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【六本木】「特別展 オタケ・インパクト ―越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム―」@泉屋博古館東京2024年12月15日(日)まで

  • 2024.11.16

六本木の泉屋博古館東京では「特別展 オタケ・インパクト ―越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム―」が2024年12月15日(日)まで開催されています。

出典:リビング東京Web

尾竹三兄弟とは

新潟県に生まれた尾竹越堂(おたけ・えつどう1868~1931)、竹坡(ちくは1878~1936)、国観(こっかん1880~1945)の三兄弟は、明治から昭和にかけて文部省美術展覧会をはじめとした様々な展覧会で成功を収め、まさに「展覧会の申し子」として活躍しました。画壇の寵児となった三兄弟でしたが、実験的な制作態度や物議を醸す数々の言動により、次第に中心から周辺へと追いやられていきます。そして好奇な眼差しに晒された三兄弟の生き方は、いつしか作品や画業の本来的な評価を覆い隠して、長らく見過ごされる要因となりました。

出典:リビング東京Web

右上:越堂 左:竹坡 右下:国観 ※主催者側の許可を得て撮影しています。

岡倉覚三(天心)と対立した作品

ホール内に展示されている作品は、キリシタンの絵踏の場面を描いたものです。本作は明治41(1908)年10月15日に開会した国画玉成会主催の 日本絵画展覧会(於竹之台陳列館)へ出品されたものです。翌日開催の懇親会において、審査員の選からもれた兄・竹坡が岡倉覚三(天心)を面責したため、 竹坡は除名となり、国観も兄に従い退会することになりました。そして18日には展示中だった同作を会場より撤去したいわくつきの作品です。本作は2022年に国観のご遺族より泉屋博古館東京へ寄贈され、その後修理と表装をして本展において初公開となりました。

出典:リビング東京Web

尾竹国観《絵踏》 1908(明治41)年 泉屋博古館東京【通期展示】

「タツキの為の仕事に専念したのです」 ―はじまりは応用美術

「尾竹三兄弟」長男・熊太郎(越堂)、三男・染吉(竹坡)、そして四男・亀吉(国観)の3人は、新潟で紺屋(染物屋)を営む家に生まれました。父・倉松は、家業の傍ら「国石」と号して文筆や絵に親しんだ多能多才な人物で、兄弟は父の感化を受けて幼い頃より絵を描いて過ごしていたそうです。

出典:リビング東京Web

会場展示風景【前期展示】

国観が「タツキ(※生活の手段)の為の仕事に専念したのです」と当時を回想するように、売薬版画や挿絵など応用美術の制作から出発した三兄弟にとって、絵は生活そのものでした。さまざまな物語を注文主の意向に沿って絵画化する挿絵の仕事をしていました。

出典:リビング東京Web

会場展示風景【前期展示】

三兄弟の日本画アナキズム

一時は画壇の寵児となった尾竹三兄弟も、その後は型破りな言動がたびたび物議を醸したため、いつしか中央から周辺へと追いやられ、歴史の語りから零れ落ちていきました。昭和時代に入ると越堂は次第に展覧会から距離を置いていましたが、同じく一時官展から距離を置いていた竹坡と国観は大正末から昭和の初めにかけて※官展への返り咲きを目指してそれぞれ作画活動を展開していきました。※政府主催の美術展覧会のこと。 日展(日本美術展覧会)- 最初期は文部省主催の展覧会(文部省美術展覧会)で、1958年(昭和33年)4月26日まで官展。

出典:リビング東京Web

会場展示風景【前期展示】

晩年の竹坡は、大正期に見せた剥きだしのような熱量を抑えて写実と理知的な構成へと向かい、国観は一貫して歴史画の可能性を探求するなど、それぞれが原点回帰とその洗練へ向かっています。 越堂は昭和6年(63歳)、竹坡は昭和11年(59歳)、国観は昭和20年(66歳)でそれぞれの人生に幕を下ろしました。

出典:リビング東京Web

会場展示風景【前期展示】

特集展示 清く遊ぶ―尾竹三兄弟と住友

明治末から大正にかけて尾竹三兄弟と親交を結んだ住友家第15代住友吉左衞門友純(号春翠)は、明治42年(1909)に洋画家・鹿子木孟郎の紹介で竹坡の第3回文展出品作《茸狩(たけがり)》を購入し、その翌年にも竹坡の第4回文展出品作《棟木》を続けて購入しています。《席画合作屏風》は宴席で三兄弟が即興で仕上げた作品と云われています。

出典:リビング東京Web

尾竹越堂・竹坡・国観《席画合作屏風》6曲1双 明治後期~大正時代 泉屋博古館東京 【前後期で片隻ずつ展示】

本展は、東京で尾竹三兄弟を紹介する初めての展覧会です。知られざる尾竹三兄弟の革新性と魅力を、展覧会出品作を中心とした彼らの重要作から紹介されています。岡倉覚三(天心)を中心とした、従来の美術史では語られない、彼らのエキセントリックな活動と作品が一堂に会す貴重な展覧会です。 尾竹三兄弟のインパクトある作品を是非会場でご覧になってみては如何でしょうか。

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