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ジャカルタ、ホーチミン、ムンバイetc.、ローカル料理を革新するシェフたち【旅をしてでも行きたいレストランVol.3】

  • 2024.11.11

【オーガスト(インドネシア)】ジャカルタのフードシーンに新風を吹き込むファインダイニング

インテリアはジャカルタを拠点とする新進気鋭のスタジオ、ビッテ・デザインが担当。
インテリアはジャカルタを拠点とする新進気鋭のスタジオ、ビッテ・デザインが担当。

2024年の「アジアのベストレストラン50」で46位と、前年の95位からジャンプアップしたのは、インドネシア・ジャカルタの「オーガスト」。ともに8月生まれのシェフ兼共同オーナーのハンス・クリスチャンとマネージングパートナーのブディ・カヒヤディが、2021年11月にオープンし、わずか3年で偉業を成し遂げた。新型コロナウィルスのパンデミックの期間に、2人で始めたプライベート・ダイニングビジネスが成功を収めていたこともあり、開業時には既に数多くのファンを抱えていたという。

ビザが切れてやむなく米国から帰国したハンスが、フードビジネスの専門家のブディと出会い、意気投合した。
ビザが切れてやむなく米国から帰国したハンスが、フードビジネスの専門家のブディと出会い、意気投合した。

ニューヨーク州、シカゴなどのレストランで腕を磨いたクリスチャンは、インドネシアの食文化を巧みに料理に盛り込む。例えば、バリ島やロンボク島の周辺で獲れた旬の魚、西ジャワ州ボゴールのジェームス&ジェンズファームの新鮮な鶏肉や卵、同じ西ジャワ州スカブミ産のバニラビーンズなど。それらの地元食材を、美しい一皿へと仕上げていく。人気メニューは「ジェームス&ジェンズ・フレッシュエッグ」。65 度でゆっくりと調理した卵に、ベーコン、マーマレード、ソテーした日本のホウレンソウ、さらに鶏の骨をローストして作ったソースを添える。何気ない家庭料理もクリスチャンの手にかかれば、素敵なメインプレートへと昇華する。

香ばしく揚げたハッシュブラウンに、インドネシアの郷土料理ルンダンをトッピング。
香ばしく揚げたハッシュブラウンに、インドネシアの郷土料理ルンダンをトッピング。

August(オーガスト)

Sequis Tower Ground Floor #03-02, Jl. Jenderal Sudirman No.Kav. 71, Jakarta 12190, Indonesia

Tel./+62-877-3800-0808(WhatsAppのみ)

www.augustjakarta.com

【アンアン・サイゴン(ベトナム)】ベトナム料理のイメージを変えるホーチミン唯一の星付きレストラン

牛骨入りのビーフのフォー。上質な旨みを含んだスープが絶品。
牛骨入りのビーフのフォー。上質な旨みを含んだスープが絶品。

2023年6月に初めて発表されたベトナム版のミシュランガイドでは、残念ながら2つ星、3つ星のレストランはゼロだったが、4軒選ばれた1つ星の内の1軒がホーチミンの「アンアン・サイゴン」だ。シェフのピーター・クオン・フランクリンは、アメリカ生まれのベトナム人で、パリのル・コルドン・ブルーで料理の基本を学び、香港の本格フレンチ「カプリス」、シカゴの3つ星の「アリネア」、バンコクのモダンタイ料理「ナーム」など、各国の名だたるレストランで経験を積んだ後、ホーチミンのマーケットの中にこの店を開いた。

ピーターは、伝統料理に敬意を表しながら、斬新なアプローチで新しいベトナム料理を創り出す。
ピーターは、伝統料理に敬意を表しながら、斬新なアプローチで新しいベトナム料理を創り出す。

ミシュラン1つ星にして、「アジアのベストレストラン50」の常連とは到底思えない、ドレスコードなしのカジュアルなレストランは、間口の狭いビルの中にあって、周囲の商店街にすっかり溶け込んでいる。油断しているとうっかり通り過ぎてしまいそうだ。世界各地の料理のエッセンスを詰め込み、ベトナミーズコンテンポラリーという新たなカテゴリーに位置付けられる料理は、フォー、バインミー、バインセオなどでおなじみのベトナム屋台料理がインスピレーションの源。風味豊かで彩りも鮮やか、オリジナルの屋台メニューからは想像できないほど、繊細で洗練されている。

オールドマーケット内にあるカジュアルな雰囲気のレストラン。店名の「ăn」はベトナム語で「食べる」という意味。
オールドマーケット内にあるカジュアルな雰囲気のレストラン。店名の「ăn」はベトナム語で「食べる」という意味。

アンアン・サイゴン(Anan Saigon)

89 Tôn Thất Đạm, Bến Nghé, Quận 1, Thành phố Hồ Chí Minh, Vietnam

Tel./+84-90-479-29-20

anansaigon.com

【アメリカーノ(インド)】ファーム・トゥ・テーブルの先駆者が仕掛けるイタリアンの枠にはまらないイタリアン

アレックスは、「ザ・テーブル」の成功で、「インドのベストシェフ」にも選ばれた。
アレックスは、「ザ・テーブル」の成功で、「インドのベストシェフ」にも選ばれた。

美術館、ギャラリー、洒落たショップやカフェが軒を並べるムンバイ南部のカラ・ゴダ地区に位置する「アメリカーノ」は、天井高6mものスタイリッシュなダイニングルームのあるレストラン。シェフのアレックス・サンチェスが、パートナーのレストラン経営者、マリーカ・ワツァと、2019年3月にオープンした。サンフランシスコ生まれのアレックスは、26歳のときにムンバイに移り、それまでのインドのレストランの常識を覆し、生産者と密接な関係を作り、食材を直接仕入れる「ザ・テーブル」をオープン。ファーム・トゥ・テーブルの先駆けとして、数々の賞を受賞した。

「ラブレター」と名付けられたアボガド、レッドオニオンとフレッシュクリームの一品。Photo_ Nirmala Patil
「ラブレター」と名付けられたアボガド、レッドオニオンとフレッシュクリームの一品。Photo: Nirmala Patil

あえて「アメリカ」と名付けたイタリアンレストランで披露するのは、パスタやピザなどに加えて、生まれ故郷のアメリカをはじめ、世界各地で目にした料理からヒントを得たメニュー。「アジアのベストバー50」にも選ばれた自慢のバーでは、自家製のインフュージョンやハーブチンキなどをふんだんに使用するクリエイティブなカクテルが人気。オリジナルのカンパリを使ったハウス ネグローニや、ムンバイの高級住宅街マラバーヒルにちなんだマラバークーラーなど、気になるカクテルが目白押しだ。

店はムンバイにおけるアート、カルチャーのトレンド発信地、カラ・ゴダ地区にある。Photo_ Nirmala Patil
店はムンバイにおけるアート、カルチャーのトレンド発信地、カラ・ゴダ地区にある。Photo: Nirmala Patil

アメリカーノ(Americano)

121/123 Radha Bhavan, Nagindas Master Rd, Kala Ghoda, Fort, Mumbai, Maharashtra 400001, India

Tel./+91-93211-04682

www.americanobombay.com

【メティス(フィリピン)】フランスとフィリピン。2つのルーツがミックスした軽やかなフィリピン料理

奥行きの深い、細長い店内。カラフルな発酵食材の瓶が並ぶ棚を挟んで、オープンキッチンの臨場感が味わえる。
奥行きの深い、細長い店内。カラフルな発酵食材の瓶が並ぶ棚を挟んで、オープンキッチンの臨場感が味わえる。

マニラ首都圏のビジネスと金融の中心都市・マカティの南端に位置し、フィリピンの伝統料理をイノベーティブなスタイルで提供する。オーナーシェフのステファン・ドゥエスメは、フランスとフィリピンのハーフで、店名は、混血を表すフランス語とフィリピン語を組み合わせた造語。2013年にマルセイユのビジネススクールを卒業後、マニラのレストランで見習いとして働き始め、香港、ニューヨーク、東京などのレストランで経験を積んだ。2年後にコロンビアのボゴタに最初の店を、2019年11月に生まれ故郷のフィリピンに戻ってこの店をオープンした。

地元の高級魚ラプラプの活〆と豚頬肉のハンバーガーの麹みそ添え。
地元の高級魚ラプラプの活〆と豚頬肉のハンバーガーの麹みそ添え。

メニューは、ユニークな地元食材や発酵食品をふんだんに使った創作料理のテイスティングコース。例えば、「モンゴ」と呼ばれるフィリピンの豆のスープは、バウコオレンジやダランダンといった珍しい柑橘のピューレやチェリートマトを添えて、色鮮やかなスターターに。フィリピン風揚げ春巻きの「ランパ」は、オープンサンドのように開いて、山盛りの野菜、豆腐、発酵パイナップルを盛り付ける。チームワークを大切にするステファンの指揮のもと、活気のあるオープンキッチンから繰り出される料理は、どれも初めて目にするものばかりだ。

マカティ市の最南端に位置する、ギャラリーやショールーム、レストランが集まる「カリビン・プラザ」の1階にある。
マカティ市の最南端に位置する、ギャラリーやショールーム、レストランが集まる「カリビン・プラザ」の1階にある。

Metiz(メティス)

Karrivin Plaza Building A, 2316 Chino Roces Ave. Extension, Makati City 1232, Philippines

Tel./+63-917-700-4109

metizresto.com

Text: Yuka Kumano

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