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すぐに貸せる子=偉いわけじゃない!?おもちゃの貸し借り、親はどう介入すべき?【現役保育士が解説】

  • 2024.11.10

お友だちとのおもちゃの貸し借りでの子どものトラブル、経験したことがあるという方も多いのでは……!? 今回は保育士の中田馨さんが、お友だちとのおもちゃトラブルを招く、実はNGな声かけについて教えてくれました。


こんにちは。保育士の中田馨です。私は0~2歳児が対象の保育園を運営しています。

日々、子どもたちと過ごしていてよくあるのが、「お友だちとのおもちゃトラブル」です。おもちゃを取られてしまったときや、逆に相手のおもちゃを取ってしまったときに「どう声かけをするべきか?」と悩むところだと思います。

今回は、低年齢児の子どもたちの「お友だちとのおもちゃトラブル」についてお話しします。

お友だちにおもちゃを取られた場合はどうすればいい?

公園や児童館で遊んでいて、同じくらいの年齢のお友だちにおもちゃを取られる場面があると思います。相手の親御さんは見ているのに何も言ってこない。さて、こんなときどうすればいいか?

このような場合、まず大切にしたいのがご自身のお子さんの「遊びを保証」することです。きっとその遊びを楽しんでいたと思います。そのため、お友だちには「今、遊んでいるからおもちゃを返してほしいな」と伝えましょう。そしてお子さんには「お友だちも遊びたいみたいだから、終わったら渡そうね」と伝えます。

お友だちが返そうとはしないかもしれません。そんなときは、相手の親御さんにも協力してもらえるとベストですが、「うちの子も使いたいのに、なんで貸してくれないのよ」と思っているかもしれません。そうなると、なかなか難しいですよね。

しかし、私は「すぐに貸せることが偉い」とは思いません。子どもがその遊びに満足し「もう、貸せるよ!」という気持ちになるまで、周りの大人が待つことも大切だと思います。まずは「この子の遊びが終わるまで、待ってもらえますか?」とお願いしてみましょう。

お友だちのおもちゃを取ったときはどうすればいい?

逆に、ご自身のお子さんがお友だちのおもちゃを取ったときはどうしましょう? この場合、まずは返さなければいけませんね。「このおもちゃで遊びたかったの?」と遊びたかったことに共感し、「でも、これはお友だちのだから返そうね」と伝えます。

低年齢児は自分から返すことがなかなかできませんので、「返しなさい」と何度も言うのではなく、「ママと一緒に返そうね」と一緒に返すと良いでしょう。このとき、お子さんが泣いても返します。そして「あのおもちゃで遊びたかったんだね」と遊びたかった気持ちに共感します。

また、こんな場面は「貸して」と伝えることを学ぶ機会でもあります。「貸してもらえるかママと聞いてみよう!」と一緒に聞いてみましょう。「いいよ」と言われれば「やった!!」ですし、もし「嫌」と言われても「今、お友だち、楽しく遊んでいるみたい。じゃあ、あっちでママと遊ぼうか!」と気持ちを切り替えることも大切な経験です。

「お友だちと仲良く遊ぶ」ことはとても大切なこと。しかし、実は「お友だちとものの取り合いや喧嘩する」ことも大切なんです。「こうしたら友だちは嫌がる」「こうなったら悲しい」「これをされたらうれしい」という喜怒哀楽の感情を沸き立たせる経験は、友だち関係だからこそできること。

今、子どもたちは親以外の人間関係を学んでいるときです。むやみに止めるのではなく、安心してお友だちと過ごせる場を提供することも、私たち大人の役目なのですね。


著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨

0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。

ベビーカレンダー編集部

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