オーラリー
2015年春夏よりスタートした岩井良太が手掛けるオーラリー(AURALEE)。東京拠点のデザイナーを支援する「FASHION PRIZE OFTOKYO」で第2回目の受賞者に選ばれ、2019 -20年秋冬からパリコレに参加。デザイナー自らが足を運び、あらゆる産地からこだわり抜いた原料と日本屈指の生産技術でオリジナルの生地を開発し、日本特有の繊細な美意識を表現。そして昨今、新たなクワイエット・ラグジュアリーの潮流に乗り、海外からも大きな評価を得ている。2024 -25年秋冬は“日常から息抜きの時間への移り変わり”に焦点を当て、ニュアンスカラーのレイヤリングで昼から夜への移ろいを表現。日常のユニフォームでありながらも、独自の素材と柔らかな色彩のグラデーションでコンフォートなスタイリングを完成させた。
カナコサカイ
2022年春夏よりデビューしたカナコサカイ(KANAKO SAKAI)。日本が誇るものづくりの伝統と技術を独自のクリエイションに投影し、ウィメンズを軸にしつつも性別を超え、固定観念に囚われないアイデアを追求。日本ファッション・ウィーク推進機構の支援プログラムでは、第2回「JFW ネクスト ブランドアワード」を受賞した。2024-25年秋冬コレクションでは、あえてこれまで主張してこなかった女性性に目を向けて、自己のエンパワメントを促進する。テイラードはダブルブレストで仕立て、リボン結びのショルダーから覗く肌見せで力強いフェミニティを表現。メタリックなニーハイブーツには亀甲花菱紋という伝統的な紋様をあしらい、アートな視覚効果を生み出している。
サルバム
パタンナー出身の藤田哲平が手掛けるサルバム(SULVAM)は、ラテン語の“即興演奏”に由来する。楽譜に囚われず即興で演奏するように、あえてテーマを設けずそのときどきの藤田の感性をパターンに落とし込み、大胆なカットワークやアシンメトリーな歪みによってディテールの表情を巧みに操る。2015年「TOKYO FASHION AWARD」を受賞後パリで展示会を行い、2019年春夏シーズンからパリ・メンズ・コレクションに参加。性別や文化、あらゆる固定観念から自由に自身の美学を貫いたクリエイションで日本人デザイナーの影響力を見せつける。端正なピンストライプジャケットにスーツ感覚でスカートをあわせた先鋭的なバランスに時代の潮流を思わせる。
イッセイ ミヤケ
一枚の布がもたらす体と服の曖昧な余白。東洋・西洋の概念に囚われないイッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)の一貫した哲学は、普遍的なデザインの美しさで纏う人々を魅了してきた。一本の糸からオリジナルで素材を開発し、そこから生まれるものづくりはブランド創設者の三宅一生から現代にまで受け継がれている。2020年春夏からは近藤悟史がデザイナーに就任し、新たなデザインの可能性を世界へ発信し続ける。ブランドの核を守りながらもウィットをきかせたデザインにも注目したい。一枚のパターンでつくられたカーディガンは、ストレッチ性のあるタテ糸にウールと和紙のヨコ糸を交互に織り合わせている。適度なハリをもたせながら体に沿って緩やかな流れを描く。鮮やかな色が目を引くドレスはキモノスリーブのように仕立てられ、自由なアレンジで異なる表情を見せる。
Photos: Kodai Ikemitsu Styled: Shizuka Yoshida Hair: Tomo Tamura at Perle Management Makeup and Manicure: Nobuko Maekawa at Perle Management Models: Asuka and Gendai Text: Megumi Otake Editor: Yui Sugiyama, Reona Kondo
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