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60年前の名著がコミカライズ化で令和によみがえる!猫による猫のための“人間支配の教科書”『猫語の教科書』

  • 2024.11.14

名著を読んでみたいと思うものの、どんな作品がありどれを読めばいいかわからないと悩み結局読まずじまいでいる。そんな人にとって国内外の名著をコミカライズするシリーズ「KADOKAWA Masterpiece Comics」の第1弾として発行された『猫語の教科書』(沙嶋カタナ:漫画、ポール・ギャリコ:原作/KADOKAWA)は、名著に触れるファーストステップとして相応しい作品といえるだろう。

本作はアメリカの小説家ポール・ギャリコ氏によって60年前に出版された名著『The Silent Miaow』をコミカライズしたもので、タイトルを見ると「人間が猫の言葉を理解するための教科書」と受け取るかもしれないが、この作品では「猫語で書かれた猫のための教科書」を意味している。

ポール・ギャリコがある編集者に届いた暗号のような原稿の解読を依頼され、その後ツィツァという名前の一匹の猫によって書かれた“人間支配の教科書”であることが判明したところから物語が始まる。

いかに人間を手懐け、猫にとって快適な環境を手に入れるか、人間とはどんな生き物であるかといった知識を聡明なツィツァが他の猫たちに指南する形式で書かれており、ツィツァの観察眼やユーモアに溢れた表現に引き込まれていく。さらに登場する猫たちの生き生きとした姿を見ていて楽しい気分にもなるだろう。『吾輩は猫であるが犬』(祥伝社)で写実的な可愛い猫を描いてきた沙嶋カタナ先生の作画が世界観にマッチし、猫が人間を懐柔できるほど魅力的な存在であることを示す本作の内容に説得力を持たせている。作中で描かれる猫の愛くるしい表情に読者の心すらも掴んで陥落させられそうだ。

名著に対しハードルの高さを感じる人も、本作をきっかけに原著に手を伸ばし、コミカライズとの違いを比較してみるのも面白いかもしれない。

読んでいるうちに猫という存在が国や時代の垣根を越え我々を魅了して止まない存在であることを実感し、猫への興味と愛情が深まるだろう。

文=ネゴト / 花

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