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プラスチックをファッションから一掃したい!植物がアースショット賞候補に与えた「ひらめきの瞬間」

  • 2024.11.11

ウィリアム皇太子が創設、環境問題への取り組みを続ける個人や団体を表彰する「アースショット賞」の2024年の受賞式が11月6日(現地時間)、南アフリカのケープタウンで開催され、各分野の受賞者が発表された。

国連が公表している持続可能な開発目標に基づき、5つにわけられた取り組みのカテゴリーのひとつ、「ゴミの出ない世界を作る(Build a Waste-free World)」には、化学が専門のルーク・ハーヴァホールズ元教授が創業したアメリカのナチュラル・ファイバー・ウェルディング(Natural Fiber Welding、NFW)がノミネートされていた。

ルークはプラスチックを必要としない世界を目指し、それまでの研究をビジネスに変えることで、多くの企業やファッションブランドの製品やサプライチェーンに変化をもたらしている。

※上の写真はNFWが開発した代替レザー「ミラム」を使用したステラ・マッカートニーのバッグ「フレイム(Frayme)」

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訪れた「ひらめきの瞬間」

すでに持続可能な織物の分野で業界をリードする存在となっているNFWは、ラルフローレンやステラ・マッカートニー、BMWなど、誰もがその名を知っているようなブランドの数々とのコラボレーションにより新製品を開発、販売している。

ルークが常に気にかけてきたのは、「地球」と「安全性」だった。およそ15年前、私たちの生活の至る所にある合成素材が有害であることについて、深く考え始めたという。

受賞式を前に『T&C』誌のZoomでのインタビューに応じたルークは、「(私たちの)ストーリーを世界に向けて発信できる素晴らしいプラットフォームを創設された皇太子に、感謝しています」と語っている。

既存のシステムや「基本的に有害」なプラスチックに対する懸念は、ルークにとっては明らかに重くのしかかる問題。それでも、彼は楽観的だ。世界は正しい方向へと進むことができると考えている。そして、人々の態度の変化はすでに「起きている」という。

「ここ24カ月の間に、3000以上のブランドから問い合わせを受けました……この問題に関心を持つ人たちは大勢います。人々の健康と安全よりも、利益を優先させるのは正しいことではないと考える人たち、責任ある消費の仕方を考えている人たちです」

「そうした人たちは、自分のバッグが何から作られているのかということについての透明性を求めています」

そのNFWが提供している素材は、どのように作られているのだろうか──?

答えは、とてもシンプル。植物を原料としている。セルロースや天然ゴム、植物油脂、ミネラルフィラー(充填材)などの植物や樹木を使用して、プラスチックを製造するのとよく似た工程で、代替レザーやプラスチックを使わないラバーソール、家具や衣料品、自動車などに使用する高性能フォームといった素材を生産している。

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ルークは自らの「ひらめきの瞬間」について、こう語っている。

「無害な解決策が必要であり、それは驚くほど豊富に存在するものでなければならないことが、わかっていました。ある日、研究室で繊維を扱っていたときに、接着剤を使わずに繊維同士を結合させるプロセスを発見しました」

非常に豊富にある植物は、たった1日成長させればそれだけで十分、1年間に必要な量のプラスチックに置き換えることができるという。

NFWがこれまでに開発した素材、商標登録済みの代替レザー「Mirum(ミラム)」と生地の加工技術「Clarus(クララス)」は、すでに複数の有名ファッションブランドに使用されている。

多くのプラスチックが使用されているなか、素材の置き換えが可能な製品も数多くあると話すルークは、より多くのサプライチェーンにおいて、完全な「プラスチックフリー」が実現されることを願っている。

From TOWN&COUNTRY

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