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ミルクチョコレートを食べると「幸福感」が上がる?自律神経にも影響

  • 2024.11.22

株式会社ロッテが興味深い研究結果を出しています。チョコレートと幸福度の関係性についてです。

東京大学大学院農学生命科学研究科「食品機能学」講座特任研究員で、放送大学教養学部教授の朝倉富子先生にアドバイスを貰いながら行った研究で、以下が確認できたといいます。

  • ミルクチョコレートを食べることにより幸福感が上昇
  • なめらかなミルクチョコレートの方が幸福感は上昇する
  • なめらかなミルクチョコレートの方が、安静やリラックス状態で優位になるといわれている「副交感神経」が優位になった

ミルクチョコレートを食べると幸福感*1が有意に上昇

ミルクチョコレートの喫食前後の主観的幸福感を比較したところ、粒度の粗いもの(なめらかさが低い)となめらかなもの共に、喫食後に主観的幸福感が上昇しました。

*1:望ましく、心が満ち足りた状態が積み重なったり、強まった時に感じる気持ち

よりなめらかなミルクチョコレートは、主観的幸福感や元気、癒しといった感情面に大きく影響

粒度の違いを明かさずにミルクチョコレートを食べ比べてもらったところ、よりなめらかなものの方が好みと答えた人が24人、粒度の粗いもの(なめらかさが低い)の方が好みと答えた人が4人という結果に。

さらに、どちらがより幸福感を感じるかついても聞いたところ、なめらかなものの方が25人、粒度の粗いものの方が3人という結果が得られ、なめらかなミルクチョコレートの方がより幸福感を感じていることがわかりました。

また、「癒しをもらえると感じたか?」「元気をもらえると感じたか?」といった質問項目でもなめらかなミルクチョコレートの方が有意に高く、感情面にも影響することがわかりました。

なめらかなミルクチョコレートを食べると「副交感神経」にも影響

喫食後のデータでは、副交感神経指標の一つであるHF値が、粒度の粗い(なめらかさが低い)ミルクチョコレートと比べてなめらかなミルクチョコレートを食べた時の方が高い値を示しました。

副交感神経は、安静時やリラックス状態に優位になるといわれており、自律神経指標でも、粒度の異なるミルクチョコレート喫食による主観の違いが現れることが新たにわかりました。

同じく喫食後の前頭部Mid-α波、Low-β波は、いずれもなめらかなミルクチョコレートを食べた時の方が有意に低い値でした。

こうした結果から、朝倉富子先生は以下のようにコメントしています。

今回の研究により、食感の違いによって幸福感に差があり、なめらかなチョコレートは、粗いチョコレートと比較して喫食後の幸福感が高いことがわかりました。

自律神経指標をみたところ、なめらかなチョコレートを食べた時の方が、副交感神経指標の一つであるHF値が高いことが確認されました。自律神経活動の変化からは「落ち着く」という傾向がでており、それが、「幸福感が高い」という結果に結びついているのではないかと推測されます。

また、味覚と脳波の関係については不明なところも多い中、食感の違いだけで脳波に違いがみられたのは興味深いと考えております。

今回、Lowーβ波などに変化が見られましたが、もしかしたらこれらの周波数帯域の変化と幸福感との間に関係があるかもしれません。

主観的幸福感などの感情への影響の違いを生理指標でも捉えることができた今回の研究成果は、今後チョコレートを含めたお菓子と幸せについての研究をしていく上で大きな一歩になると考えています。

なお、本研究結果については、第26回日本感性工学会大会にて発表しました。

論文URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjske/advpub/0/advpub_TJSKE-D-24-00009/_article/-char/ja

朝倉 富子
東京大学大学院農学生命科学研究科特任研究員兼放送大学教養学部教授。QOLを高めるための「食」の開発に携わる。日本農芸化学会では,2010, 2011, 2014, 2019, 2022年度トピックス賞受賞,2021 年 日本生理学会 優秀論文賞受賞。日本食品科学工学会,日本味と匂学会,日本調理科学会,日本農芸化学会,アメリカ化学会などの各会員を務める。

<Edit:編集部>

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