1. トップ
  2. グルメ
  3. 「びっくりドンキー」アレフの「えこりん村」とは?食・農業・環境…“全て”が詰まっている

「びっくりドンキー」アレフの「えこりん村」とは?食・農業・環境…“全て”が詰まっている

  • 2024.11.12
「びっくりドンキー」えこりん村内「とまとの森」の様子
「びっくりドンキー」えこりん村内「とまとの森」の様子

ハンバーグやステーキのメニューをはじめ、スイーツ、軽食、コーヒーといったドリンク、季節限定メニューなどを展開し、老若男女のユーザーを楽しませるハンバーグレストラン「びっくりドンキー」。同レストランを運営する1968年創業のアレフ(北海道札幌市)は、「食・農業・環境・文化」の取り組みに関して、体験などを通じて学べるエコロジーテーマガーデン「えこりん村」(同恵庭市)も展開しています。びっくりドンキーの“全て”が詰まった「えこりん村」を紹介したいと思います。

食・農業・環境・文化を発信 故・安倍晋三元首相、佳子内親王も来園

びっくりドンキーでは、ハンバーグの牛肉はオーストラリアとニュージーランド産の合いびき肉を使用。白米は、殺虫剤や殺菌剤を一切使わず、除草剤は1回のみというオリジナル米を使っています。また、サラダの野菜は全国の産地から、品質と安全性にこだわった新鮮な野菜を調達し、一部店舗では独自の基準で栽培された野菜を提供。コーヒーも産地から直接仕入れた豆を自社焙煎工場で加工するなど、「安全・安心で健康な食」のため、すべての材料に対して、こだわりを徹底しています。

また、店舗では、いち店舗あたり1日約25~30キロの生ごみが生まれることもあり、1997年から生ごみ粉砕乾燥処理機「ゼロワンダー」を導入し、生ごみを堆肥化して利用しています。店舗の廃食用油もバイオディーゼル燃料などにリサイクルする取り組みを行っています。“ハンバーグディッシュ”などで使われている木製の皿は、樹液が取れなくなったゴムの木の老木を利用し、傷やひびが入ったりすると、定期的に削り直すなどしてリユースもしています。

同社の担当者は、このような取り組みについて「『食という字は人を良くする』という考えから、『安全・安心で健康な食』を追求してきました。その中で、食材生産の現場である『農業』、さらには農業を取り巻く『環境』にまで視野を広げて、持続可能な循環型社会を目指す取り組みを行ってきました」と説明しながら、「私たちの食や農業、環境に対する取り組みを、体験を通じてお客様にお知らせをしたいという思いから、2006年6月に『えこりん村』を開業しました」と説明します。

約150ヘクタールという広大な敷地のえこりん村には、トマト1粒の種から水耕栽培で毎年1万個以上もの実が頭上に広がる「とまとの森」のほか、キャンプ場も併設。さらに、敷地内で最大1000頭の羊を放牧もしています。

びっくりドンキーで使用している物と同じ「皿」やドレッシングなどを購入できるグッズコーナーや北海道の特選品を取り扱う土産コーナーなどがあり、カフェも併設されている「ウェルカムセンター」では、びっくりドンキーが「安全・安心で健康な食」へ取り組む様を写真やイラスト、ジオラマなどで、大人から子どもにまで、わかりやすく説明してくれるコーナーが設けられています。

また、ウェルカムセンターは、冬季期間、店舗のキッチンなどから回収した使用済み油を燃料にして、廃油ヒーターを稼働。村内の施設では地中熱ヒートポンプを設置し、冷暖房も行っており、「深度約100メートルまで掘削された孔内を使い、年間の温度変化が外気より少ない地中と熱交換することで、通常の空気熱源ヒートポンプと比べて省エネ効果」があるということです。

2006年の開業からこれまでに約700万人が訪れており、全国からの教育旅行生や一般団体を中心に、行政、国際的な団体の視察、観光目的主体の道内外の個人客など、客層は幅広く多岐にわたっているということです。2017年には、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(当時)が視察、2018年には、故・安倍晋三元首相と故・中国の李克強前首相との昼食会、2022年には佳子内親王が来園されるなど、VIPの視察や昼食会でも利用されてきました。

さらに、えこりん村では、持続可能な開発のための教育(ESD)の推進も強化。「これまで、店舗における職場体験やイベント、学校で出前授業などを行ってきました。2005年からスタートした『なたねプロジェクト 見て食べて楽しんで!使った食用油は燃料に再利用』は、2013年に「ESDの視点を取り入れた環境教育モデルプログラム」に採用されました(現在は終了し、恵庭市内の1校とお米の総合学習を実施中)。また、2007 年から小学3~6年生を対象とした環境教育プログラム『えこりん村学校・えこりん村の子どもたち』を行い、生命を育む考え方や協調性、食育など、自然との接点を感じる機会」を提供してきたということです。

2022年、地域ESD拠点に登録されたこともあり、「食・農業・環境の取組み、SDGsとのつながりについて、ツアーや体験を通じて楽しく学べるプログラムを提供し、修学旅行や校外学習などの教育旅行にご利用いただいています。土曜日に親子で参加できるプログラムも実施しています」。

これらの取り組みが評価され、同年に「第10回 みどりの社会貢献賞 特別賞」(主催:公益財団法人都市緑化機構)も受賞しています。

2023年に、包括連携協定を締結している北海道文教大学(恵庭市)などとの共創により、産学連携商品「ECO弁当」も開発してきました。

アレフの創業者で2011年に亡くなった庄司昭夫さんは、「ニュージーランドを訪れた際、穀物飼料などに頼らず、健康な土づくりと、そこから育てた健康な牧草を牛に食べさせる管理放牧型農業」に感銘を受けていたということです。そして、同社は、「生態系を上手に利用し安全で安心できる食糧を生産したい」という思いで、同施設を造るに至りました。

「多くの人に来てもらうため、観光施設等も設けましたが、農薬や化学肥料に頼らない循環型農業の必要性や、環境や生態系保全の重要性を訴えることが真の目的でした。えこりん村は、『SDGsをテーマに楽しく学べる自然環境体験学習フィールド』に転換しながら、引き続き『日本一の羊観光牧場』を目指し、食・農業・環境・文化を発信する施設として、持続可能な社会の実現に貢献してまいります」とメッセージも伝えてくれました。

オトナンサー編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる