留袖も素敵ですが、きもので一日を過ごすのは大変なことも。最近は、結婚式のスタイルに合わせてエレガントなドレスを選ぶ母親も増えています。
今回は、世代間や個人の価値観でも考え方が異なる日本での基本的なルールについて、ブライダルマザードレスの専門サロン「M&V for mother」代表、楠田佳世さんに話を伺いました。ドレス選びの際に気になる5つの質問も!
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日本でのマザードレスの選び方
「ご列席の方をお迎えしたり、花嫁のベールダウンを行ったり、結婚式の第二の主役とも言える新婦のお母さま。ここ10年ほどで和装ではなく、ドレスを着たいという方がとても増えてきています」と話すのは、マザードレス専門サロン「M&V for mother」の代表を務める楠田佳世さん。
日本において一般人の多くが結婚式でウエディング・ドレスを着用するようになったのは、1981年に当時のチャールズ皇太子とダイアナ妃のロイヤル・ウエディングが行われたあたりから。日本のドレス文化は日が浅く、特に結婚式での母親の装いでは黒留袖という習慣が根強く残っています。
一方で、「真夏の結婚式に一日中きもので過ごすのは大変です。体調に不安がある方もいますし、会場の雰囲気に合わせてドレスを、と考える方も増えています。黒留袖でなければならないということは決してありませんので、娘さんのほうから何を着るか尋ねてさしあげると、お母さまたちも『実はこんな理由があって…』と気軽に相談できるかもしれません」と楠田さん。
では、ゲストを迎える立場の母として、黒留袖と変わらないフォーマルな装いにはどんなドレスがいいでしょう。
「たとえばイギリスのロイヤル・ウエディングを見てみると、昼の挙式では膝丈のアフタヌーンドレスにファシネーターを合わせるスタイル。そして夜のパーティではイブニングドレスなど昼とは異なるドレスに着替えるのが通例です。でも日本の場合は、挙式から披露宴へと続けて行われることが多いと思います。その場合は、ファッションプロトコルに合わせて、後ろの予定に適した服装を選ぶといいでしょう。そしてパートナーの衣装に合わせるという考え方もフォーマルファッションにおけるルール。お父さまがモーニングやタキシードを着用するなら、並んだときにつりあうようにアフタヌーンドレスやイブニングドレスを選びます」
また「アメリカでは、背中が大きく開いたデザインのフォーマルドレスを着るお母さまもいますが、日本ではケースバイケース。露出が多い服装を好まないゲストがいるかもしれない、と立ち止まって考えることが必要です。結婚式は幅広い価値観の方が集まる場。あくまでゲストを迎える立場であることを踏まえて判断しましょう」とも。
式場やご夫婦、ご両家とのバランスがドレス選びの鍵。コミュニケーションを大切に
そして何より大切なのは格のバランスをとることとコミュニケーション。「結婚式を行う会場の格や、お父さまが着る衣装の格、また両家の服装の格式など、格のバランスを合わせることがとても重要です。両家顔合わせの際にでも、『衣装はどうされますか?』と声をかけ、少しずつ価値観をすり合わせていくといいでしょう」と楠田さん。
ご両親の装いにも気配りができる花嫁は素敵。新郎新婦の写真と共に、ご両親がドレスアップした姿を記念写真として贈ればきっと喜ばれるでしょう。
ドレスを選ぶ際に気になる5つの質問
基本さえ押さえれば、安心してドレス選びができるもの。よくある5つの質問について、楠田さんに答えていただきました。
Q1:丈の長さは?
A:正礼装として選ぶならくるぶしが隠れるロング丈
夜の披露宴まで続く日本のウエディングでは、後の予定に合わせてイブニングドレスのロング丈を選ぶのが正解。黒留袖を基準に考えても、足は見えないほうがフォーマルな印象に。
Q2:袖の長さは?
A:露出の高いドレスは避け袖のあるものを選んで
ゲストには肌の露出に抵抗のある方がいるかもしれないので、肩やデコルテ、背中が大胆に開いたドレスは控えるのが無難。暑い時期は、レース仕立てで透け感のある袖にしましょう。
Q3:バッグは必要?
A:クラッチバッグは扇子の代わり。いつも手元に持つように
黒留袖で帯の胸元に扇子を挿す(末広)ように、ドレススタイルではクラッチバッグを手に持つのがマナー。立ち姿も美しくなります。ドレスと共布か、同系色のものを選ぶといいでしょう。
Q4:アクセサリーは何をつける?
A:日本の正装ではパールが正解。大珠や3連などで華やかに
ヨーロッパのロイヤルや日本の皇室でも礼装に用いられることが多いパール。特に新郎新婦の母なら光るジュエリーよりも上品なパールを選ぶのがおすすめ。粒の大きさや重ねづけで華やかに!
Q5:黒や紺を選ぶべき?
A:正式にはハレの日に黒はNG。黒の場合は光沢のある素材を
ブラックドレスは喪を連想させるので、海外でも日本でも結婚式にはふさわしくありません。黒を着る場合には、光沢のある素材やレースのあるものなど華やかなデザインを選んで。
お話を伺ったのは…楠田佳世さん
KAYO KUSUDAPROFILE ブライダルマザードレスの専門サロン「M&V for mother」代表。2009年にフォーマルウエアのレンタルサロン「パーソナルクローゼットM&V」を立ち上げ、2014年より新郎・新婦の母向けにドレスレンタルやマナーアドバイスのサービスをスタート。
エム アンド ブイ フォー マザー M&V for mother東京都千代田区平河町1-5-15 ボルト平河町8Ftel.03-6268-9988営業時間:11時~17時(土・日曜、祝日~19時)定休日:水曜 予約制公式サイト
Photos:CEDRIC DIRADOURIAN Realizaiton:MIKI TAMURA
※『25ansウエディング 2023-24 Summer & Autumn』2024年6月24日発売より転載。※この記事は2024年6月24日時点のものです。