1. トップ
  2. エンタメ
  3. 私が映画を観て沁みた時の話。お笑い芸人・永野

私が映画を観て沁みた時の話。お笑い芸人・永野

  • 2024.11.29
私が映画を観て沁みた時の話。お笑い芸人・永野

映画らしく“閉じない”主人公に駆り立てられた

グッドフェローズ

「沁みた」と同時に、間違いなく僕の人生を狂わせた一本です。最初に観たのは17歳の頃で、将来について真面目に考え始めた時期。当時、ロバート・デ・ニーロが出ている映画は観なきゃいけない気がしていて、流れで出会った作品でした。

冒頭から印象的。主人公のヘンリーが「大統領よりもギャングに憧れていた」と言うんです。それがもう、すげぇカッコよくて。少年時代から始まって、仲間に認められながらどんどんマフィア社会の中で出世していく。ただ、この映画に出てくるギャングは、みんなカッコ悪い(笑)。

©1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『ゴッドファーザー』や『スカーフェイス』ではある種ヒロイックに描かれているけど、『グッドフェローズ』は姑息で汚くて、情けないギャングがいっぱい出てくる。ヘンリーも最初はイケイケだけど、妻と愛人の間を行ったり来たり、薬漬けになったりして、しまいには自分が生き延びるために仲間を売ってしまう。

ラストシーン、寝間着を着たヘンリーが「クソ面白くない日々が死ぬまで続く」と言い捨て、シド・ヴィシャスの「マイ・ウェイ」が流れるんです。このシーンに衝撃を受けて、俺は絶対東京に行こう、と決めました。

ヘンリーが最後に殺されていたら「面白い映画だったな」で終わっていたかもしれない。でも、濃密な栄光と転落の末にあるのがつまらない人生だと描かれてしまったから、普通に生きていくのがバカらしく思えた。こんな映画、観なきゃよかったと恨んだ時期もありましたよ。でもおかげで、とんでもなく変な人生になりました。

 

Information

『グッドフェローズ』

『グッドフェローズ』

幼い頃からマフィアに憧れていたヘンリーは、兄貴分のジミーやトミーと犯罪を重ね、組織内で栄華を極めていく。監督:マーティン・スコセッシ/出演:レイ・リオッタ、ロバート・デ・ニーロほか/NBCユニバーサル・エンターテイメント/6,589円(4KUHD&BD)。'90/米

profile

永野(お笑い芸人)

ながの/1974年宮崎県生まれ。グレープカンパニー所属。95年にピン芸人としてデビューし、2016年には「ゴッホよりラッセンが好き」のネタでブレイク。『ボーイズ・ライフ』など、町を飛び出す系の映画が好み。

元記事で読む
の記事をもっとみる