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肉を食べる子、食べない子。家族の中にもそれぞれの好みや考えがある。それを眺めながら食卓を作ることが、世界平和の第一歩【日登美のタベコト in Berlin・86】

  • 2024.11.17

ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。

多様性の街

ベルリンといえば多様性の街だなぁと住んでいて思います。それは国籍だけに限らず、性別、そして考え方など、見える部分から見えない部分まで様々な角度から「違い」を受け入れる、それと共に生きることを実践している街、という感じです。これは私がドイツに住むようになって、いろいろな場面で気付かされていることのひとつです。

音楽と食のコラボイベントも多いベルリン。どちらも多様な人、内容、嗜好を感じられる。こちらは、地域にある食堂で開催された食べながら聴くライブイベントにて。

食卓でいえば、ベジタリアン、ビーガンオプションが一般的だということもその「違い」を認め合うということの表れかもしれません。もちろんそれ以外に、環境への配慮や健康への考え方なども影響しているとは思います。けれど、一般的と言われる選択肢を押し付けるのではなく、大多数の意見だけを取り入れるのでもなく、マイノリティであること、そういうものを理解しようとする行動として、日々の食卓の在り方も、ささやかだけど自分の意識を少しずつ変えていく、広げていくことに対して、実は大きな力を持っていると思うのです。

食堂の懐の深さ。みんなのための食を振る舞う。
クリエイティブなベジタリアン料理に出会うことも多いベルリンの食堂。

我が家も同じ家族であっても、肉を食べる子、食べない子。好き嫌いだけでなく、いろんな個性的な好みや考えがある。そういうものを眺めながらみんなのための食卓を作ることって、大袈裟かもしれないけど実は世界平和への第一歩なんじゃないかという気もするのです。

子どもにとって慣れない味に出会うのもいい体験。
音楽も食も、大人も子どもも一緒に楽しめる場が多いのもベルリンらしい。

そう思うと、一人一人の暮らしの中にあるささやかな気配りや、暮らしの営みのあり方というような個人的でちっぽけなことこそが本当はすごく大事なのかもしれないと、思ったりもするのです。

以前お手伝いさせてもらったオラファー・エリアソンの食堂。ここでも食が人と人とを繋げる大事な役割を果たしていました。
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