石川由依、「オーイ！とんぼ」第2期で主人公“とんぼ”のライバル役で登場「試合のシーンは和やかというよりは緊迫感がありました」

【写真】「オーイ！とんぼ」第2期で主人公“とんぼ”のライバル役・音羽ひのきの声優を務める石川由依

テレビアニメ「オーイ！とんぼ」の第2期が、ＢＳ松竹東急(全国無料放送・BS260ch)で11月17日(日)朝7時より放送スタートする。本作は、鹿児県トカラ列島の火之島で育った少女・大井とんぼ(CV：はやしりか)が、島にやってきた元プロゴルファーの“イガイガ”こと五十嵐一賀(CV：東地宏樹)に才能を見出され、成長していく物語。中学卒業後もずっと島で暮らすつもりだったとんぼだが、同い年でプロ志向の安谷屋円(CV：喜多村英梨)に刺激され、島を出ることを決意。第2期は、高校生になったとんぼが熊本に移住し、同年代の子たちと“九州女子選手権”に挑む内容となっている。とんぼの一年先輩で前年の“九州ジュニア”の優勝者である“音羽ひのき”の声を演じるのは、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の主人公ヴァイオレット・エヴァーガーデンや「進撃の巨人」のミカサ・アッカーマンなどを演じる石川由依。WEBザテレビジョンでは石川にインタビューを行い、自身が演じる“ひのき”のことや、テレビアニメ「オーイ！とんぼ」の魅力や見どころについて語ってもらった。

石川由依、作品を通して「新しい発見がいっぱいありました」

――「オーイ！とんぼ」第2期への参加が決まった時の気持ちをお聞かせください。

最初にアフレコに行った時に話題になっていたのが、間を空けずにすぐに1期が再放送され、そのまま2期が放送されるということでした。続編とか第2期がある場合、もう少し間隔が空いたりするんですけど、こんなに早く再放送されることはなかなかないことなので、人気がある作品なんだなぁっていうのを感じました。アフレコが終わるくらいの頃にも「今、再放送中の１期の視聴率が上がってます！」っていうのを聞いて、１期がスタートした時よりも人気が上がって、見てくださる方も増えているのを実感したので、満をじして2期から参加できるのがうれしいなと思いました。

――見た人の口コミでの評判が広がって、ますます人気が上がっている感じですね。

はい。実際にゴルフをされている方にも人気があるというのを聞いて、私はゴルフがあまり身近ではなかったので、ゴルフファンの方の多さも改めて知りました。

――とんぼはセオリー通りのゴルフをするタイプではないので、ゴルフをやっている人も興味を持つと思いますし、ゴルフをやっていなくても独特のスタイルに魅かれるところがある気がします。

そうなんですよね。私はゴルフのことをよく知らなかったので、新しい発見がいっぱいありました。“どうしてあんなにたくさんのクラブを持っているのかな？”って思っていたんですけど、作品を通して、14本のクラブの必要性を知りましたし、そういうことを知ったからこそ、少ない本数でゴルフをしてきたとんぼの凄さも感じました。

ひのきの“なかなか言い出せない性格”に共感

――石川さんが演じる“音羽ひのき”は、我流でゴルフを覚えたとんぼとは対照的で、しっかりとレッスンを受けてきた正統派プレイヤーという感じです。石川さんから見た“ひのき”はどのような人物ですか？

演じてみて“わかる部分”と“わからない部分”がありました。わかるというか、共感できる部分は、私も小さい頃から劇団に入っていたので、一つのことをずっと長く続けてきました。この業界に、大人になってから演技が好きで入ってくる方もたくさんいます。そういう子たちのエネルギーの強さとか、無邪気さとか、初々しさというのは、長くやっていると無くなったりするので、刺激をもらえたり、羨ましく感じたりするところはひのきに共感できるなと思いました。

――わからない部分はどういった点ですか？

ひのきのお父さんが厳しいんです。よくここまでブレずに、真っ直ぐにいい子に育ってきたなぁって(笑)。ちょっと心配になっちゃうところもあるんですけど、それだけひのきが真っ直ぐに、真面目に取り組んでいる子なんだなって思いました。もし、私のお父さんがあれくらい厳しかったらひねくれちゃいそうです(笑)。

――石川さん自身と似ている部分はありますか？

今後のシーンで出てくるんですけど、ちょっと失敗してしまって、申告しないといけないんだけど自信がなかったり、いろんな感情が渦巻いて、なかなか言い出せずに時が過ぎていってしまうというのは、実は私もよくあります。私も、お芝居をしていてアフレコ中に「あれ？ ちょっと今失敗しちゃったかも？ 『もう一回やります』って言ったほうがいいかな？」と思っても「でも、OKもらったし…」って。そんな感じでモヤモヤしてしまうことがあるんです。思い切って言う時もありますけど、言えなかった時もあったので、ひのきのそういう気持ち、わかります。

――“ひのき”を演じるにあたって、どのような演じ方をしようと考えましたか？

いつもキャラクターを演じる時、まずは絵(キャラクター)の印象を考えます。たとえば、ちょっとふくよかだったり、背が高いとか、そういう特徴があると声帯が変わるので喉の使い方を変えたりします。ただひのきの場合は割と標準的な体型で、等身大の女子高生ということもあり、意識して何か変えようというのはなかったですね。ただ、クールめというか、みんなのお姉さんっていう感じなので、ちょっと低めのしっかりとした声というイメージで演じました。

――“クール”なキャラは、石川さんの得意なタイプかと。

確かにクール系は多いですね(笑)。でも、その時は大抵戦っていて“死”が近いところにあるので、それと比べると日常ではありますけど、アフレコをやっていて思ったのは、試合のシーンはすごく緊迫感があって、音響監督さんからも「常に挑む気持ちで、絶対に気持ちで負けるな」って言われていたので、そういうところはひのきも戦っている他のキャラクターと似ている部分があると思います。

アフレコではゴルフ用語やイントネーションに苦労

――2期からの参加ということで、1期から参加されている声優の方もいますが、途中参加の心境を教えてください。

アフレコ現場に初めて行った時は、とんぼ役のはやしりかちゃんとイガイガ役の東地さんがいらっしゃったんですが、1期の時は割と少人数の時が多かったみたいで、お二人は「こんなに人が多い現場、違う作品みたい！」とおっしゃっていました。2期はほとんどが新しいキャラクターなので、もちろん作品として1期からの雰囲気をもらいたいなと思いつつも、お二人も新たな気持ちだったと思うので、固まった雰囲気というよりは、新しく作っていこうという現場の雰囲気を感じました。

――ゴルフは専門用語もありますが、アフレコはスムーズにいきましたか？

ゴルフ用語が難しかったり、その用語のイントネーションに慣れないことも多く大変でした。東地さんが実際にゴルフをされているので、みんな東地さんに聞いたりしていました。でも日常で使う単語ではないので、特に決まったものは無いらしくて、「大抵こう呼んでいる気がするけど」みたいな感じで、話し合ったりして決めました。特に試合のシーンは和やかというよりは緊迫感がありました。たとえば、とんぼがすごいショットを打った時、ただ驚いてしまうと一般人の反応になってしまうので、驚きながらもプロのゴルフプレーヤーとして分析する気持ちを忘れるなと常に言われていましたね。

――アフレコの時、他の声優さんとコミュニケーションを取ることもありましたか？

「円とエマさん、すごいよね」っていうのをとんぼ役のはやしりかちゃんや円役の喜多村(英梨)さん、エマ役の井上(麻里奈)さんとかと話したり、「ひのきのお父さんはちょっと怖いよね」っていうことを話したりしました。ひのきのお父さんも訳あって厳しくしているんですけどね。そういう作品に関する話をいろいろしました。あと、「円とかエマって大人すぎて怖いぐらいだね。ゴルファーの方ってこんなこと考えるの？」という話もしましたね。その二人に比べると、ひのきは気持ちの面では弱いところがあるように感じますが、それが“普通”だと思うんです。二人が強すぎるんです。

――ひのきはとんぼに帽子をあげるなど、親切な姿も描かれていますが、二人の関係性は今後の展開で変わってきますか？

とんぼから影響を受けた部分も出てきます。ひのきとしては「これが正しい」と思ってきた道をとんぼによって崩されて不安になったり、だからこそ“負けたくない”という気持ちが芽生えたりします。とんぼから影響を受けたことで、ひのきが成長していくんじゃないかなって。なので、ひのきの成長も2期の見どころの一つですね。

今後の目標は「“人間力”を成長させていきたい」

――石川さんが感じた「オーイ！とんぼ」の魅力を教えてください。

私はゴルフが身近ではなかったので知らないことも多かったのですが、そんな私でもゴルフのこと、用語をはじめ、帽子をかぶるのがマナーとかそういったルールも分かりやすく説明してもらえたり、14本のクラブが必要な理由だったり、打つ時には風を読まなければいけないということだったり、知らなかったことを知ることができたのが面白かったです。それと、みんながいろんなことを考えながら試合しているのも衝撃的で、ゴルフの面白さ、奥深さを知ることができました。きっとゴルフをされている方も、とんぼの普通とは違うゴルフを見て、新しい発見とかたくさんあるんじゃないかなって思います。2期になって、仲間も増えて、ライバルも増えて、みんなそれぞれにいいところがあって、刺激し合って、自分もこうなりたいとか、負けたくないとか感じるような、そういう人間ドラマも面白いと感じました。

――ゴルフが身近ではなかったということですが、この作品に参加されたことでゴルフへの興味は深まりましたか？

そうですね。まだ発表される前に父と話していたら、「学生時代の同級生と偶然連絡が取れて、ゴルフに誘われている」と言っていたんです。私は父が昔趣味でゴルフをやっていたことを知らなかったのでそれにも驚きましたけど、たまたま自分が携わっている作品とリンクしたことにもビックリしました。なので、いつかお父さんと一緒にゴルフに行けたらいいなっていう気持ちはあります。

――石川さん自身、学生時代に打ち込んでいたことは何かありますか？

劇団に通い詰めていて、週5くらいで行っていたので、打ち込んだことといえばやっぱりお芝居ですね。それ以外だと、大学生の時は単位を取るのを頑張りましたね。頑張りすぎて3年で全部の単位が取れました(笑)。

――これまでもさまざまなキャラクターを演じられてきましたが、声優としての今後の目標はありますか？

長く続けていきたいなという気持ちが強いです。この作品をやって、ひのきの人間としての成長を見て、正しくありたいとか素直にならなきゃいけないと感じましたし、この業界も人間として素晴らしい方が多いので、長く続けるために私も“人間力”を成長させていきたいなと思いました。

――最後に、「オーイ！とんぼ」2期の放送を楽しみにしている視聴者にメッセージをお願いします。

2期は、とんぼが島を出て、熊本で同年代たちの子たちと一緒にゴルフを初めてやっていきます。私が演じるひのきもとんぼにいい影響を与えるし、ひのき自身もとんぼの無邪気に楽しくゴルフをする姿にたくさん刺激をもらって、円やエマという仲間たちとも出会って、みんなで刺激し合って高めていく姿が試合の中できっと見られると思います。その中で、ひのきの成長も見どころです。ぜひ、いろんなところに注目して見ていただけたらうれしいです。

◆取材・文＝田中隆信