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日本の伝統工芸に共鳴する女性建築家が手がける錫ジュエリー、NS by NOUSAKUがデビュー

  • 2024.11.14

ゴールドやシルバーといった貴金属は高騰の一途を辿り、容易に手にすることが難しくなっている。そうした現状で、銀に次ぐ貴金属である錫(すず)を素材とした新しいジュエリーを提案するのがNS by NOUSAKU(エヌエス バイ ノウサク)だ。人気建築家の永山祐子氏をディレクターとして迎えた、ファーストコレクションの発表会をリポートする。

NS by NOUSAKU|エヌエス バイ ノウサク

ゴールドやシルバーといった貴金属は高騰の一途を辿り、容易に手にすることが難しくなっている。そうした現状で、銀に次ぐ貴金属である錫(すず)を素材とした新しいジュエリーを提案するのがNS by NOUSAKU(エヌエス バイ ノウサク)だ。人気建築家の永山祐子氏をディレクターとして迎えた、ファーストコレクションの発表会をリポートする。

Text by KAWASE Takuro

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記者会見に現れた永山祐子氏(左)と能作代表取締役でジュエリー製作を牽引する能作千春氏(右)。

400年以上の歴史を誇る富山の伝統技術を現代へ

1916年に創業した「能作」は、高岡銅器で有名な富山県高岡市にて創業した老舗である。金属を高温で溶かし、型に流し込み目的の形状にする鋳造(ちゅうぞう)技術を追求し、さまざまなプロダクトに挑戦してきた。創業当時から戦後までは仏具や茶器の製造が主だったが、時代の変化とともに美術工芸品としての側面を強め、2000年代以降は真鍮や錫を用いたインテリアやテーブルウェアの製造へと変化してきた。特に錫100%を使ったタンブラーや花器は高い評価を得て、能作の名を特別なものとした。

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伝統技術の継承とモノ作りの現場を新たな基軸に

高岡市に数ある鋳物製造業者の中でも、能作が頭一つ抜けた存在として認められているのは、時代の変化とともに業態を変化させることができたからである。主力製品である鋳物製品の次に取り組んだのは、2017年に竣工した新社屋であった。そこは、同社が磨き上げてきた職人技術を次世代へ繋げる場であり、世界に向けた製品を生み出す産業観光の場でもある。地元の食材を盛り込んだメニューを錫器で楽しめるカフェを併設し、工場見学や宿泊も可能で、錫婚式(すずこんしき)の会場としても機能するスペースとした人気を博している。

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左から:Ribbon Ring Tinfinity, Large ¥33,000, Small ¥30,800

近年注目度が高まっている錫婚式がきっかけに

結婚25周年を祝う銀婚式や50周年を祝う金婚式はお馴染みであろうが、結婚10周年の節目を祝うのが錫婚式(すずこんしき)である。特別な瞬間を親族や友人とともに共有するこのセレモニーを、能作は事業のひとつとして取り入れてきた。能作の代表取締役である能作千春氏は、従業員からのサプライズとして錫婚式を用意され、「指に着けた錫の指輪にえもいわれぬ高揚感と幸福感を味わった」という。錫の指輪がもたらした飾らない幸せ、しなやかでありながら芯のある強さ、控えめながらも凛とした存在感。そうした錫の魅力と可能性を再発見した能作は、世界でも類をみない錫ジュエリーの製作へと踏み出した。

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ファーストコレクションに採用されたキーヴィジュアル。男性も楽しめるイヤーカフにも注目したい。

伝統技術と生産背景を武器にジュエリーに新規参入

しなやかで軽く、肌馴染みがよく、抗菌作用があり、さらにはエイジングも楽しめることが錫の特性である。こうした特性を残したままジュエリーとして製品化するためには、ある程度の強度や耐久性が必要となり、トライ&エラーを何度も繰り返した。そうしてゴールドの配合量を試行錯誤してたどり着いたのが、能作独自のtin goldというジュエリー向けの錫素材だ。もちろん、アレルギーテストにも合格している。

さらにジュエリー製造を一貫して行なっているユーボネクスを買収することで、tin goldを繊細なプロダクトへ落とし込むことを可能とした。ひとつひとつの製品が職人の手によって形作られ、仕上げにおいては顕微鏡レベルでクオリティチェックがなされている。また、ブランド名を「NS by NOUSAKU」と決定。これは能のNと作のSを取ったイニシャルであり、ひっくり返すと錫の元素記号であるSNを意味することにちなんでいる。

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国内外で活躍する人気建築家にデザインを託す

ジュエリー製作において、デザインは非常に大きなウェイトを占めることは言うまでもなかろう。これまで能作では男性デザイナーが多かったが、錫のもつ繊細さやしなやかさを表現するために、ジュエリー製造を決めた時点から女性デザイナーの起用を模索していた。デザインはもちろんのこと、店舗を含めたブランドの世界観を構築し、全体をディレクションする手腕も併せ持つことが理想的だ。そこで、白羽の矢が立てられたのが、建築家の永山祐子氏だった。

新宿歌舞伎町タワーやドバイ国際博覧会・日本館など、国内外で活躍する建築家であり、過去にジュエリーブランドのディレクションを手がけた経験もあったからだ。永山氏が発表会に参加し、「自分自身ジュエリーが好きでしたし、能作のことを存じ上げていたので二つ返事で快諾しました」と今回のオファーについて語った。代表の千春氏とはパーソナルな面で共通点も多く、錫婚式への深い共感と理解があったという。そうして生み出されたファーストコレクションは、しなやかに身体に巻き付くイメージをリボンになぞらえ、錫と相性のいいアコヤパールを組み合わせた有機的かつ繊細なデザインへ仕上がった。

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上段左から:Ribbon Earring Drop A + Long Back Ribbon, Single ¥42,900, 同モデル単品¥31,900, Ribbon Earring Drop B + Long Back Ribbon, Single ¥41,800, 同モデル単品¥30,800 下段左から:Ribbon Earring Line + Short Back Ribbon, Single ¥40,700, 同モデル単品¥30,800, Ribbon Earring Large Pearl + Long Back Ribbon, Single¥26,400, 同モデル単品¥24,200, Ribbon Earring Large Pearl + Short Back Ribbon, Single ¥25,300, 同モデル単品¥23,100

日常から非日常へ、シーンを問わず着用できる

同時に永山氏がデザインにあたって重視したのは、ジェンダレス、エイジレス、シーンレスであること。披露された商品ラインナップは、ピアスとイヤーカフ、ネックレスとリングの計24種。いずれも、流れるような曲線が特徴で、シルバーやプラチナとは違う控えめな光沢感が特徴だ。「ジュエリーとしては価格帯もこなれているので、ぜひ組み合わせて楽しんでいただきたい。オフィスからパーティまで、さまざまなシーンに寄り添い、身につけるほどに身体に馴染んでくることを実感できるジュエリーです」と永山氏は付け加えた。

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上段左から:Ribbon Ring Tinfinity, Large ¥33,000, Small ¥30,800, 下段左から:Ribbon Ring¥37,400, Ribbon Ring Flare ¥37,400, Ribbon Ring Double ¥39,600

世界観を凝縮した直営店で錫の魅力に触れる

控えめながらしっかりとした存在感を放つ錫ジュエリーは、非常にモダンでありながら、どこか和の雰囲気も漂わせているのが面白い。高額すぎるファインジュエリーとも、安価なファッションジュエリーとも異なる独自のポジショニングも相まって、自由でしなやかな感性を持つすべての人にとって注目に値するブランドとなりそうだ。新宿伊勢丹本館での期間限定ストア、または11月20日(水)にオープンするCOREDO室町の直営店に足を運び、実物を手に取って確かめてみてほしい。

NS by NOUSAKU直営店
NS by NOUSAKU直営店

NS by NOUSAKU直営店
住所:東京都中央区日本橋室町3-2-1 コレド室町テラス1階
営業時間:11:00~20:00(土・日・祝:10:00~20:00)

NS by NOUSAKU公式オンラインショップ
https://www.ns-by-nousaku.com/

イセタンシード POP UPストア
開催期間:11月13日(水)~19日(火)
住所:東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店本館1階
営業時間:10:00~20:00

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