうかいざん)の実行犯は佐竹正吉(さたけまさよし)と判明。軍が犯人を確保した。

報告二号

報告案件 不審者 報告者 月山篤(つきやまあつし)(警察署長)

北陸の港町で右園死児(うぞのしにこ)を名乗る復員兵が出没。足の無い蛸(たこ)が網にかかり始めたため、現地警察が捜査網を敷き犯人を特定した。復員兵は全く別名の愉快犯だったが、右園死児化しているものとして確保。戸籍を抹消、存在洗浄し対処した。

報告三号

報告案件 油絵 報告者 神谷修二(かみやしゅうじ)(探偵)

ある画家に雇われた探偵が、画家の屋敷を徘徊する何者かの足音を追跡した。一人暮らしの画家の家に浮浪者が侵入し住み着いたと思われたが、足音のもとに駆けつけても何者の影もなく、代わりに常に同じ油絵が持ち出されその場に落ちていた。

探偵は一計を案じ、山野を描いた風景画の絵の具を刃物で剥がしてみた。絵の具の下には何百と書き重ねられた右園死児(うぞのしにこ)の文字があり、探偵は本件を右園死児案件と認め、政府に連絡を取った。この過程で画家は油絵を胃の中に隠蔽し、死亡した。

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