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色で個性を表現! 海外で注目のカラーヴェールで、周りと差がつくブライダルルックを

  • 2024.11.11
マリブで結婚式を挙げたティウィンクル・クーラナ。
マリブで結婚式を挙げたティウィンクル・クーラナ。

120着ものウエディングドレスを試着した体験談がUK版『VOGUE』で話題となったキャサリン・オーメロッド。選ばれし1枚はどんなデザインなのか、多くの読者やエディターが関心を寄せたが最後まで明かすことはなく、結婚式当日までお預けとなった。そしてついに先日、カリフォルニア州パームスプリングスで予定通り挙式した彼女がドレスを披露。ヴィヴィアン・ウエストウッドVIVIENNE WESTWOOD)の「ココット」ガウンに身を包んで晴れの日を迎えた。しかし、ドレスと同じくらい注目を集めたのが彼女のヴェールだ。

ヴェールのインスピレーションはグウェン・ステファニーのウエディングドレス。
ヴェールのインスピレーションはグウェン・ステファニーのウエディングドレス。

キャサリンが着用していたのはハーマイオニー・デ・ポーラ(HERMIONE DE PAULA)によるカスタムヴェール。それも定番の白ではなく、先端が淡いピーチカラーのグラデーションに染められたカラーヴェールで、彼女曰く「10代の自分に捧げる1枚」だ。当時グウェン・ステファニーの大ファンだったキャサリンは、2002年にステファニーがギャヴィン・ロスデイルと結婚した際に纏っていたジョン・ガリアーノによるディオールDIOR)のガウンからヴェールのインスピレーションを得たという。裾がローズ色に染まった大胆なデザインに圧倒され、「あのときのグウェンにぴったりのドレスだった」と語るキャサリンは、いざ自分がバージンロードを歩くときがきたら、ブライダルルックにワンポイントカラーを取り入れて、ステファニーのように個性を表現すると決めていたそう。

式直前に完成したこだわりが詰まったヴェール。
式直前に完成したこだわりが詰まったヴェール。

ウエディングドレス自体をピンクのグラデーションにするのはあまりにも「乙女過ぎる」と思ったキャサリンは、ヴェールを染めることで、ステファニーへのささやかなオマージュを込めることにした。しかし、製作は実にカスタムドレスと同じくらいの手間がかかった。

ヴェールは手塗りした12枚のテーブルクロスを引き立てる色でなければならなく、理想の色味を実現するために、彼女はデ・ポーラのスタジオに4回も足を運んだ。無事に完成したと思われたが、ロスに発つ2日前、彼女は再びデ・ポーラのチームのもとを訪れ、よりパンチの効いた色にしたいとリクエスト。式直前までこだわった。「サンタロサ山脈に沈む夕日と見事に相まったので、最後の最後に色を変えてもらって大正解でした」

主役にも脇役にもなる、色とりどりのヴェール

ペールブルーをアクセントに用いたセリア・バートン。
ペールブルーをアクセントに用いたセリア・バートン。

オーメロッドが身につけたピンクのチュールヴェールは、欧米のウエディング界で広まりつつあるカラーヴェールのトレンドを反映している。「ワンポイントにカラーを取り入れたくて、アイボリーや白のドレスに鮮やかな色のチュールヴェールを組み合わせる花嫁は多いです」とモリー・ゴダードは話す。現在産休中の彼女は高まるブライダルウェアへの需要に注力すべく、自身のブランドの方向性を転換した。

花嫁の個性を引き出す、遊び心にあふれたデザインを手がけるゴダードは、飽和状態にあるブライダル市場でひときわ光っている。彼女の服を「楽しくて、フェミニン。それでいて自分らしくいられる」と言う私の妹も、ゴダードによるハンドスモッキングのコットンボイルドレス「ラリー」と真っ赤なヴェールを自身の結婚式で纏った。

ブライドメイドのドレスもお揃いのペールブルー。
ブライドメイドのドレスもお揃いのペールブルー。

一方、メイクアップ・アーティストのセリア・バートンは、グレース・ケリーにインスパイアされたモリー ゴダードMOLLY GODDARD)のドレスに、ベビーブルーのシルクのスリップとお揃いのヴェールを合わせ、眩い白のパレットに温かみをもたらした。「全く予想外のカラーでしたが、ほかのどんな色よりも想像以上によかったです」と振り返るバートン。ブライドメイドのドレスも同じくゴダードが製作したベビーブルーのカスタムドレスで揃えた。

ヴェールの代わりにチュールのカラーグローブを着用したローラ・リンデン。
ヴェールの代わりにチュールのカラーグローブを着用したローラ・リンデン。

カナダ在住のローラ・リンデンも、ゴダードのウエディングドレスを着用した花嫁の1人だ。しかし妹とバートンと違い、リンデンはヴェールの代わりにチェリーレッドのチュール製オペラグローブをつけ、ブライダルルックにひねりを加えた。ヘアリボンとテーブルセッティングにもよくマッチし、ゴダードも言うように、グローブのようなクラシックなアクセサリーを華やかにアレンジすると写真映えする。

ヴェールを主役にしたジャッキー・アレマニーのブライダルルック。
ヴェールを主役にしたジャッキー・アレマニーのブライダルルック。

なかにはブライダルルック全体の方向性がブレないように、あえて特徴的なヴェールを選ぶ花嫁もいる。結婚式のテーマを「サムシング・ブルー」にしたワシントン・ポスト紙の調査報道記者であるジャッキー・アレマニーもその1人だ。『不思議の国のアリス』から着想されたマーク イングラム(MARK INGRAM)のウエディングドレスを着た彼女は、ドレスを引き立てるために、紫陽花のモチーフをスパンコール刺繍したチュールのクロップドヴェールでルックを仕上げた。「おとぎ話に出てくるプリンセスになったような気分でした」

個性派のルックが主流の時代に

カジャル・パテルがメインの衣裳に選んだのは、チャミー アンド パラク(CHAMEE AND PALAK)の真っ赤なアンサンブル。
カジャル・パテルがメインの衣裳に選んだのは、チャミー アンド パラク(CHAMEE AND PALAK)の真っ赤なアンサンブル。
お色直しの衣裳はエメラルド、マスタード、ホワイトと色とりどり。
お色直しの衣裳はエメラルド、マスタード、ホワイトと色とりどり。

クリーム系がいまだに主流のクラシック志向のイギリスやアメリカ市場では、色鮮やかなヴェールの普及は個性を重要視する動きが高まっていることを示す。しかし、花嫁の「純潔」を象徴するのが必ずしも衣裳選びの基準になるわけではない東洋では、白以外の色は長い間、晴れの日のルックに取り入れられてきた。

インドでは「情熱」と「繁栄」を象徴し、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーに敬意を表す赤を花嫁は伝統的に身につけるが、最近では赤に加えて、ほかの「自分らしい色」を纏う人も増えている。例えばカジャル・パテルはチャミー アンド パラク(CHAMEE AND PALAK)の赤いアンサンブル以外にも、エメラルド、マスタード、ホワイトの5つのルックをカスタムオーダー。そのすべてに特別な意味が込められていた。

おとぎ話のようなピンク一色の世界を作り上げたティウィンクル・クーラナ。
おとぎ話のようなピンク一色の世界を作り上げたティウィンクル・クーラナ。
ヴェールの刺繍は家族が施した。
ヴェールの刺繍は家族が施した。

ティウィンクル・クーラナもまた、伝統をモダンに昇華したウエディングをマリブで挙げた。目指したのはボリウッドのおとぎ話のような、ピンク一色の世界。「昔からずっと、結婚式のシーンで主演女優が着ているような衣裳にしたかったんです」と振り返る彼女の運命の1着は、マニッシュ マルホトラ(MANISH MALHOTRA)のブティックで見つけた、装飾がふんだんに施されたピンクのレヘンガとヴェール。「プリンセスになったような気分で、お店にいたほかのお客さんもスタッフもみんな見惚れていました。買わずにはいられませんでした!」。それにクーラナはエメラルドを惜しげもなく使用したKKジュエルズ(KK JEWELS)のジュエリーを合わせ、ブライダルパーティーはピンクを、新郎側はグリーンをアクセントカラーにしたルックに身を包んだ。そしてゲストたちは対照的に白を基調とした装いで出席。かつては絶対的だった従来のドレスコードや掟は、今はあくまでも参考程度のルールになった。唯一守るべき掟といえば、憧れの花嫁になれる自分らしいブライダルルックを着ることだろう。

Text: Alice Newbold Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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