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「あいの里 シーズン2」がNetflixで配信中! 本作をさらにディープに観るための5つのポイントを紹介

  • 2024.11.17

1.“おしゃれ”な恋愛ではない、リアルなパートナー探し

「年齢なんて関係ない」は、恋愛・婚活市場では綺麗事だ。たとえばマッチングアプリでは年齢フィルターをかけられ、出会いの段階から絞り込みがされてしまう。たかが数字、されど数字。通常の恋愛リアリティーショーは概ね年齢が若めに設定されているためあまり気にならないが、社会的な“モテる限界年齢”を過ぎると出会いは激減する。

そこで始まったのが、「あいの里」。35歳から60歳の男女が、人里離れた古民家で理想の相手を見つける恋愛リアリティーショーだ。シーズン2最初の女性メンバーは、ジム経営のパチゆみ(51)、漫画家のたみフル(45)、食育トレーナーのせん姉(57)、舞台俳優のちい(40)、秘書のあやかん(35)。男性は、美容師のあきぽん(44)、元商社マンのマンハッタン(59)、元レスキューパイロットの隊長(48)、音楽教室の先生のギタりん(52)の計9名。ただ同番組は異性愛が前提のパートナー探しなのに、人数が男女同数でないのはちょっと気になる。女性が多いのは、そこでのバトルを期待しているから? 意図はわからないが、今後増えるのだろうか。この共同生活、一体どうなる?

2.ドキュメンタリーとバラエティーの配分の妙

“恋愛リアリティーショー”と紹介したものの、この番組は“恋愛ドキュメントバラエティー”と銘打っている。というのも、シーズン1は1999年から約10年間放送された「あいのり」(フジテレビ系)のスタッフが再結成して制作。バラエティーとあえて謳うのは“あいのりイズム”の継承だろう。

あきらかに笑わせにきているナレーションやテロップは、いかにもテレビっぽい演出だ。いい意味でも悪い意味でもちょっとやりすぎ、いじりすぎだと思う部分も正直ある。でもそれをうまく処理しているのは、シーズン1に引き続きスタジオMCを務める田村淳とベッキー。演出上の気になる部分や展開は2人がちゃんと突っ込んでくれるので、安心して観ることができる(ときに涙もある)。それに、なによりこの番組で重要なのはドキュメンタリーとして受け止めるべき、メンバーの素の部分。若者向けの恋リアは有名になろうと目論む参加者もいるだろうが、本作のメンバーは本気で恋愛をしにきた素人感が強い。無加工でありのままをさらけ出すメンバーの言動はとてもリアルで切実。笑いとドラマ、そのさじ加減が絶妙なのだ。

3.参加者それぞれが抱えてきたバックボーンに注目

人里離れた古民家(ラブ・ヴィレッジ)は共同生活の場であり、これまで生きてきた人生をさらけ出す場でもある。閉鎖的な空間のなかではメンバー全員のバックボーンにも焦点が当てられ、その人の内面をしっかりみることができるのもほかの恋リアとは違う特徴。

たとえばたみフルは、がんサバイバーだった。乳がんのステージ4で、5年後の生存確率は20%といわれながら抗がん剤治療がスタート。でも、転んでもただでは起きないのがたみフルの強さ。全身の毛が抜けたことで自由に眉毛を描き、好きなウィッグでイメチェンする楽しさを知った。前向きになり、やりたいことを全部やろうと遊びも再開。もちろん結婚や出産を考える時期にそれが起きた苦しみはあるが、治療を終えた今、精一杯再び楽しんで生きようとしている。こういうさまざまな人の背景に触れることで、学びが多い番組になっている。

特に集団行動において自己開示は重要な役割を果たす。関係をより親密にし、信頼を得ることができるから。本作が笑えて泣けて、考えさせられる内容になっているのは、みんなが自分の弱さをさらけだしてくれるからだろう。

4.人生経験を積んでも、まだまだ他者の影響で自分を変えられる

「あいの里」の住民は、子持ちのシングルマザーやバツ2など、経験値がさまざま。「ただ恋人がほしい」という考えは全然あっていいものだけど、第二、第三の人生を誰とどう過ごすかという、人生100年時代の現代において向き合うべきテーマが根底にある。番組には恋愛という軸がもちろんあるが、共同生活を通して仲間との絆が芽生えるよさもある。この生活で新たな価値観をインストールした住人も。

たとえばギタりんの怒りやすい性格を、せん姉は「血糖値の問題」と分析(指摘の角度が良すぎる!)。よく噛むように指導したところ、ギタりんは徹底するように。52年も生きてくると自分の価値観なんて出来上がってくるのに、「俺はこういう人間だ!」とならず、まだ変われるなんて希望だ。一方で、「新しい自分を発見して」「変わって」とみんなから言われることで、「ありのままの自分を受け入れてもらえない」という葛藤も。これは共同生活だからこそ発生する悩み。でも、人は社会的な生き物。みんなと気持ちよく過ごす努力も必要だと思う。そう考えると、経験値を積んだメンバーでの共同生活は視聴者にとって学びしかない。恋愛番組としてはペアを作ることが優先されるけど、歳を重ねたみんなで共同生活をすること自体、これからの暮らし方としてアリかもと思えてくる。

5.本当に恋愛は男女を平等にしてくれるのか

あやかんとちいは自分たちの年齢から、子どもを授かるためにできるだけ早くパートナーを見つけたいと焦っていた。目的があるのであれば、逆算しなければいけない。あやかんは34歳のときに、ちいは35歳のときにそれぞれ卵子凍結をしているが、それにも期限がある。女性は男性以上に、さまざまなことにリミットを感じながら生きているのだ。

シーズン2では卵子凍結についてもしっかり解説が挿入されていたことにも意義を感じた。男女の社会的権力差、経済格差などのジェンダーギャップはいまだに高いなかで、「お互いがイーブンの関係になれる恋愛だけは男女平等」と言われたりする。でも、やはりそんなことはない。金銭の問題などは恋愛中も起こり得るし、今回のような身体的なリミットの差もでてきてしまう。どこまでも男女間には不均衡さが伴ってくる。ただ、近年の研究結果では男性も加齢とともに精子が“老化”し、不妊症・流産などに影響するといわれているから、子どもがほしいのであれば男性も女性同様にリミットは意識すべきだろう。そもそも子どもを持つ/持たないの選択の問題ももちろんある。それに今目の前にある恋愛だけでなく、先の人生を想像しながらパートナーとどういう関係を築きたいかを考えることも重要だ。「あいの里」はその一助になりうる恋リアだと思う。「この先、どう生きる?」を深く考えたくなる作品、今後の展開も待ち遠しい。

Netflixリアリティシリーズ「あいの里 シーズン2」

世界独占配信中

https://netflix.com/あいの里

Photo: Courtesy of Netflix Text: Daisuke Watanuki Editor: Nanami Kobayashi

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