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【静岡市葵区】100年ラーメン「食の中枢生鮮市場」のみっちゃん食堂

  • 2024.12.4

”あ!ショーン” 地域特派員です。これから類まれな店舗「みっちゃん食堂」のストーリーをご紹介しましょう。

「いらっしゃーい!」ガラスの扉を引いた途端に、心尽くしに溢れた声が飛んでくる。 「スペシャルでいい?」に応じて、ここの看板メニューを注文。焼肉定食に半ラーメンのセット。 一定期間置くと無性に食べたくなる食というものがあるが、ここの定食はまさにそれ。そしてその上をいく、食べた途端にもう一杯食べたくなるのが、ここの純朴な見た目にも美味しいラーメン。

出典:リビング静岡Web

”焼き肉スペシャル(本来はご飯付き)”は食いしん坊を魅了”する

みっちゃん食堂の履歴書

静岡市郊外の麻機の山が迫り来る麓にある、静岡市中央卸売市場と、その地域一帯に展開されている商業施設「静岡流通センター」。 その卸売市場の中央管理棟3階にこの食堂がある。 このフロアには他にも食堂が幾つかあるのですが、皆のいく先は「みっちゃん食堂」。 店のガラスの間仕切りに掲げてある看板 ”創業60年” 。

出典:リビング静岡Web

「スリガラスの向こうに100年超えの味を提供する店」

この事をオーナーシェフ3代目のU子さんに聞く。 「実際はね、もっと前なの。一代目は私のおじいちゃん。静岡市銭座町で『多喜美』という蕎麦店を、その時既にラーメンも提供していたようです。その後、お父さん(おじいちゃんの息子さん)が、大戦の予科練特攻隊から生還。一時は新宿で屋台でラーメンを。U子さんのお母さんと出会い蕎麦店にいましたが、お父さんが急逝。その後以前は駅南にあった中央市場にてお母さんが一人店を開いて私を育てながら17年。そして今の流通に市場が移ってから50年。だから、実際には通算100年を超えているんですよ」

出典:リビング静岡Web

お母さんのみっちゃんを支え続けた、三代目U子さん

二代目が、そのU子さんのお母さん、道子さん。その時この店名の由来、「みっちゃん食堂」が誕生した。 みっちゃんは、夫の作る蕎麦店のような澄んだスープを否定し、こさないスープ(でもね、意外と澄んで見えるんです)を使い、試行を重ねて今のこの中華風ラーメンが完成したので、悠に100年は経た歴史があったのです。 中華風と書いたのは、この麺スープ料理は中華ラーメンと位置付けられないから。和製の醤油の香りが引き立つ麺料理。”ラーメン風・和中華そば”の趣きが強い。従ってこの「100年ラーメン」は、日本中くまなく回ってもこのみっちゃん食堂だけでしょう。

お客さんは、平日は市場の人間が多い。様々な卸問屋や店舗の常連さん。 「また、まずいラーメン食べに来たぞ!」と入って来た人のダミ声が聴こえる。が、その顔はニヤニヤと笑っている。 「〇〇屋の社長!もう!そんな事言ってー、ツケやめちゃうよ!」と、U子さんもすかさず応酬。 市場に来る人々は皆仲間。口は悪いが、人のいい帰属意識に溢れています。

しかし、一般の人もこぞって食べにくる。私のように。 市場の入り口の制服の門番の眼をすり抜けて(ちゃんと挨拶の敬礼はしますよ)。 中華の他にも、日替わりメニュー。魚市場のものを使ってフライ、天ぷらの定食。金目鯛の煮付け。豚汁定食。

出典:リビング静岡Web

「日替わり定食は、常に完売!」(13時に行ったら食べられないよ)

そしてもう一つの人気メニューの、”どうしてこんなにもジューシーなのか?餃子” がある。 以前みっちゃん(U子さんのお母さん)が切り盛りしていた時代からの古株のスタッフ、テラちゃんも加わって作る。 とにかく、他で食べたことのない、いくらでも食べれる餃子。餃子の出る日は市場の人々が聞き及んで、餃子だけでもと、買いにくる。 ある時、テラちゃんに聞いた、レシピを(焼き肉の味付けも教わったなあ)。コツはキャベツ一個を前日、丸ごと深鍋の中央に置いて煮る。それを使って、餡を練る。野菜はこのキャベツだけ。だからとってもジューシーな餃子、くどくない味わい。ジューシー餃子はみるみる売れ、閉店間際に行く私の、ひとり前で終わったことも。その後、テラちゃんが、年になって体の不調で辞めてから、餃子は時々出る逸品となりました。その為画像はないのですが、その味とイメージは今も私の心中に息づいています。

出典:リビング静岡Web

「ネット無き時代グルメ雑誌に何度も紹介された、”100年ラーメン”(私が勝手に名付けました)」

三代目は、二代目をはるかに凌駕していく

人は去っても、味とその造られた”場”は残る。
生物学者ルパート・シェルドレイク博士が発見した仮説「形態形成場理論」。現象は去っても、そこに生じた”場”のエネルギーの残存によって、全く別の場所にあったものも共鳴して、同じ現象が起こるとする。

久しぶりに行ったこの日のこと。11月、晩秋の小春日和で暖かく、穏やかな午後。 入り口を抜けて、カウンター席に座ったらU子さんがすかさず目の前に現れ、「ごめん、もうご飯終わっちゃったの!」と。 本来スペシャル定食は、焼き肉プレートにヌカ漬け、半ラーメンにどんぶりご飯のセットが掟。よって、この日のスペシャルにご飯を写し込めなっかった。その代わりに、半ラーメン(みっちゃん用語で、”半ラー”)を通常のサイズのラーメンに変更したのです。 ヌカ漬けの漬物は、二代目みっちゃんのレシピそのまま。子供時代に食べた実家の大きな糠床を思い出させる味。 以前、行くと香り高い緑茶とこのヌカ漬けをみっちゃん、出してくれたっけなぁ。いつもニコニコと、眼鏡の向こうから笑いかけてくれました。

そんな時代も、もう過ぎ去って古株のスタッフもいなくなり今では、三代目U子さんが店の代表。”100年ラーメン”を継承する者。 今度行った時、「みっちゃんの娘食堂」に変更するよう要請してみよう!

ーみっちゃんの ”形態場” が残っている内に。

”中国で蝶が羽ばたくと、カリブ海でハリケーンが起こる” (バタフライ効果:青年時代観た映画のセリフ) 皆、「宇宙船地球号」(バックミンスター・フラー博士の言う)の搭乗員ですから。

出典:リビング静岡Web

入り口の看板には、カンバン・メニューが!手書きの日替わりメニューが人目を惹きつける

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