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【ベストセラー作家が推す韓国時代劇】『100日の郎君様』でド・ギョンスの演技が最高

  • 2024.11.10

『100日の郎君様』は痛快なロマンス時代劇である。物語の設定は架空なのだが、朝鮮王朝の歴史をうまく取り入れていて、とても重厚な歴史劇にもなっていた。

主人公はド・ギョンスが演じる世子のイ・ユルである。彼は悪徳高官の陰謀によって暗殺されそうになり、かろうじて生き延びて農民ウォンドゥクとして生まれ変わる。それは、記憶喪失になってしまったからだ。

彼の妻となるのが、ナム・ジヒョンの演じるホンシムだ。2人は幼い頃から実は知り合っていた間柄だった。しかし、大人になってからは純朴な農民と妻として生活していく。

この夫婦がとてもユニークだ。ウォンドゥクは元が世子なので庶民の生活がわからない。それゆえ、農民として働いても何をやってもうまくできない。そんなダメ亭主ぶりをホンシムに徹底的にやり込められるところが面白かった。

例えば、ウォンドゥクは高利貸の商人に騙されて高価な寝具を買わされたことがあった。自分ではお金も払えないのに……。ホンシムはもう怒り心頭だ。なにしろ、薪割りなどの仕事もできないウォンドゥクは実生活では役に立たない。

『100日の郎君様』
画像=tvN
最後まで飽きさせない展開

しかし、自尊心だけは強くて、妻にひどい言葉を言ってしまう。そのときにホンシムがウォンドゥクを激しく平手打ちした。このあたりのやりとりはハラハラするほど痛快だった。

さらに、ウォンドゥクは食堂でクッパを食べたのに代金も払わずに大問題を起こしてしまった。その度にホンシムが尻拭いをするのだが、いくら怒っていても彼女には愛情がある。そういう面で、麗しき夫婦愛としてこのドラマを見ると心が温かくなる。

ドラマの後半になると、徐々にウォンドゥクの記憶が戻ってきて、ついに王宮に帰って悪徳高官と壮絶な対決をしていく。このときのド・ギョンスの演技はワクワクするような緊張感があつた。

彼は『100日の郎君様』の前半でとぼけた農民に扮し、後半は凛々しい世子として奮闘した。ドラマ全体にメリハリがあって、最後まで飽きさせない展開だった。

〔『100日の郎君様』ドラマ概要〕
制作/2018年、tvN
配信/Netflix
演出/イ・ジョンジェ
脚本/ノ・ジソル
出演者(演じた役名)/ド・ギョンス(イ・ユル=ウォンドゥク)、ナム・ジヒョン(ユン・イソ=ホンシム)、キム・ソンホ(チョン・ジェユン)、ハン・ソヒ(キム・ソヘ)、チョ・ソンハ(キム・チャオン)

文=康 熙奉(カン ヒボン)

作家。1954年東京・向島で生まれる。韓国の歴史・文化・韓流や日韓関係を描いた著作が多い。『知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』を含めた朝鮮王朝三部作は70万部を超えるベストセラーとなった。最新刊は『朝鮮王朝「背徳の王宮」』。

 

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