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白熱の野球に熱々の球場グルメ!実在する食べ物に心もお腹も大満足すること間違いなし『野球場でいただきます』をレビュー

  • 2024.11.21

食べ物にまつわるマンガは星の数ほど存在する。野球にまつわるマンガも同様だ。しかし、各地の野球場でのみ食べることができる「球場グルメ」にフォーカスしたマンガがあるだろうか。そんな稀有なテーマをあつかい、女子ふたりが白熱の野球を背景に、熱々の球場グルメを体験してまわる作品が『野球場でいただきます』(出内テツオ/KADOKAWA)だ。

本作は「次にくるマンガ大賞2024」のWebマンガ部門で第1位を獲得した『ふつうの軽音部』の作画を担当している出内テツオ先生の過去作になる。キャッチーでかわいらしいキャラクターの魅力はすでに健在。そんなヒロインたちが食べる球場グルメのおいしそうなこと。お酒に合うジャンクなものも多く、どれもが強く食欲を刺激してくる。そして、もちろん実際に球場に足を運べば、同じものを食べることだってできるのだ。

千葉マリンスタジアムの「マリン3大もつ煮」や、MazdaZoom-Zoomスタジアム広島の「カープうどん全部のせ」など、その土地や球団の特色を生かした球場グルメは多岐にわたる。また各話の最後には、作中では描き切れなかったグルメも「おかわり」という形で紹介してくれるので、相当の数の球場グルメを知ることができる。

グルメマンガとしてのポテンシャルも高水準ながら、それが「球場グルメ」であることが一番のスパイスになっている。白熱する野球を見ながら、盛りあがる観客のひとりとして、その球場の名物を食べる。対戦カードや球場は同じであったとしても、同じ試合は二度と見ることができない。その日、その場所で、その試合を見て、試合結果に一喜一憂しながら食べた球場グルメは、人生でもその瞬間にしか味わうことができないからこそ、何事にも代えがたい極上の逸品となる。そんな一期一会な食べ物との出会いを疑似体験させてくれる本作は、心にもお腹にも栄養満点なのだ。

球場は全国各地にあるため、旅行マンガのような楽しみもできる。メインの女子ふたりの、友人というには近すぎる微妙な関係からも目が離せない。野球に興味がない人にこそ、むしろ読んでほしい。そして実際に足を運び、多彩な球場グルメの数々を堪能してみてはどうだろうか。

*スタジアム名やメニューは、作中に登場した時点のものを使用

文=ネゴト / たけのこ

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