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体温を1度上がると免疫力がアップする! “温活の生みの親”が実践している体温を上げる方法とは?

  • 2024.12.28

「体は冷やさないほうがいい」とは何となくわかっているけれど、実は体温を上げることで得られるメリットがたくさんあるって知っていた? 逆に体温が下がると様々な健康リスクも生じるというから冷えは想像以上に深刻な問題みたい。冷え研究の第一人者である、神奈川歯科大学特任教授・医師の川嶋朗先生より体温を上げるメリットや簡単に出来る体温アップ習慣を教えてもらった(以下「」は川嶋先生)。

理想の平熱は36.5~37.0度。現代人は平熱が下がってきている

早速だけど、あなたの平熱は何度? 川嶋先生によると理想的な平熱があるという。

理想の平熱は36.5~37.0度です。思ったより高い印象ではないでしょうか? 実は、戦後の平熱は36.5度より高かったと記録されています。しかし、時代が経つにつれて冷暖房の普及によって体の温度調整が機能しづらくなったことや、交通網の発達により歩く習慣が減ったことで筋肉量が落ちて熱生産量が落ちてしまいました。そのため現代人は戦後の時代より、体温が低い傾向にあるのです。

現代人の平熱の低さは、ただ見過ごされるわけにはいきません。体温が下がることで、様々な健康被害をもたらす可能性があります」と川嶋先生は警鐘を鳴らす。

体温が低いことによるデメリットとは?

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では、なぜ体温が低くなると良くないのか? 川嶋先生によると、下記のようなリスクがあるという。

①免疫力が下がる

「体温が下がり血液が滞ることによって、体が機能するために必要な物質がうまく運ばれなくなります。風邪やがんをやっつけてくれる免疫細胞やそれが作り出す抗体も、主に血液にのって移動するため、必要な場所に運ばれなくなってしまうのです。さらに血液の流れが滞ることによって酸素が運ばれなければ、私たちが生きて活動するために必要なエネルギーを作る効率も落ちるので、体は活力を失い、風邪をひきやすい状態になってしまうのです」

②がんのリスクが高まる

ガン細胞は、低体温・低酸素状態で活性化します。ガンは遺伝子の修復機能が老化して、異常な細胞の発生と増殖を抑えられなくなるため発症する病気です。

特に60歳以上になると、老化によって誰でもこの修復機能に衰えが生じ、また免疫力も低下するので、ガン細胞が発生しやすくなります。若い年代の人たちであっても、心身のストレスや過労を経験すると、交感神経が緊張し続け、体内に活性酸素が大量に発生し、健康な細胞を傷つけて、ガンが発生するのです」

③幸せホルモン「セロトニン」が上手く作れなくなる

「実は、幸せホルモンと呼ばれる、セロトニンの95パーセントは腸で作られています。

しかし、腸で作られたセロトニンは脳と血液の関門を通れないためトリプトファンというアミノ酸を脳に運び、脳内で作られます。そのため、血液が滞ってトリプトファンがうまく運ばれなくなると、結果としてセロトニンの分泌が減り、気持ちがブルーになりやすくなるのです」

体温が低くなる原因とは?

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では、体が冷えてしまう原因とは何か? 川嶋先生によると体温が下がる理由は一つではないという。

①血液の流れが悪い

上記でも挙げたように、体温が下がる理由には血液が関係してくる。

しかも、体温が下がる一番の理由は、血液の流れが悪くなっているためだという。

血液は体を温める熱も一緒に運びま。そのため、血液の流れの悪いところは冷たいのです。そして体を冷やしてしまうと、血行不良がより悪化し、さらに体を温める機能が弱り、また冷えるという悪循環を招いてしまいます。体温は下がれば下がるほど、化学反応の際に働く酵素(触媒)の活性も落ちて、物質を作る・壊す・余計なものを排除する・壊れたものを修復する、などの機能が全て弱まってしまうのです」

②ストレス(自律神経の乱れ)

「リラックスしているときに活発に働く副交感神経と、緊張しているときなど戦闘態勢のときに活発になる交感神経の総称を自律神経と言います。この2つのバランスがちょうど取れていると、病気になりにくいとされています。しかし、ストレスがかかることによって、交感神経に傾きすぎると、体が冷えてしまうのです

③むくみ

「むくみは血管の外に溜まった水分です。この溜まった水分が体を冷やしてしまい、また血管を圧迫するので、血のめぐりが悪くなってさらにむくんで冷える……といった悪循環が起きるのです。血流が悪いと溜まった水を運ぶことが出来ないので、血流を良くしないとむくみが解消されません」

体温は何度上げることが可能?

「ご自身の現在の平熱にもよりますが、体温は1度上げることも可能です。60代以上の方でも、0.5度上げることができます。基礎体温を上げることで免疫力が上がり、健康寿命を延ばすことにも繋がります」。

「体温をあげるためには難しいことをしなくてはいけないのでは?」と思う方も多いだろう。でも、日々のちょっとした工夫で体温を上げることができるという。

「温活」の生みの親、川嶋先生が実践している体温をあげる6つの方法

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「温活」という言葉の生みの親でもある川嶋先生が実践している、体温上げる方法を教えてもらった。

①少し息が上がる程度のウォーキング

体温を上げるためには、まず基礎代謝を上げることが大事。体全体の熱を作っているのは、食べたものが10%、運動が20~30%、そして残りの70%が動いていないときの基礎代謝です。そのため、体温をあげるためには、まず基礎代謝を上げることが重要なので、少し息が上がる運動を行って、熱を作りだすことが効果的です。

すぐに出来て有効なのが、早歩き。通勤時の電車の乗り換えタイミングなど早歩きを取り入れてみてください。ポイントは大股・大きく腕を振る・少し息の上がる速度で歩くこと。少しきついなと思うくらいの刺激が筋肉には有効的です」

②体温より少し温かい白湯を飲む

「白湯を飲むことで胃や腸が温まり、腸管の動きが活発になります。内臓が温まると、全身の血流が改善し、基礎代謝がアップします。すると体内での熱生産が促され、体全体が温まります」

③お腹を温める

「体温を上げるためには『お腹』を温めることが効果的。お腹には胃・腸・子宮・肝臓など重要な臓器が集まっており、代謝と免疫の中心です。他にも、手首・足首など「首」とつくところ(動脈)を温めるのが効果的。腹巻きを着用したり、レッグウォーマーや5本指ソックスを取り入れてみてください」

④仙骨を温める

「リラックスをさせる働きがある副交感神経の中枢は、脳と仙骨にしかありません。他の脊髄(せきずい)にあるのは全て交感神経の中枢です。なので、背骨の下端に位置する仙骨を押して刺激すると、スーッとリラックスできます。リラックスすると緊張がとれて、血液の循環もよくなります」

➄38〜40度のぬるめのお風呂に長く浸かる

「体を芯から温めるには、ちょっとぬるいと思うくらいの温度でゆっくり全身浸かるのがベスト。38〜40度くらいのお風呂に入ると、日中働いていた交感神経優位の状態から副交感神経優位の状態に変わり、血流が改善されて体がゆっくりと芯から温まります。熱すぎる温度のお湯に浸かるのは交感神経を優位にしてしまい逆効果なので注意

⑥目の神経を動かす

「動眼神経という目を動かす神経も実は副交感神経。なので、目を上下させたり大きく見開いたりすると血管が開いて副交感神経が優位になります

 

いかがでしたか? 体温を上げることで、様々な不調のリスクを回避することに繋がる。しかも、特別なことは必要なく、生活の中で少しの工夫をするだけで、体温を上げることが可能なのだ。人生100年時代。健康寿命を延ばすためにも、体の不調が出る前に、不調が起きづらい体に底上げすることが大切になってくる。

お話を聞いたのは……

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川嶋 朗(かわしま・あきら)先生

医師・神奈川歯科大学大学院統合医療学講座 特任教授、統合医療SDMクリニック院長。1983年、北海道大学医学部医学科を卒業し、東京女子医科大学に入局。1993~95年、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院に留学。東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長を務めたあと、2014年、東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授。2022年、神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授、統合医療SDMクリニック院長。自然治癒力を重視し、西洋医学と補完代替医療を統合した医療を実践。「悔いのない、満足のいく人生」を送る心得として、「自分の理想的な死とは何か」を考える「QOD(クオリティ・オブ・デス=死の質)」を提唱。近著は「60歳から体温を「0.5度」アップする健康法」(飛鳥新社)

川嶋朗さん公式サイト

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