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人前や外出前に抱いてしまう不安や恐怖…日々の生活で「視線がこわい」という感情の克服法

  • 2024.11.20
ダ・ヴィンチWeb
『「他人の目が気になる・こわい」から抜け出す』(松本一記、吉永尚紀/翔泳社)

「他人の目が気になる」「視線がこわい」……。日々、周囲の目に怯えながら生活している人は少なくないだろう。「よくあること」と自分に言い聞かせたり、「内気な性格が悪い」と自分を責めたりする人もいるだろうが、実はそれは、「社交不安症」という心の病気かもしれない。「社交不安症」とは、他人と交流する場面や自分が注目されるような場面で強い緊張と不安が生じることで、日常生活に支障をきたしている精神疾患のこと。だが、「心の病気かも」と言われても、すぐに病院に行くのはハードルが高い。まずは自らの症状を少しでも改善することはできないものだろうか。

そんな人にオススメなのが『「他人の目が気になる・こわい」から抜け出す』(松本一記、吉永尚紀/翔泳社)。本書では、他人の視線が気になる、こわいと感じる原因と、克服するための方法を分かりやすく紹介している。一人で悩んでいる人の力になる1冊なのだ。

たとえば、外出前に「他人の視線が気になりすぎて、出先でパニックになったらどうしよう」と考えてしまったり、「また人前で失敗したらどうしよう」と不安になったりすることはないだろうか。また、帰宅後に「今日のあの言動はよくなかった」と1人反省会を何度もしたり、「誰かを不快にさせてしまったかもしれない」と自分を責めてしまったりすることはないだろうか。あるいは、他人がいる場面で、「『変な人』と思われたらどうしよう」「相手を不快にさせてしまうかもしれない」と不安になることは。本書はまさにそういう人にピッタリ。「社交不安症」と診断されていなくても、このような不安感や恐怖心を持っている人へ、その対処法を教えてくれる。

「対処法といっても、病院に行くしかないのでは」と思うかもしれないが、それは違う。本書で紹介されているのは、1人でおこなえる認知行動療法。認知行動療法とは、不安を持続させる要因をその人の認知と行動に基づいて整理し、少しずつ修正していくというもの。一般的には医師や看護師、心理師などの治療者と患者とでおこなうものだが、1人でもその有効性が期待できるという。たとえば基礎となるのは、「なぜ他人の目が気になるのか」を説明する、自分だけの理論「認知行動モデル」の作成だ。周囲の視線が気になる場面を特定し、そこで何を感じるのかを考え、その時に感じる体と心の症状やとりがちな行動、注意の向き先などをまとめ、どんどん深掘りしていく。本書には書き込みながら進められるワークシートもついているから取り組みやすいだろう。

さらに具体例も充実している。「場違いなことを言って注目されるのがこわい人」「震えているところを見られるのがこわい人」「人前での言い間違えがこわい人」「顔が赤くなるのを見られるのがこわい人」……。一口に「社交不安症」と言っても、その症状はさまざまだが、そういう人たちが、どのように認知行動療法をおこなったのかについても触れられている。「こういう風に認知行動療法をおこなえばいいのか」という発見があるし、自分に近い症状の人の事例があれば、「もしかしたら自分も『社交不安症』を治せるかもしれない」という希望が見えてくる。

日々、他人の視線に怯え続けていれば、常に緊張を強いられ、自分らしく過ごすことなんてできないだろう。そんな状況を変える方法がこの本には詰まっている。あなたも認知行動療法を実践して、あらためて不安や恐怖と向き合ってみてはいかがだろうか。

文=アサトーミナミ

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