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「呼吸ができない」電車に乗れなくなった夫。パニック障害克服のきっかけとなった妻の意外なひと言とは

  • 2024.11.17

結婚前3Dデザイナーだった夫が過労からパニック障害になりました。当時大阪で勤務していた夫は、ある日東京に出張へ行きました。そこで疲れから意識がなくなりそうになり、救急車を呼ぶ事態に。その日から夫のパニック障害と闘う日々が始まりました。夫がパニック障害を発症した状況から、パニック障害を克服したまさかの理由まで、私の体験をお話しします。

突然呼吸ができなくなった夫

まだ私たちが結婚する前、夫が35歳のころです。当時夫は、某有名テーマパークのキャラクター衣装デザインなどを担当しており、大阪で毎日忙しい日々を過ごしていました。

そんな中、東京へ出張に行くことになり、せっかくだからと有名な写真家の写真展をのぞくことにしたそうでした。写真展は思っていた以上に広い会場でおこなわれており、夫は日ごろの疲れもたまっていたため、体力的に無理をしてしまいました。

そして、大阪へ帰る新幹線に乗るために東京駅へ向かう電車の中で、呼吸が苦しくなり意識を失いそうに! さすがにマズイと感じた夫は、なんとか気持ちを落ち着かせながら途中の駅で降り、駅員室で休ませてもらうことにしたそうです。

しかしその後も夫の状態は改善せず、駅員は救急車を要請しました。駆けつけた救急隊員は、夫の状況を見て過呼吸という単語を口にしたそう。夫はそれを聞いて、なぜか「それなら全然問題ない!」と思ったようで、急に気がラクになって症状が治まりまったのだそう。そしてそのまま、新幹線で大阪まで帰ってきたのです。

出張から戻った夫は、休むことなく次の日も通常通り勤務をしていました。しかし、その日の昼休憩にごはんを買いに外に出たら、急に強いめまいが起こったのだそう。結局うまく歩くことができず、昼食も買えないまま、少し休んで仕事に戻ったそうです。

昼休憩が終わり、仕事を始めると夫は急に呼吸が苦しくなってきたのだそう。過呼吸の状態になり、だんだんと手先が硬くなって動かなくなったと言います。そのうち体全体も動かせなくなり、ついには顔まで固まってしまいました。様子のおかしい夫を見て、同僚たちが慌てて救急車を呼び、夫は病院へ搬送されることに。

夫の体はカチカチに硬直しており、病院に着いて看護師や医師が服を脱がそうとしても、脱がせられなかったそうです。結局そのまま点滴をしてもらい、しばらくすると体がラクになり引きつっていた顔も緩みました。その日は病院で就寝し、翌日そのまま自宅へ帰宅したそうです。

電車にも乗れなくなってしまい…

夫は次の日もその次の日も、職場に行くとめまいで立てない、会社の外に出られないという状況が続きました。それでも毎日通勤しているうちに少しずつ慣れてきたのか、家と駅、職場の行き来はできるようになっていました。

夫はもともと特急電車で通勤していましたが、もし電車内で発作が起きた場合、特急電車だと停車駅が少なく「逃げ場がない」と思ったことから、各駅停車の電車通勤に変更。そうすると、日によって波があるものの、だんだんと1駅ずつ電車を降りないと会社にたどり着けなくなっていったそうです。それでも夫は、頑張って会社へ通っていました。

ある日、夫はまた東京出張へ。そこで東京の仕事仲間とレストランに行くことになりましたが、夫はレストランに向かう道中で「今、発作が起きたらまずい……」と考えたそうです。すると余計にしんどくなってきてしまい、なんと路上で倒れてしまいました! 倒れたところの前にあった花屋の店員さんが、救急車を呼んでくれたそうです。

この件をきっかけに、夫は退職を決意。後日改めて病院を受診したところ、不規則な生活とストレスから来るパニック障害との診断書が出ました。パニックの発作は、突然起こる恐怖や不快感、息が詰まる感じ、めまいなどを指します。「また発作が起こるかも」という予期不安から、発作が起こりそうな場所や逃げ場のない状況を避けるということも、パニック障害ではよくあるそうです。

退職後の夫は、しばらく何もしない状態になっていましたが、働いていなくてもパニック障害は続き、結果的に電車などの公共交通機関に乗れなくなってしまいました。ですが、その後の転職で仕事が変わってから、症状は回復傾向にありました。

パニック障害が治ったきっかけ

その後、夫は私と結婚しました。結婚後は、発作が起きてもひとりではないという安心感からか、徐々に症状も良くなってきていました。しかしある日夫婦で買い物に行った後、バスで帰宅していた最中にあと数駅のところで発作が起きてしまいました。

夫は「バスを降りたい」と言いましたが、歩きたくない私はそれに激怒! 「発作が起きても死ぬわけじゃないし、今までも死んでない!」と言うと、苦しみながらも夫の発作が治まっていったのです。

夫はその後も「発作が起きても死なない」と思うと、不思議と発作が治まるようになったそう。そして発作よりも私が怒ることのほうが怖すぎて、この日を最後に夫がパニック発作を起こすことはなくなりました

まとめ

仕事の忙しさとストレスから、パニック障害を発症してしまった夫。発作が起こったときはとても苦しくて「このままどうにかなってしまうんじゃないか」と強い恐怖心があったそうです。そして「また起こるかもしれない」という不安から、行けない場所が増えていく日々……。若いころの夫がそんなにも苦しい思いをしていたのかと思うと、今でも胸が痛みます。

しかし今は、夫の中にある発作への不安は解消されました。パニック障害が改善したのはうれしいことですが、その理由が私の怒りとは……なんだか複雑な思いです。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

著者:大石 しおり/30代・ライター。ひと回り以上年上の夫の健康に気をつかいながら、娘を育てるママ。元看護師の経験を活かして、健康や夫婦生活について寄せられた体験談を執筆している。

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※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています


監修者:医師 こまがた医院院長 駒形依子 先生

東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。

ベビーカレンダー/ウーマンカレンダー編集室

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