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【田川市】石炭やボタをアートする「コールマイン未来構想展」田川市美術館

  • 2024.11.11

11月2日から田川市美術館で開催されている「コールマイン未来構想展」に行ってきました、リビングふくおか・北九州Web地域特派員のめりしゃんです。

コールマイン=石炭って聞いてどんなイメージが湧きますか?年代の差、地域の差が大きいですよね。今はもう石炭が身近になくて日常で目にすることもほとんどありませんから。「ボタ」という言葉を知っていても、正確な意味はわかっていないかもしれない自分に気づきました。 わたしが住む北九州は石炭の積出しをする港がかつてあり、筑豊とは縁が深い場所です。身近に石炭にまつわる場所もたくさんあって、石炭記念館などに足を運ぶこともありました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

最初に目にする「筑豊文庫創立宣言文」。石炭が詰められた袋とともに。

ここは博物館ではなく美術館でした

展示室に足を踏み入れて、はっと気づきました。ここは美術館。鉱夫の使っていた道具や生活用品などが展示される場所ではないことに。石炭やボタや炭鉱住宅がアートの素材であることに。ここは「第1章」展示室。

出典:リビングふくおか・北九州Web

「筑豊ボタ」という作品の解説を、作者の藤堂さんから直接聞きながら作品を見る貴重な機会でした。 藤堂さんは自ら歩いて集めた欧米や日本の石を切断し、その切断面にガラスを埋め込み磨き上げた作品で知られるアーティストです。 最初、この大きな岩にテープが貼られている?と思ったのですが、違ってました。びっくりしました。ここで、やっと、石炭を素材とするアートというものを認識したところです。今まで炭鉱の絵や写真を見てもアートというよりその時代を知るものとしての観点しかなかった自分に気づきました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

ぜひ、じっと見てください。積層ガラスがはめ込まれた石炭です。 美術館で天井を仰ぎ見ることはないと思いますが、ここは、ぜひ天井も仰ぎ見て欲しいところです。遊びゴコロあふれる空間になっています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

ポスターにもなっている Block Book「写真万葉録・筑豊」 本を樹脂で固めたものです。ボタ山の写真が見えます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

「第2章」展示室の國盛麻衣佳さんの作品はキャンバスも画材も炭鉱由来で驚きでした。戸板やガラス戸に大きく切り取られ描かれた炭鉱の人々。炭鉱住宅の部材に石炭灰やズリ(選炭時に出る捨石)を画材として使われています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

三つの山(左からおにぎり、石炭、ズリ山)外に展示されている鉄塔とのバランスが気に入っていると國盛さんが仰っていました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

当時の炭鉱住宅も作品です。戸口に座って眺めてみてください。

石炭やボタ、ズリを美術館で体験すること

石炭記念館や博物館で当時のことを考えるのとはまた違った感覚でした。アートとしての石炭という新しい感覚が新鮮でした。 わたしの中では、炭鉱や鉱夫の生活は暗く辛いというイメージしかありません。そこから生まれた文学や絵画もその暗い部分を知るためのものでした。 この「第3章」展示室はわたしが今まで見たことのある、山本作兵衛や上野英信の作品が展示されています。そのダークな部分と言えるかもしれません。

出典:リビングふくおか・北九州Web

上野さんの息子さんから作品や当時についての話を伺いました。上野さんと版画の中に描かれている奥様とで、「私はこんな目つき悪くない」「この首の下の線は何?おっぱい?上すぎる?変だ」といった会話が息子さんの前で繰り広げられていたそうです。亡くなる前に病院で書かれた最後の一言も展示してあり、息子さんが「きちんと署名しているのがなんとも作家らしい」とおっしゃっていました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

「第4章」展示室は、千田梅二さんの版画の展示を中心に、鉱夫を描いた「せんぷりせんじが笑った!」の幻冬機用36ミリフィルムとそれを映像に再現したものを見ることができます。関連の図書なども閲覧できます。

石炭は実はまだ過去のものではないけれど

わたしが小さい頃、自宅は石炭で沸かすお風呂でした。現在では身近ではないと思っている石炭がまだ現役で大量に輸入され火力発電に使われていることも、普段はあまり意識していませんね。 普段の生活で意識していない石炭というものを再認識して、それがアートになっているということになんだか不思議な感じがしたのはわたしの年齢だからでしょうか?若い世代はもっと柔軟に捉えられるのでしょうか?

あまり難しく考えずに、気楽に眺めてみるほうがいいのかもしれません。炭鉱が栄えていた時代、筑豊には美味しいお菓子がたくさん誕生しました。入り口のここには、あの有名なチョコレートも一緒に展示してありますよ。

出典:リビングふくおか・北九州Web

アートとしての石炭を見た後は、田川市石炭・歴史博物館や石炭公園もめぐり、美味しいお菓子を買って帰るといいかも。わたしもあの有名なチョコレートと洋菓子を買って帰りました。 そして、ボタ山は今?と気になって飯塚までちょっとドライブして見てきました。木々が生い茂ってすっかりボタ山の様相はなく、知らなければ気づかない姿に変わってしまっていました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

忠隈のボタ山。少し車で走って飯塚の街中から見ると、ボタ山だったのかもという三角形の形が見て取れました。

この「コールマイン未来構想」は、今年から5年に渡って開催の予定だそうです。アートの素材としての石炭。来年はどんなアートとなって登場するのかとても楽しみです。 そして、石炭を見たことがないこどもたちに見せて、記憶を繋いでいきたいものです。

コールマイン未来構想 記憶を紡ぐ----炭鉱文化の未来を考える
会期:2024.11/2(土)〜11/24(日)
開館時間:9:30〜17:30(最終日は16:30まで)
※入場は閉館の30分前まで
会場:田川市美術館(田川市新町11-56)
休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)
TEL:0947-42-6161
観覧料:一般800円、高大生400円、小中学生200円、未就学児無料
HP:https://tagawa-art.jp/

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