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日本の公立小学校は世界一!公立小学校の1年間を映し出した話題作の監督が思い語る

  • 2024.11.13
日本の公立小学校は世界一!公立小学校の1年間を映し出した話題作の監督が思い語る
(C) Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour

世田谷区の小学校で前代未聞の長期取材を行ったドキュメンタリー

ドキュメンタリー映画『小学校〜それは小さな社会〜』が第31回キネコ国際映画祭で上映され、山崎エマ監督が舞台挨拶を行った。本作は世田谷区の小学校で前代未聞の長期取材を行ったが、今回はその世田谷区での上映となった。また、5日に行われた同映画祭のクロージングセレモニーでは、本作がキネコグランプリ・ドキュメンタリー部門を受賞した。

山崎エマ監督はまず「私は、大阪の公立小学校に通い、その後インターナショナルスクールで中高を過ごし、大学からニューヨークに移りました。海外で生活をしていく中で、どんどん日本人から、欧米人になっていった経緯があります。20代の頃、ニューヨークで仕事をしていると、『責任感が強い』『時間に正確』『チームワークに優れている』といったことを褒められることが多く、これは“日本人であること”に由来するのではないかと考えるようになりました。そこで、振り返ると、日本の小学校で学んだ6年間が自分の基礎であり、強さになっていると思いました」。

続けて、「海外では日本文化といえば寿司や忍者、アニメといったものが広く知られていますが、日本のことを知るには日本の小学校を見るのがいいと思っています。日本の教育には食文化以外にも学ぶべきことが多いと思う中で、『小学校を舞台にした映画を作りたい』と思い始めたのは10年前のことです。しかし、公立小学校の生活を1年間にわたって撮影したいというのは要望が大きすぎたこともあり、『絶対できないよ』なんて何年も言われながら、結局30校ほど見た後に世田谷区の協力を得て、行事や委員会などの特別活動に力を入れている小学校での撮影が可能になりました」と映画制作に至るまでの経緯を語った。

そして、「現在、日本の教育は課題も多く、教員不足や働き方改革の影響で、行事や委員会活動が減っています。しかし、私はこのような日本独自の教育スタイルが、世界的にも価値のあるものであり、未来に残していくべきものだと信じています。この映画を通して、日本の教育に対する理解が深まり、より多くの人々が日本の社会の今後や教育の方法を考える年末にみんなで考えれる風を巻き起こしたいなと思っています」とメッセージを伝えた。

続いて観客からのQ&Aへ。小学生の子どもがいるお母さんが1番目に手を挙げ、「たくさん撮影された中で、このシーンは入れたいけど、落としたみたいな場面の中で1番最初に思いつくものは何ですか」と質問した。

山崎監督は「それよりも、自分の目で見たのにカメラに収められなかった場面がいくつもあり、悔しさを感じました。学校では、素敵な子どもや素晴らしい言葉を伝える先生が毎日見られます。毎日、時間割りなどをいただいて計画して、カメラマンを送り込むんですけど、突発的に起こる場面をすべて捉えるのは難しく、自分はマグロのように学校中を駆け回っていました。カメラマンがそこにいない時や、同じ場所にいても視点が違うことで、記録しきれない瞬間があることが悔しかったです。登校や給食などは100回以上撮影し、映画に収めたものは、その中から選りすぐりの映像と音を凝縮したもので、まるでそこにいたかのようなリアルさ、記録とかではなくて、自分の視点で、何度も撮影や編集を重ね、たくさんの関係者が登場していますが、1秒1秒のバランスを見て総合的に伝わるように調整しながら仕上げました」と答えた。

次に海外の方から「自身の子どもが香港と日本のハーフで、日本の小学校のことを日本人の旦那さんからいっぱい聞いていましたが、今回、より知る機会になってよかったです。いろんな制度を経験してきた監督は自分の子どもをどういう学校に通わせたいですか」と質問が投げかけられた。

それに対し山崎監督は「撮影当時は自分の子どもがもしできたら、日本の公立小学校に入れたいと思っていました。実際に学校現場を見て、他の教育制度も経験してきましたが、総合的に見れば世界一だと思っていました。実際に自分の子どもが生まれて、夫はアメリカ人で、自分の子どもは見た目で言うと白人に見えますが、この1年を経験して、学校現場のいろんな場面を見ても全然思いは変わらない。自分の息子は公立の小学校に入れたいと思います。もちろん完璧な制度なんて世界中にないんですけど、例えば6歳から12歳、この年齢に関しては、私が知る限り、日本の教育は総合的にプラスがとてもある。子どもたちが給食や掃除、委員会活動を通じて自分たちで物事を進めることや、協力し合うこと、思いやりを学ぶ環境は、日本ならではのものです。もちろん、日本の教育にも課題はありますが、個性を育てることについては10代から20代で伸ばせると考えています。欧米では個性を優先し、その後協力を学ぶ傾向がありますが、自分の子どもにはまずコミュニティの中で協力し合う喜びや役立つことを学んでほしいです。優先順位としてはですね、全部同時に学ばせたいんですけど。子どもはまだ2歳ですが、今でも日本の公立小学校に通わせたいという思いは変わらず、むしろ強くなりました。」

山崎監督は締めの言葉と共に、「日本の学校では、集団の中で協力し、支え合う経験を重ねていく場が1年の中で何回もいろんな形で提供できている。それがすごいと思うんですよね。不登校など課題もありますが、個人的にはそこは忘れないでほしい。日本人の強さの根源であると思うので、議論の中でとても大事なこととして残してほしいなと。この日本の教育の素晴らしさが、他の国々でも注目され、例えばエジプトでは日本式教育を取り入れようとする動きもあります。私は教育の専門家ではありませんが、だからこそ言えることもあると思うので、今後もこうした思いを伝えていきたいなと思っています。世界での反響はすでにありますが、今度は日本の中で風を吹かせたい。受け取り方は様々でいいんですけど、何か教育に関心を持ってほしいと思っています」と伝えた。

『小学校〜それは小さな社会〜』は12月13日より全国順次公開。

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