1. トップ
  2. ダイエット
  3. 【更年期対策】 30代後半~50代までの月経や体の変化をチェックして、更年期を迎える前に心づもりを。

【更年期対策】 30代後半~50代までの月経や体の変化をチェックして、更年期を迎える前に心づもりを。

  • 2024.12.27

教えてくれたのは…

産婦人科専門医・医学博士 高尾美穂先生

イーク表参道の副院長。日本スポーツ協会公認スポーツドクターでもあり、ヨガ指導者としても活動。婦人科の診療を通してさまざまな世代の女性の健康をサポートし、ライフステージに沿った治療法を提案している。

30代のがんばりすぎが更年期症状を重くすることも

「更年期を迎える前に今からしておきたいことは、生活習慣を整えることです」と話すのは、産婦人科医としてさまざまな女性の悩みをサポートしている高尾美穂先生。

  • 「イライラやうつ、めまいなどの更年期症状は、女性ホルモンの乱れによって、自律神経のコントロールがうまくできなくなることが原因です。それと似た不調を更年期より前から感じる女性が増えていらっしゃいますが、それは更年期症状ではなく、ストレスによる自律神経の乱れからくるものです。30〜40代はまだ体力もあり、無理もできてしまう年代。しかし実際は、子育てに追われながら仕事で責任のあるポジションにつくなど、忙しくて睡眠時間も足りず、多くのストレスを抱えている年代でもあります。そういったストレスから自律神経が乱れ、さまざまな不調を引き起こしてしまうのです」

なかでもPMS(月経前症候群)の辛さに悩む女性が多いと言います。

  • 「PMSは生活習慣が大きく影響しています。生活習慣が不規則だとPMSもひどくなりやすいので、生活習慣を見直し、自律神経を整えることが大切です。まずは3食バランスのよい食事をとること。そして適度な運動習慣をもつこと。ウォーキングやヨガなどの適度な運動は、血行を促し、ストレスを軽減する効果もあります。規則正しい睡眠習慣をもつことも重要。忙しいとつい睡眠時間を削ってしまいがちですが、睡眠不足は体調面だけでなくメンタルにも悪影響を及ぼします。更年期ではないのに生理前や更年期前の年代でイライラしたり怒りっぽくなったりする人は、睡眠時間を確保するだけでもかなり改善するはず。生活習慣を整えておくことで、更年期をスムーズに迎えることができ、不快な症状も軽減されます」

さらにクリニックで女性と接するなかで、「女性はあまりにもがんばり屋さんが多い」と高尾先生。

  • 「家族のために、親のためになど、自分以外の人の役に立ちたいと思うまじめで一生懸命な女性がとても多いです。そういった自己犠牲型の人は無理をしやすく、更年期の不調が重くなる傾向があります。がんばりすぎず、『がまんしない自分』でいることも大切です」

30~50代の女性ホルモンの変化

女性ホルモンは閉経前後に乱高下します。波を把握し、更年期に起こるさまざまな不調を上手に乗り切りましょう。

30~40代前半

20~30代半ばにピークを迎える女性ホルモンも、30代後半以降は徐々に減少。40代に入ったら「そろそろ更年期かも」と心づもりをしておきましょう。

【更年期】 45~55歳ごろ

更年期とは、閉経前後の10年間を指します。40代後半から更年期に入ると、女性ホルモンが急激に減少するため、ホットフラッシュやイライラ、不眠などの更年期症状が表れやくなります。そのような症状のうち、生活に支障が出る状態を「更年期障害」と呼びます。

閉経(50歳ごろ)

閉経とは卵巣機能が終了し、完全に月経がなくなった状態のこと。「12か月間月経がない」ことで、閉経したとみなされます。女性ホルモンの分泌量は閉経直前に乱高下し、閉経後は男性よりも低い数値が一定に続きます。

今知っておきたい 「更年期」にまつわる正しい知識4選

いずれ訪れる更年期をスムーズに迎えるために、正しい知識を手に入れて、準備をしておきましょう。

① 30代~40歳ごろの更年期に似た症状はほぼ自律神経失調症

30~40代の女性は、結婚や妊娠、子育て、仕事など人生のなかで選択肢が多く、それらを両立しようとがんばりすぎてしまいます。仕事も10年続けていれば責任も増えますし、妊活する人もいるでしょう。
その年代で起こる汗やほてり、憂鬱などは、更年期症状に似ていることから「プレ更年期」と呼ばれていますが、ほとんどが自律神経失調状態です。
更年期の女性ホルモンの変動によるものではなく、ストレスが直接的に脳の視床下部に影響を及ぼし、自律神経の調整がうまくいかなくなっていることが原因です。生活でのタスクの多さがストレスとなり、自律神経が乱れることで、心と体にさまざまな不調を引き起こしてしまうのです。

② 43歳くらいになったらそろそろ更年期に入る心づもりを

更年期というのは閉経前後の10年間を指すので、閉経してみないとスタートがいつからなのかはわかりません。ですので、一般的に40代のなかば、43歳ごろになってくると、「もう卵巣機能がゆらぎ始めてもおかしくないから、そろそろ更年期かもね」という心づもりをしておくとよいでしょう。
具体的には、月経の不規則さを自覚し始めたら更年期の始まりかもしれません。「更年期の不調があるかも」と準備しておくだけで、心に余裕が生まれます。

③ 個人差が大きい更年期症状ほかの病気の可能性もあるので注意

更年期の症状は人それぞれ。肩こりや腰痛、ホットフラッシュなど体に表れる症状と、不眠、イライラ、うつなどメンタルに表れる症状があり、個人差が大きいのが特徴です。
ただしその症状が本当に更年期によるものなのか、ほかの病気によるものなのかはなかなか見分けがつきません。
特に甲状腺疾患による症状は更年期症状とよく似ています。重大な病気が隠れているかもしれないので、不調を感じたら婦人科へ相談を。

④ おかしいな?と思ったら直近3か月の月経の記録を持って婦人科へ

女性ホルモンの数値を測ることで、ある程度卵巣の状態を予測することは可能です。ですがホルモンの値は変動しやすく、検査日の値だけをみて更年期に入ったかどうかの正確な判断をするのは難しいものです。
更年期に入っているかを示す最もわかりやすいサインは、月経周期の変化です。直近3か月程度の月経周期に変動がみられるかどうかが判断材料になるので、月経開始日、終了日、経血量の変化などを記録しておくことが重要です。

illustration:Kayo Yamaguchi text:Nahoko Morimoto

リンネル2024年12月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

元記事で読む
の記事をもっとみる