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「13歳で更年期の症状、15歳で医師から妊娠は難しいと告げられた」24歳女性が早発卵巣不全の苦しみを乗り越えるまで

  • 2025.1.2

子供の頃から、体調を崩してばかりだったと、24歳の シェリー・ハーグリーブスは語る。

激しい腰痛、極度の疲労、頭が割れるような頭痛、汗でびっしょりになるほどのホットフラッシュに襲われて、夜もろくに眠れない日々。学校は頻繁に休んでいた。

13歳になると、学校の友人たちは、初めての生理の話や、ナプキンやタンポンを買う話、ブラジャーをつける話で盛り上がっていた。私は会話についていけなかった。まだ生理も始まっていなかったし、ブラをつける必要もなかったから。自分に何か問題があるんじゃないかと不安が過ることもあった。母は、「みんなより成長が少し遅いだけだよ」と言ってくれていた。

教室の場所がどこかも覚えられなくなった。授業中に手を挙げても、話そうとしていたことをすぐに忘れてしまう。記憶力の低下とブレインフォグには悩まされていた。突然のホットフラッシュにも見舞われ、寒い季節も半袖のシャツやワンピースを着なければならなかった。

振り返ってみれば、すべてが更年期の症状だった。

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心の奥底では、何かがおかしいと感じていた

14歳のとき、プライマリケア医を受診して基本の検査を受けてみたけれど、医師には「心配することは何もない」と言われた。

その後も、生理が来るのをずっと待っていた。15歳になると、友人たちには恋人ができるようになった。私は生理も始まらないし、胸も成長していなかった。不安でたまらなかった。

「何かがおかしい」という感覚は、どうしても拭えなかった。 母と一緒にもう一度医師のもとを訪れた。今回は、答えが得られるまで帰らないと医師にはっきり伝えた。血液検査を行い、3日後に結果がわかると、私はマンチェスターの婦人科の小児科医を紹介されることになった。

いやな予感がした。

待合室で待っている間は、きっと大丈夫だと、何度も自分に言い聞かせた。超音波検査を受け、その結果を見た医師たちの驚いた表情は、今でも鮮明に覚えている。

「妊娠することは非常に難しい」早発卵巣不全と診断される

続けて、「妊娠することは非常に難しい」と告げられた。その瞬間、「不全」や「不妊」という言葉に、私はただただ凍りついていた。

米メイヨークリニックによると、早期卵巣不全(POI)とは、40歳未満の女性の卵巣が通常の量のエストロゲンを分泌せず、卵子を定期的に排卵しない状態のことをいう。早期卵巣不全は、40歳未満の女性の約1%に影響を及ぼすとされており、2004年の『Orphanet Journal of Rare Diseases』の研究によれば、20歳で1万人に1人、30歳で1,000人に1人、40歳で100人に1人の割合で発症すると推定されている。また、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の報告によると、診断されたケースの90%は原因不明であり、私もそのうちの1人だった。

医師に子供を産めないと言われたとき、私は自分が女性ではないと思わずにはいられなかった。

卵巣が機能していないとわかったときには、将来の可能性のために卵子採取を行うのにも手遅れだった。

診察室を出るとき、私は緑色の処方箋と「更年期とは?」という見出しが書かれたパンフレットを手渡された。表紙には二人の高齢の女性が写っていた。まったく自分のこととは思えなかった。

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診断を受けた数日後、試験を受けるために学校へ

深刻な診断を受けた私は、狭い世界に閉じ込められたような感覚を覚えながらも、まだ“普通”の女子として生きようと必死になる自分もいた。私には、怒りや恥ずかしさといった予期せずして込み上げてくる感情とどううまく付き合えばいいのかを学ぶ必要があった。

特別扱いを受けたくなかった私は、その日以来、バッグにタンポンや生理用ナプキンを忍ばせて、あたかも生理があるかのように振る舞い続けた。自分が経験していることは、 兄弟や親戚、友人にも一切話さなかった。自分ではない他の誰かを演じているようで、そんな自分がすごく情けなかった。

更年期に関する話題は、オンラインでも医療現場でも、かなり否定的に聞こえることがよくある。例えば、「卵巣が衰えている」「生殖機能が衰退している」「卵巣が機能しなくなっている」といった言葉もそう。すべてにネガティブなニュアンスが含まれている。「早発卵巣不全」というこの病名にまで、「不全」という言葉が使われている。

私は自分の病気に対して、恥ずかしさでいっぱいだった。2023年に『Journal of Women’s Health』誌に発表された研究では、更年期を迎えた女性の37%がその症状に対して恥ずかしさを感じており、82.7%がスティグマを感じているとのこと。若いうちから更年期を迎えた私は、疎外感を覚え、次第にうつ病を抱えることになった。

ホルモン補充療法(HRT)に加え、避妊薬と抗うつ薬を服用し始めた

私は、医師からプロゲステロンとエストロゲンを含む複合型の避妊薬を処方された。

2016年の『Author Manuscript Journal』誌に掲載された研究によると、早発卵巣不全の女性は、エストロゲンやその他の卵巣ホルモンが早期に低下する。これらのホルモンを補充しなければ、健康への長期的な悪影響が生じる可能性があり、心臓病や認知症、骨粗鬆症、糖尿病、早死といった問題につながることが、2015年の『Orphanet Journal of Rare Diseases』誌に発表された研究で示されている。経口避妊薬やホルモン補充療法は、こうした悪影響を予防するのに役に立つとのこと。

避妊薬を服用することは、私にとって受け入れ難かった。妊娠できない私が、なぜ避妊薬を飲まなくてはならないのだろう…。その反面、避妊薬を服用することで、同じように薬を飲んでいる友人たちの仲間にようやく加われた気もしていた(理由は明らかに違うけれど)

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24歳になった今、閉経期にいる私はホルモン補充療法を受けている

私は今、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンの補充治療をしている。まだ若いということもあり、一般的な更年期の女性より少し多めに投与する必要があるそう。体に塗布するジェルやパッチ、テストステロンジェル、膣用錠剤、そしてミレーナという子宮内避妊具(IUD)を使っている。メイヨークリニックいわく、ミレーナとは、プロゲスチンというホルモンを放出するもの。治療の方法は一人ひとりが異なる。

私はこの先もずっと、ホルモン補充療法を継続しなければならない。貧血のために鉄分を補給するのに似ていて、ホルモン補充療法は、体が本来生成するはずのホルモンを補うためもの。ホルモン補充療法を続ける期間についての統一した指針はないけれど、2017年に『Human Reproduction Open Journal』誌に掲載された研究によると、一般的な見解では、自然な閉経年齢にある50歳前後まで続けるべきだとされている。

自分が描いていた未来に嘆くこともあった。自分の体に裏切られたような感覚だった。怒りや拒絶、悲しみ、恥、そして疎外感という感情が常に渦巻いていた。同時に、自分のことを責めたり、可哀想に思うのはやめるべきだともわかっていた。診断されて以来、セラピーに何度も通っている。この状態を受け入れて、癒しと深い悲しみを健全に対処できる方法を学ぶために。

パンデミック期間に、病気を隠して生きてきた自分を見つめ直す

パンデミックとロックダウン期間は、初めてこの病気とじっくり向き合う機会を与えられた時間でもあった。想いを紙に書き出したり、日記をつけたり、早発卵巣不全について調べたりもした。こういったことは、今までしたことがなかった。

すると、20歳未満で早発卵巣不全を患う女性は1万人に1人という記事を見つけた。私だけじゃないんだ、と思った。まずはイギリス国内、次に自分の住んでいるバーンリーという小さな街で調べてみたところ、自分と同じ病気を抱えている人がもっといることに気づいた。そして私が長い間この病気について沈黙を保ってきたせいで、他の女性たちもまた、ずっと孤独に感じてきたのではないかと思うようになった。

すぐにインスタグラムのアカウント(@lifeofpoi)を開設し、早発卵巣不全を抱える私の日常について発信した。投稿ボタンを押した瞬間、すぐに「そんな病気があるなんて知らなかった」「気の毒に思う」「あなたはとても強いのね」といったコメントをもらった。

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投稿して1週間が経ち、ある女性から「私もあなたと同じ」だというメッセージが届いた。その後も、早発卵巣不全や早期閉経に役立つ情報を発信し続けたところ、反響は予想以上に温かいものだった。

4年も孤独感に苛まれてきたというのに、いざ勇気を出して病気のことを共有してみると、「どうして今まで公に話してこなかったんだろう?」と思うようになった。

今、Instagramのフォロワーは3,500人以上に増えた。たまに女性たちから「生理がないなんて夢のようだ」と言われたり、男性から不妊に関する無礼なメッセージが届くこともある。これは、この病気を抱える中で私が一番辛いことでもあるけれど、時折届く意地悪なメッセージにも私はもう動じなくなった。精神的に強くなれたし、自分が何者かをしっかりと理解できている。私はこの病気を抱えているだけであって、病気そのものではない。

この気づきがきっかけで、私は本格的に研究を追求し、コミュニティの人々を助けたいという思いが強くなった。大学の卒業論文では早期閉経や不妊、加齢にまつわるスティグマについて書き、最近は修士号を取得してその研究をさらに深めた。また、早発卵巣不全に関するイベントを初めて主催した。自分の経験を共有し、コミュニティの仲間たちと出会うことができた。女性向けのイベントでは講演を行い、意識啓発活動にも力を入れている。

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つらい病気だけれど、私はここまで乗り越えられた

24歳になった今でさえ、私は自分が人間として感じている症状と、早発卵巣不全による症状とを見分けるのが難しい。体が熱くなったときは、更年期のホットフラッシュによるものなのかと考えたり、物忘れが多くなると、これは単に私が忘れっぽい人間なのか、それとも更年期特有のブレインフォグによるものなのかと悩んだりする。比較できる基準が私にはないため、症状をうまく管理するのは大変。人生の大半は、早発卵巣不全の症状を抱えながら生きてきた。バランスをとることの繰り返しだけれど、ホルモン補充療法の治療は欠かさず、そして栄養のある食事を心がけ、できるだけ歩いて健康を維持するようにもしている。

認知症や骨粗鬆症、早死に関する不安も大きい。早発卵巣不全が原因で、こうした問題を引き起こす可能性があるという研究記事を読んだことがあるから。考えると恐ろしいけれど、昨年ようやく早発卵巣不全の専門医にかかることができ、そのおかげで体も気持ちもずいぶん楽になれている。

この経験を通じて私は、健康について自分を恐れる必要はないことを学んだ。人生で本当に価値のあるもの、やりがいのあることに、決してラクな道のりはない。良いときもあれば、悪いときもある。でも、最終的には、その先にある幸せがすべてを超えていくのだ。

※この記事はイギリス版ウィメンズヘルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。

Text: Sheree Hargreaves as told to Averee Nelson Translation: Yukie Kawabata

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