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温泉だけじゃない。別府の街中で、アートなそぞろ歩きはいかが?

  • 2024.11.20

別府駅から延びるメインストリートを歩くと、レトロなビルに描かれた鮮やかな花のイラストが目に飛び込んでくる。マイケル・リンの『温泉花ブーケ束』だ。さらに市内を歩くと、路地裏には壁画、海沿いの公園にはカラフルなウォータータンクのオブジェと、いたるところにアート作品が展示されている。「この角を曲がるとどんなアートが現れるんだろう」、そんなワクワク感が旅人を刺激する。

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マイケル・リンの『温泉花束』は、別府市民とともに手描きで制作したもの。カラフルな花柄は、市内で見かけた浴衣の柄が着想源だという。

大分の別府といえば、日本有数の温泉地。湯けむりのイメージはあっても、"アート"とはなかなか結びつかない。しかし別府は年々、アートシティとしての発展を続けている。そのきっかけを作ったのが、アートNPO、ベッププロジェクトの発起人であり初代代表の山出淳也だ。欧米でアーティストとして活動をしていたが地元大分に戻り、芸術祭『混浴温泉世界』を発起したのは2005年だった。国内外のアーティストが別府を訪れ、滞在し、制作、展示をする。市民を巻き込んで制作するアーティストもいた。住民たちも年々関心を持つようになり、いまでは県や市、文化庁からも協力を得る。別府はもともと、居住者が日々温泉に通い、自然に裸の付き合いをする町湯文化。古くからの港町なので、地元の人々の多くは「来るもの拒まず去るもの追わず」の精神。アートシティとしての発展は、そういった気風も関係しているのかもしれない。

アートをもっと日常に根付かせるために近年強化するのが、アーティストへの支援。アトリエと住居を格安で貸し出す清島アパートの運営や、アート制作者向けの相談所を設置、芸術文化イベントに対する補助制度もある。将来的に別府市人口の1パーセントがアーティストやクリエイターになることを目指している。『アートフェアベップ』や、『オルタナティブ・ステート』もスタート。レガシーとして作品を残していこうと、半年ごとにアートピースが生まれている。パリで活躍するアーティスト、サルキスによる光のアート『別府の天使』や、持ち寄った植物を住民みなで育てる、栗林隆による植物園型作品『植物元気炉』がその一例。開かれたアートで市民を巻き込みながら、別府は訪れる人の感性を日々刺激している。

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1カ月¥10,000の家賃で住居とアトリエが借りられるアーティスト限定の清島アパート
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『オルタナティブ・ステート』で招聘されたのはブルックリンのアーティスト、トム・フルーイン。『ウォータータワー10:別府市、2023』は、市内の使われなくなったアクリル板を活用。下からのぞくと万華鏡のよう。
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『オルタナティブ・ステート』で招聘されたのはブルックリンのアーティスト、トム・フルーイン。『ウォータータワー10:別府市、2023』は、市内の使われなくなったアクリル板を活用。下からのぞくと万華鏡のよう。
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長屋を改装したミュージアムショップ、セレクトベップの2階(入館料¥100)には、マイケル・リンの襖絵。
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ホテルニューツルタには画家、国本泰英の壁画『Scene』
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HITOTZUKIによる『Evidence Clouds』は、『Scene』同様、まちじゅう美術館事業のひとつ。
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明治12創設の竹瓦温泉は住民憩いの場。取材時は、芸術祭をきっかけに別府に移り住んだ鉛筆画家の勝正光が展示。
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サルキスの『別府の天使』がホテル アマネクイン別府の屋上看板。
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大谷公園にある栗林隆の『植物元気炉』。植物を通して住民の交流を図る。

『Art Fair Beppu 2024 』
会期:会期終了
別府国際観光港、旧フェリーさんふらわあ乗り場 、BEPPU STUDIO 01、清島アパート
開催時間:11:00~18:00※21日のみ13:00~18:00
料)¥1,500(前売)、¥2,000(当日)
0977-22-3560

ガレリア御堂原 Galleria Midobaru

作品に囲まれて、美術館気分でステイ。

アート探索の拠点にぴったりなのがガレリア御堂原。高台から望む湯けむり街×海の景色もさることながら、館内にある70以上のアート作品は必見。別府の写真をコラージュした西野壮平の作品や、大巻伸嗣の球形オブジェなど、すべてオーダーメイド。館内アートツアーに参加した後は半露天風呂へ。絶景とアートに囲まれ温泉に浸かる至福のひとときを。

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源泉かけ流しの温泉が全室に付く。弱酸性の硫黄泉で動脈硬化などに効果あり。
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館内のレストラン、ザ・ピークは九州唯一の白レンガ窯料理が自慢。高温ゆえ加熱しても蒸気が出ず、食材に水分を閉じ込めふっくらとした仕上がりになる。写真は県産真ダイを使った「本日の鮮魚」¥3,850
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青木美歌『Fluidity』はガラスで温泉の再生を表現。
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絶景が広がるエントランスには大巻伸嗣の『ゆだま』。時間によってLEDライトが点滅。

ガレリア御堂原
Galleria Midobaru
大分県別府市堀田6組
0977-76-5305
全35室全室温泉付き スタンダード¥44,000~、デラックス¥49,500~
※別途入湯税1人¥150朝食¥4,840

*「フィガロジャポン」2024年11月号より抜粋

photography: Yuichiro Hirakawa

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