リドリー・スコット監督、『グラディエーターII』にデンゼル・ワシントンと男性のキスシーンは存在せず

リドリー・スコット監督によるオスカー受賞作『グラディエーター』（2000）から、24年の時を経て公開された続編『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』。野心的な権力者マクリヌスを演じたデンゼル・ワシントンが、男性とのキスシーンを撮影したものの採用されなかったと発言して注目を集めたが、スコット監督がこれを否定した。

事の発端は、デンゼルがクイアのカルチャーやLGBTQ+のストーリーを伝えるメディア『Gayety』のインタビューで、「実は撮影で男性とキスをしたんだが、カットされてしまった」とコメントしたからだ。「彼らは怖じ気づいたんだと思う。男の唇にしっかり口づけをしたんだ。まだそこまで心の準備ができていなかったんじゃないかな。その男のことは5分後に殺してやったけど。これぞ『グラディエーター』の世界だ。死のキスだよ」と続け、トップの判断で同性愛を匂わせるシーンがカットされたことを示唆した。

ロサンゼルスで11月18日（現地時間）に開催されたプレミアで、『ヴァラエティ』の記者から質問を受けたスコット監督は、「デタラメだ。彼が殺したのは元老院だ」「（男性とのキスは）一切なかった」と困惑した様子で述べ、男性を殺すシーンはあったがキスはなかったとデンゼルのコメントを否定。監督と一緒にプレミアに参加していた関係者も、「撮影したものを見直したけれど、（男性とのキスは）一つもなかった」と指摘した。

なおデンゼルは、このプレミアで同じ記者からスコット監督のコメントを伝えられると、「大げさに話したんだ。話を盛ったんだよ。男性の手に軽くキスをして、殺したんだ」と笑いながら認めた。自身もゲイだという記者が、「僕らゲイはデンゼルが男性とキスをするのを見たいんですよ」と訴えると、「そうか。まだその役はもらっていないから、書いてくれるか？」と返答している。

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は、ローマ帝国が栄華を誇った時代を舞台に、暴君の圧政によって自由を奪われた主人公ルシアス（ポール・メスカル）が、グラディエーター（剣闘士）としてコロセウム（円形闘技場）で帝国への復讐を果たす様を描く。デンゼルは一代で莫大な富を築いたローマの実業家マクリヌスを演じ、高い評価を得ている。

Text: Tae Terai

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