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中村橋之助を座頭に若手花形俳優が一致団結~「新春浅草歌舞伎」記者会見リポート~

  • 2024.11.18

歌舞伎界の若手花形俳優が顔をそろえる新年の風物詩「新春浅草歌舞伎」が来年(2025年)1月2日~26日に東京・浅草公会堂で上演されます。出演者である中村橋之助、中村鷹之資、中村莟玉、中村玉太郎、市川染五郎、尾上左近、中村鶴松が11月11日、都内で行われた記者会見に出席、舞台への意気込みを語りました。
 

2025年は新たな顔ぶれでフレッシュな舞台に!

「新春浅草歌舞伎」は若手歌舞伎俳優の登竜門として40年以上にわたり親しまれている公演で、2024年1月をもって尾上松也をはじめ7名の出演が一区切りとなったため、2025年は装いも新たに開幕。フレッシュでエネルギッシュな舞台に期待がかかります。今回は、『絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場』を第1部と第2部で配役を変えて上演するほか、第1部では『仮名手本忠臣蔵 道行旅路の花聟 落人』、第2部では『春調娘七種』、『棒しばり』といった演目に挑みます。

「新春浅草歌舞伎」記者会見に登壇した(前列左から)中村莟玉、中村橋之助、中村鷹之資、(後列左から)中村鶴松、市川染五郎、中村玉太郎、尾上左近

「兄さんから託されたバトンをもっと重いものに」と橋之助

座頭を務める中村橋之助は、「この7人で令和7年度『新春浅草歌舞伎』をさせていただくことになりました。座頭という立場は初めてですが、僕一人ではなく7人全員が座頭のつもりで、同じ方向を向いて走り抜いていきたいです。そして、その思いがお客様に届き、明日の活力となれるようなパワーあふれる公演にしたいと思っております」と挨拶をすると、「今日はこれを持ってきました」と緑色のバトンを披露。「勘九郎の兄たちの世代から、松也兄さんに渡され、そして今年1月の『新春浅草歌舞伎』の千穐楽で、(中村)米吉のお兄さんから僕と莟玉くんに託されたバトンでございます。このバトンをもっと重いものにできるように、僕たちの代も一生懸命つとめてまいりたいと思います」と力強く宣言しました。

バトンを手に思いを語る中村橋之助

一方で、「これは僕と莟玉君との共通認識だと思いますが、バトンをもらったものの来年の出演がなかったらどうしようという恐ろしさもありました。実際に出演のお話をいただいたときはほっとしましたが、それよりも『来たー』というか、僕たちの代も一旗揚げてやるぞ、というアドレナリンを感じました」と率直な思いを語る場面も。

「舞台は一生懸命に、楽屋は楽しく」も引き継ぎたいと中村莟玉

初参加となる中村鷹之資は、「今まで先輩たちの姿を見ながら、いつか私もこの新春浅草歌舞伎で勉強させていただきたいとずっと思っておりました。今年、新たな世代のメンバーとして参加できることを嬉しく思っております。また、浅草の皆様が育ててくださっている特別な公演でもありますので、この世代も浅草の皆様に愛していただけるように、我々一丸となってつとめてまいりたいと思います」と喜びを語りました。

中村鷹之資

中村莟玉は、「私が新春浅草歌舞伎に初めて出演したのは2013年でした。当時は高校1年生で、学校を早退して若い世代のお兄さん達と一緒に舞台に出演できるのが非常に嬉しくて、毎日楽しく劇場に通っておりました。あっという間ですね。これまで先輩たちがいることが当たり前として過ごしてきましたが、自分たちの番が来たんだなと、わくわくしつつ不安もあります。浅草公会堂は楽屋が非常に楽しくて、舞台は一生懸命やり、楽屋では楽しく過ごすというメリハリが、先輩たちが作ってきてくれたチームワークにつながっています。その感じは引き継いで頑張りたいと思います」と、懐かしそうに振り返っていました。

中村莟玉

憧れの舞台に参加できる喜びと決意

初参加組となる中村玉太郎、市川染五郎、尾上左近もそれぞれに抱負を語りました。
 
玉太郎は「来ていただいたお客様に観てよかった、また観たい、と思っていただけるように。初めて歌舞伎を観た方には他の劇場も観てみたいと思っていただけるように。まだまだ未熟ではございますが一生懸命つとめてまいります」と真摯に思いを伝えます。
 
染五郎は、「私もいつかはと思っていたのでとても嬉しいです。先輩たちの背中を追いながら一致団結して、若さを武器に自分たちの精一杯を見せられるようにつとめてまいります。(出演に関して)ここ数年、毎年1月は歌舞伎座で祖父(松本白鸚)と父(松本幸四郎)と三代揃っての舞台が続いていて、祖父の年齢を考えると祖父と一緒の舞台に立ちたいという思いもあり、即決はできませんでした。でもこうして若手のお兄さん方の中に入らせていただくことは今まであまりなかったので、新たな場に飛び込んでみたいと思い、出演を決めました」と葛藤があったことも吐露しました。
 

中村玉太郎

市川染五郎

左近は、「若手にとって憧れである新春浅草歌舞伎の場に立てることはありがたいことです。お客様に晴れ晴れした気持ちになってもらえるように、また、後輩たちにも憧れの舞台と思ってもらえるように、責任をもってつとめさせていただきます」と最年少ながらたのもしい挨拶を披露しました。
 
現在29歳で最年長の中村鶴松は、「数年前に新春浅草歌舞伎に出演した後はしばらく出ておらず、もう出ることはないのかなと正直思っていたのですが、ここに再び立っていられることを嬉しく思います。勘九郎と七之助の兄が『死ぬ気でやってこい』とメッセージを送ってくれました」と明かしました。

尾上左近

中村鶴松

大役に挑む染五郎、父は「先を越されちゃったな」

今回の公演では、『絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場』の武智光秀役を、第1部では市川染五郎が、第2部では中村橋之助がつとめます。この大役について、染五郎は「光秀を演じたことのある祖父から教わることになりました。父はこの役を演じたのは俳優祭で1回きりだそうで、『先を越されちゃったな』と悔しがっていました」と笑わせる場面も。橋之助は、「この役をつとめたことのある父から、『20代という若い時に演じるのは難しいと思うけれど体当たりで演じることで見えてくる景色があるはず』と言ってもらいました。その言葉を胸に演じていきたいと思います」と語りました。

会見には7人の俳優のほか、松竹の山根成之取締役副社長が登壇

「ザ・長男」な橋之助が場を盛り上げる

自身の性格を「ザ・長男」と言う橋之助は、フォトセッションの際にも当初は予定していなかったポーズを提案して場を盛り上げるなど、早くも座頭としてチームをまとめているようです。「学級委員や部活の幹部などをやってきたので、リーダー役は得意な方です。みんなが不満を持っていなければですが(笑)。僕が大事にしていることは、みんなの総意で決めるということ。みんなと共にという思いを大事にしています」

新たなポーズと立ち位置などを確認中

一致団結のポーズを決めるメンバーたち

松竹創業百三十周年 新春浅草歌舞伎

11月20日(水)10時~、チケット前売り開始
2025年1月2日(木)~26日(日)
第1部 午前11時~
第2部 午後3時~
劇場:浅草公会堂
公演詳細:https://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/play/915

構成・文

ライター 中山恵子

中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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